【刑務所を支えるボランティアの存在】篤志面接委員の活動とは?

【国家公務員「刑務官」のコラム】 「刑政」に掲載された「全国篤志面接委員連盟創立30周年記念大会について」に関するコラムです。 今回は、刑務所や少年院などの矯正施設に所属している「篤志面接委員」について紹介しています。執筆は、元・刑務官の小柴龍太郎氏です。


刑務官が読む機関誌「刑政」(矯正協会発行、2018年4月号)に掲載された記事から「篤志面接委員」について紹介します。

篤志面接委員とは

「そういえば現役時代、刑務所などで働いているときは篤志面接委員さんにずいぶんお世話になったなあ」、と思い出しましたので、紹介してみたいと思います。

「篤志面接委員」とは、刑務所や少年院などの矯正施設に所属し、受刑者などが抱える悩みの相談に乗ったり、教養や趣味の指導などをしたりするボランティアの方のことです。

宗教家とか弁護士、矯正職員や教職員のOBの方などが多いようです。

受刑者の悩みは多方面に及びますから、例えば法律的なことは弁護士さんに相談すれば的確な指導をしてもらえますし、教養・趣味についてもその道の達人さんたちから指導してもらえるのでとても助かるのです。受刑者たちはもちろんのこと、刑務所としても助かるわけです。

式典の様子

式典

まず連盟会長のあいさつがあったそうですが、会長というのは南野知恵子さんです。元法務大臣ですね。

この連盟の規模の大きさとか格の高さが分かります。それはまた来賓からも分かります。

現職の法務大臣の上川陽子さんをはじめ、仏教界の代表的な名僧である大谷光淳さん(全国教誨師連盟総裁)、そして元法務大臣の野沢太三さん(全国保護司連盟理事長)。すごいですね。

そしてまた、このような方々からお祝いされ、感謝される篤志面接委員がいかに社会的に意味のある活動をしているかも伺い知れるように思います。

基調講演

法務省矯正局の大橋審議官が行ったとのことです。

本来なら富山矯正局長が行うべきところ、国会用務でやむなく審議官が代行したということですが、矯正界の事実上のトップが基調講演をするというのも、この篤志面接委員さんたちに対する法務省の並々ならぬ気持ちが表れていると思います。


ちなみに、審議官のお話は、再犯防止に関する取組状況とのことで、やはり法務省は最近再犯防止に特に力を入れているんだなあと思わせるものでした。

研究発表

これは、実際に各矯正施設の現場で活動している篤志面接委員さんが何人か登場して、日頃の活動状況などを発表するものです。

そのうちのお一人、甲府刑務所所属の望月さんは作曲家で、細川たかしさんの「北緯五十度」を作曲された方だそうです。

このような有名な方が委嘱されているのも篤志面接委員の特徴ですね。甲府刑務所では受刑者が寝る際に望月さんが作曲した「母の鈴の歌」というものが流されているということです。

まとめ

以上、全国篤志面接委員連盟創立30周年記念大会のさわりの部分だけ紹介しましたが、刑務所はこのようなボランティアの方々の支えによって成り立っています。

宗教家である教誨師さんたちもそうですし、更生保護女性会の皆さんもそうです。

このような人たちは受刑者の助けになるだけでなく、実は、刑務所で働く刑務官にとっても大変助けになっている方々です。

皆さんのようなレベルのことを刑務官がやることはほとんど無理だからです。そしてまた、受刑者たちが更生して無事に社会復帰を果たしている背景にはこのような方たちの働きがありますので、刑務官はこのことを決して忘れてはいけないのです。

(小柴龍太郎)

本記事は、2018年12月18日時点調査または公開された情報です。
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