はじめに
「埼玉県」勤務の「航空自衛官(航空機整備士)」(男性)によるキャリアレポートです。
- レポート者のプロフィール
- 公務員としての職業・勤務先:航空自衛官 / 埼玉県勤務
性別:男性
雇用体系:曹候補生
所有資格:自動車運転免許、中級航空機整備士(自衛隊内限定)、牽引自動車運転免許(自衛隊内限定)
「航空自衛官(航空機整備士)」を目指した理由
高校を卒業し、やりたい事が見つからずに進路に迷った際、父の知人である「自衛官」に相談をし紹介をしてもらいました。
地方協力本部にて自衛隊という組織、任務、使命を知り入隊を決めました。
「航空自衛官(航空機整備士)」の仕事内容について
「自衛官」としての基礎的な体力練成技能訓練は勿論、それぞれに部隊内においての特技を割り当てられます。私はその中でも航空機整備士としての任務を受け6年間従事していました。
航空機整備士も多岐に渡り、中でも私は大型輸送機のC-1、U-4、YS-11という3機種を扱う輸送航空隊に所属をし日夜整備をしていました。航空機整備士と一口に言っても更に細分化し、修理小隊、整備小隊、飛行小隊と分かれその内の整備小隊が主任務でした。
整備小隊はそれぞれの航空機の飛行前点検、飛行後点検、給油、定期整備、タイヤ交換など日常においての整備、運用をメインとする小隊です。点検において故障が見つかれば修理小隊に引継ぎ、修理をしてもらい取り付け、修理後の試運転までを請負ます。
そして点検に問題がなければ飛行隊へ引継ぎ日常の航空輸送を飛行隊が行い、帰還した航空機を引き継ぎ、飛行後点検、給油などを行います。それらを主任務とした部隊です。
「航空自衛官(航空機整備士)」の1日の仕事の流れ
日勤
6時:起床ラッパにて起床
7時:食堂にて朝食
8時:部隊待機所へ出勤、課業開始前に工具チェック、ハンガー開き、車両準備
9時:朝礼、業務開始、各分隊割り当てられた航空機の定期整備、修理へ当たる、適宜休憩を挟む
12時:昼休憩、昼食後13時まで自由時間
13時:午後課業開始、適宜休憩を挟む
17時:予定修理、整備が完了していれば終礼後課業終了、終わっていない場合残業、課業継続
18時:食堂にて夕食 以降自由時間
夜勤(非常時待機要員)
6時:起床ラッパにて起床
7時:食堂にて朝食、以降13時まで自由時間
13時:出勤、待機開始~故障発生等非常事態がない場合0時まで待機
故障等があった場合修理開始、修理完了まで任務を継続、翌6時までに修理不能な場合は日勤隊員へ引継ぎ
0時:非常事態がなかった場合課業終了
「航空自衛官(航空機整備士)」の給料・残業・有給休暇について
初任給で月給約21万円、厚生費、保険、諸控除を引き手取りで16万円程でした。
1年目からボーナスはあり二ヶ月分ほど、夏と冬に一度づつ、年収で260万円程度。勤続6年目で月給約26万円程度まで昇給を果たしました。
何か非常事態があれば残業、終わるまでは課業は続きます、災害派遣等があった場合は数日間臨戦態勢を取ります。
有給休暇は必要があれば問題なく取得が可能です、申請手続きが非常に手間であり時間がかかります。
夏季、年末休暇は交代できちんと取得が可能でした。
この仕事で、働いているときに困ったこと
働いていて困った事といえば外出、外泊に関しての制限が非常に厳しいことです。入隊後3年未満の隊員は躾時間として外出可能時刻は21時までであり、課業終了後外出可能なのが18時からとなり、平日は実質3時間以内となります。
また休日も外出可能なのは9時から21時であり、所属基地より2時間以上移動時間がかかる場合は「行動計画書」という書類を作成、提出し、上司の許可が必要です。外泊となると分単位での行動計画の作成、提出が必須となり非常に手間がかかり大変でした。
この仕事や職場でよかったこと
恵まれていた点といえばやはり衣食住全てが提供され、困る事がない点です。
作業服やシャツ、最低限の下着、肌着は支給され、毎日の3食、洗濯機や風呂などの生活必需品は隊舎(宿舎)に一定数備え付けられています。
また基地内にPX、若しくはBXといわれる購買が設置されておりコンビニ等と同程度の物を販売しています。郵便局、銀行ATMも存在し支払いサービス等も基地によって変わりますが基本的には完備されていました。
運動に必要な器具も揃っており、日常生活を営む上で最低限必要な物は提供されます。
「航空自衛官(航空機整備士)」の仕事エピソード
一番記憶に残るのは3.11、東日本大震災における災害派遣です。
当時私は「自衛官」として勤めて4年目であり、その日は休暇日であった為に隊舎に居ました。埼玉県という立地上被害が出る程の揺れではありませんでしたが大きく揺れ、災害の情報を耳にし即職場へと走りました。
到着した時には他の隊員も集まり、対策会議、特に東北へすぐに派遣のできる航空部隊であった為に出動志願を行っていました。
当時中堅隊員だった為、私自身も志願をし、航空機除染要員(原発上空を飛行する為、放射能除染が必要でした)として派遣、従事をしました。
現地の被害は酷く、基地自体も大きな被害を受け、隊員にも死者が多数存在していました。その中で任務に従事し、これが「自衛官」なのだと感じると共に、訓練時代に教わった「我々が忙しくなる事はない方が良い」という言葉を実感しました。今でもその時の記憶は鮮明に思い出せます。
「航空自衛官(航空機整備士)」の職場恋愛について
職場恋愛、結婚は多数あります。
「自衛官」は基本的に基地内、若しくは基地周辺での生活が基本であり出会いが非常に少ない職とも言えます。一般生活から隔絶されており、接触がある場合も隊員として「一般人」と接する場合がほとんどです。その為部隊内、同職での恋愛は多く、部隊員同士の結婚は何度も目にしました。
また出会いのない「自衛官」との結婚を望む一般女性を対象にお見合い企画等も度々行っているという話も耳にします。それ以外では先輩などの知人、友人の紹介等が出会い機会となります。
まとめ 「航空自衛官(航空機整備士)」を目指す方へメッセージ
「自衛官」を目指すのであれば、諦めない心を持ちましょう、体力や精神力は鍛えられていきます、まずはやる気が一番大事です、頑張って下さい!
コメント