【自衛隊の初任給】自衛隊の初任給は「入隊区分」で決まる(2018年11月情報)

今回は、自衛隊の初任給についてご紹介します。

自衛隊の初任給は、採用時の「入隊区分」によって金額が異なります。入隊区分には、大きく分けて「自衛官候補生」、「一般曹候補生」、「幹部候補生(大卒)」、「幹部候補生(大学院卒)」の4つがあります。

ここでは、入隊区分別の初任給をご紹介します。


自衛官の初任給を知るためには先ず「俸給」を知ろう

自衛隊を含む国家公務員の給料は、「俸給(ほうきゅう)」と「諸手当」により決まります。俸給という言葉は、聞きなれないかもしれませんが、法的に定められた国家公務員の基本給のことで、自衛官の場合は「防衛省の職員の給与等に関する法律」という法律に定められています。

自衛官の俸給は、人事院が作成する「俸給表」にて決められています。この俸給表は横軸の「階級」、縦軸の「号俸(ごうほう)」で構成されているものです。横軸の階級には、「士」、「曹」、「尉」、「佐官」、「将官」という5つの自衛隊における階級が記載されていて、縦軸の「号俸」には、勤続年数や功績などにおける評価を示すもので、1号、2号、3号……と記載されています。

そして、この俸給表の「階級」と「号俸」を照らし合わせることで「俸給」を求めることができます。ここに扶養手当や地域手当など「諸手当」を含めたものが自衛官の基本的な給料です。

ここから先は、自衛官の給料を「俸給」と定義してご紹介します。

自衛隊の初任給はなぜ「入隊区分」で決まるの?

自衛官の初任給は、入隊区分によって異なります。なぜ、入隊区分により初任給が決まるのかというと、入隊区分によって「階級」が異なることが理由です。

自衛官の俸給は、俸給表に定められているように「階級」と「号俸」で決まります。入隊したばかりの自衛官は、勤続年数や功績などの評価を意味する「号俸」は、どの入隊区分でも、初期値である1と変わりません。

しかし、「階級」については、入隊区分によって違いが産まれます。自衛隊の入隊区分は、大きく分けると「自衛官候補生」、「一般曹候補生」、「幹部候補生(大卒)」、「幹部候補生(大学院卒)」の4つがあります。

【入隊区分】

  • 自衛官候補生
  • 一般曹候補生
  • 幹部候補生(大卒)
  • 幹部候補生(大学院卒)

「自衛官候補生」は採用された後、所要の教育を経た3ヶ月後に「2等士」という階級に、「一般曹候補生」は採用された後、2年9ヶ月以降、選考によって「3等曹」という階級に、「幹部候補生(大卒・院卒)」は採用されると「曹長」という階級に任用されます。

ちなみに自衛隊には「士」、「曹」、「尉」、「佐官」、「将官」という5つの階級があり、「将官」に近づく程高い階級を意味します。そして、階級が高くなるほど俸給の額も高く設定されています。

そのため、自衛官の初任給は、入隊区分によって違いが生まれるのです。


「自衛官候補生」の初任給

自衛官候補生とは、陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊において「任期制の自衛官」を育てるための制度です。

採用後は、所要の教育を受け、3か月後に「2等士」という「士」階級の自衛官に任用されます。その後、2年、4年、6年と定められた任期内での勤務を行います。なお、自衛隊内の試験に合格すれば、「曹」や「幹部」階級へ昇任する道もあります。

自衛官候補生の初任給は、およそ130,800円であり、3か月を経て2士に任官した後の初任給は、166,500円です。

一般曹候補生の初任給

一般曹候補生とは、陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊において「曹階級」の自衛官を育てるための制度です。

採用後は、所要の教育を受け、2年9月以降、選考によって「3等曹」という「曹」階級の自衛官に昇任されます。自衛官候補生は、任期制の自衛隊として勤務しますが、一般曹候補生は基本的には定年まで雇用されます。なお、3等曹として4年間勤務すると、幹部候補生部内選抜試験の受験資格が与えられ、合格すると「幹部」への道が開けます。

一般曹候補生の初任給は、およそ166,500円です。

幹部候補生(大卒・大学院卒)の初任給

幹部候補生とは、将来的に自衛隊の幹部となる自衛官を育成するための制度です。

幹部候補生に採用されると、同時に「曹長」という「曹」階級に任命されます。その後、幹部候補生として一定期間の教育を受けると、「3等尉」と呼ばれる幹部ポジションに昇任されます。幹部候補生は、大学卒業(見込みも含む)22歳以上26歳未で試験を受けることができます。

幹部候補生の初任給は、大卒程度でおよそ222,000円、大学院卒程度で243,100円です。自衛官候補生や一般曹候補生と比べると、大卒程度だとおよそ55,500円、大学院卒程度だと67,600円高く設定されています。幹部候補生は、将来的に自衛官候補生や一般曹候補生の上司である幹部となることが期待されていることから、初任給が高めに設定されています。

民間企業と比べると自衛隊の初任給は高い?

自衛隊の初任給は、民間企業(一般企業)と比べると若干高めに設定されています。

民間企業の初任給は、高校卒程度は161,300円、大学卒は203,400円、大学院卒は231,400円です。自衛隊の入隊区分別の初任給はと比べると、おおよそ1万円程高めに設定されています。

自衛隊は、日本の防衛を一手に引き受ける職種です。時として危険な任務を担うこともあるため、民間と比べても給与が高く設定されているのかもしれません。

まとめ

今回は、自衛隊の初任給についてご紹介しました。自衛隊では、入隊区分ごとに初任給の額が異なります。初任給の金額は、入隊後の給料の額にも関わってくるものです。

自衛隊の給料・年収については『【自衛隊】自衛隊の階級ごとの給料はどれくらい?』記事にてご紹介していますので、合わせて参考にしてみてください。

【自衛隊の給料】自衛官の階級ごとの給料はどれくらい?


国家公務員である自衛官の「給料」について解説します。日夜、日本を守る自衛官は、国家公務員であり、他の国家公務員同様、「俸給」と「諸手当」によって給料の額が決まる制度になっています。本ページでは自衛官の給料を知るにあたって欠かせない「俸給表」についても合わせてご紹介します。

訂正のお詫び / 訂正した部分(2020年5月11日)

誤り)「自衛官候補生」として採用されると「2等士」という階級に、「一般曹候補生」として採用されると「3等曹」という階級に、「幹部候補生(大卒・院卒)」として採用さると「曹長」という階級に任用されます。

訂正後)「自衛官候補生」は採用された後、所要の教育を経た3ヶ月後に「2等士」という階級に、「一般曹候補生」は採用された後、2年9ヶ月以降、選考によって「3等曹」という階級に、「幹部候補生(大卒・院卒)」は採用されると「曹長」という階級に任用されます。

誤り)採用後は、所定の教育を受け、3か月後には「3等曹」という「曹」階級の自衛官に任用されます。

訂正後)採用後は、所定の教育を受け、2年9月以降、選考によって「3等曹」という「曹」階級の自衛官に昇任されます。

誤り)自衛官候補生の初任給は、およそ130,800円です。

訂正後)自衛官候補生の初任給は、およそ130,800円であり、3か月を経て2士に任官した後の初任給は、166,500円です。

訂正してお詫び申し上げます。

本記事は、2018年11月17日時点調査または公開された情報です。
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