はじめに
有料老人ホーム内の厨房(受託施設)で正規雇用/常勤で働く、女性の「栄養士」によるキャリア体験談レポートです。
ちなみに、その方は、栄養士の資格を持っているそうです。
「栄養士」を目指した理由
母が病院の調理師だったので料理に関する仕事に興味があったことと理系の進学先の中で看護や医療の仕事には興味を持てなかったので、「栄養士」を目指しました。
「栄養士」の仕事内容について
委託施設内の栄養士として食材の発注や禁食対応等の仕事を担当していました。
行事食の対応や食札の管理、利用者さんに食事の感想を聞いて、調理師さんに伝えることや、本社にメニューや献立の評判を伝えることも仕事になっていましたが、伝えてもなかなか改善されないのでいつも自分が板挟みになることが多かったように思います。
他に勤務シフトの作成や本社にパートさんや他に社員の勤怠状況の集計を送ることや、施設の事務所に食数の集計を提出すること、交通費の精算など事務的作業はすべて担当していました。
あと、新規採用のパートさんや調理師さんに、仕事の指導をする事も主に担当していました。また、毎月の菌検査(検便)のとりまとめと提出などもしていました。
依頼があれば栄養指導もするようになっていましたが、実際施設から栄養指導の要請はなかったので栄養指導をすることはありませんでした。
事務作業のほかは、シフトの足りない時間帯は現場に入って仕込みであったり、調理補助の仕事をすることもありました。
「栄養士」の1日の仕事の流れ
早番は朝4時出勤だったので、私は担当したことがなく、毎日中番と遅番の担当でした。中番と遅番は、昼食と夕食の担当です。
9:00 出社、デスクワークの時間
※翌日の食材の発注確認をします。
※在庫を確認し、発注数を減らせるものがあれば減らします。
※翌々日以降の食材の発注をします。
11時 現場で昼食対応の仕事補助
※主に配膳後の食事の内容に間違いがないかの確認(病気や体調によって食べられない食材のある方が多いので、そういった方に誤って普通の料理が提供されていないかの確認、キザミ、ミキサーなど喫食者の体調に合わせた形で提供されているかの確認など)をします。
昼食後 おやつの準備
おやつの後~夕食提供 事務作業(発注の確認等)、提供前の確認
夕食後 掃除と衛生の確認
「栄養士」の給料・残業・有給休暇について
私の場合ですが、年収はボーナス込みで約350万円くらいでした。
有給休暇はありますが、本当に取れません。取れるとしても土日祭日はまず無理でした。あと年末年始は絶対に休めません。おせち料理など特別な行事食の対応があり忙しくてとても大変でした。
この仕事で、働いているときに困ったこと
調理師さんは外食から転職した方が多く、マニュアルなどなくても料理をなんでも作れるのでそこはいいのですが、味付けなども我流でやる方が多く、カロリーなどの表示とだいぶ違う内容になっていることが多く本当は指摘するべきだったと思うのですが相手は何せベテランなのでなかなか注意するのが難しかったです。
調理補助の方も年輩の女性が多く我流で仕事をする方が多く、問題にならなければいいのですがなかなか指導するのが難しかったです。
この仕事や職場でよかったこと
年末年始など休むことはできなかったですが、出勤するとかなり手当がついて稼げました。
休みはなかなか取れないのですが、有給は法律通りにあったので平日などにうまく休みを取れれば、手取り金額を増やすことができたので、そこは良かったです。
あと、調理師の方の采配によっては、自由に休みを取れる時もありました。調理師さんは転勤などですぐに変わるので、いい人が上司になっている時は働きやすいいい職場でした。
たまに本社で勉強会などがあるので、そこで他の同じような施設で働く同僚に、よその施設の状況などを聴く機会があったので恵まれていると思いました。
「栄養士」の仕事エピソード
感動したことは、行事食など出来栄えを写真に撮って本社に送るのですが、自分のアイデアできれいに盛付した時に、その写真が社内報で取り上げられたことがあり、とてもうれしかったです。
あと、大変なのは人間関係なのですが、はじめはなじめないと思っていたベテランの調理補助の年輩の女性たちにも、自分から話しかけるなど仲良くなる努力をしていくことでみんな優しく接してくれるようになり、うれしかったです。
悲しかったことは顔見知りになっていた入居者様がお亡くなりになったときは家族が亡くなったように悲しかったです。逆に元気のなかった方が食事の内容を少し変えたりしたことでたくさん食べられるようになって元気になってくれるとうれしかったです。
「栄養士」の職場恋愛について
職場恋愛については、本当に聞いたことがありませんでした。
ただ調理師さんは転勤が多いことや、休みが不規則だったり朝早くから仕事ということもあり、独身の方が多かったです。
独身といっても離婚経験のある方も多かったですし、再婚している人も多かったです。
栄養士は結婚して子供が出来るまでは正社員として働いていますが結婚すると退職する人がほとんどでした。
職場以外での出会いに関しても土日祭日が休みではないのでなかなか出会いがないのですが、老人ホームのヘルパーさんは若い男女が多いし同じような待遇で働いているので仲良くなって付き合っている人もいました。
まとめ ー「栄養士」を目指す方へメッセージ
栄養士というと、献立を作る仕事をイメージしますが、実際委託会社の栄養士は献立を作ることは皆無です。
でも食材の発注で利益増を考えることですとか衛生的で美味しい食事を出して入居者様に喜んでいただけると嬉しいものです。
コメント
コメント一覧 (1件)
以前勤務していた介護老人保健施設では管理栄養士が1人しかいなかったが、栄養面のサポートだけでなく利用者1人1人を把握していてすごいと思っていた、今回の記事では老人ホームで働く栄養士の仕事上でのやりがいを知ることができてよかった。