【社会人から市役所になる人向け】市役所を生き抜く秘策まとめ

民間から転職し社会人採用枠で見事、地方公務員(市役所職員)となった筆者が民間経験者だからこそ感じた違和感や市役所の課題等を含め、市役所で生き抜く秘策をご紹介していきます。 市役所採用試験対策としてこれから公務員を目指す方も、現役公務員の方も必見です。


まず最初に・・社会人採用の実態

まず最初にですが市役所に入庁してくる方は8割近くは新卒者で、残りの2割程が社会人採用枠での民間経験者か他機関で専門職として従事されていた技師さんです。

私自身は技師ではなく、民間経験5年以上というその年に出されていた条件をクリアし、年齢制限スレスレで社会人枠の事務職を応募しました。

社会人枠の応募条件は市町村で異なりますし同じ市町村であっても毎年応募条件が同じとは限りません。

去年社会人枠を2名取ったから来年も2名出るとは限りませんし、1名という枠で応募がかかっても実際に1名だけ合格とも限りません。これは社会人採用枠だけでなくとも事務職や専門職等募集にかかる全体枠にいえることです。

かくいう私の時もそれまで社会人採用はされたことがなく初の試みで設けられた年で、1名採用と募集されていましたが最終的に社会人枠採用の合格者数は3名でした。

予算の関係上取れる人数は決まっていますがどうしても取りたい人材があれば例え1名と枠が決まっていても複数とる場合もあるということです。

近年の他市町村の社会人採用枠の動向を見てみると確実に社会人採用枠は多く増えている傾向が見て取れます。

やはり即戦力として使える人材は民間のみならず公僕においても必要急務ということだと思われます。

当市の採用状況においても、当市の施策として近年スポーツに力を入れる必要が出てきたため社会人枠でスポーツ採用も始めています。
これをみて分かるように募集条件、募集傾向等は市の裁量により、市が何の施策を講じ何に力を入れ市の運営を目指しているかにより募集内容は市の特徴が大きく反映されています。

市役所職員になりたい方はまず市町村の動きをHPで常にチェックされることが一番の得策と思われます。

では、社会人経験を経た私が体感した市役所を生き抜く秘策をご紹介していきます。


市役所を生き抜く秘策その1「キーパーソン探し」

市役所はいい意味でも悪い意味でも個人主義です。

チームワークはほぼ皆無と思っていただいてよいでしょう。

当然部署の性質や仕事内容により若干差はあるとは思われますが私が在籍した市役所生活9年間中、3部署異動になりましたがどこの課も同じように個人主義でした。

私の市役所がそうなのか日本全国市役所とはそういう物なのかは分かりませんが私の体験に基づいてお話します。

入庁後初めて配属された部署からまず印象的でした。

質問してもほとんど誰も教えてくれず「これはどうすればいいですか?」と聞いたところで「前年のファイルをみて」で終わる始末でした。

見てわからないから聞いてるんです!と、何度心で叫んだか分かりません。

この状況は残念ながら私だけではなく社会人採用となった他職員にも聞いてみましたが同じ感想を持たれていました。

社会人採用枠が嫌われているのか、新卒ほど新鮮さが無く年齢もいって可愛さが欠落されているからか、相手が教えようと思えない理由は挙げれば山ほど当方にある可能性は否めません。

しかし、そんな中でも確実に原因の一因と思われる状況がありました。

それは、各職員に余裕が無い現状があることです。

規定では昼休みは1時間あります。
1時間をフルに昼ごはんやリラックスに当てている職員が何人いるかですが残念ながらほとんどいません。

自席で10分程度でお昼ご飯を済ませ仕事をしている姿は稀ではありませんでした。

私も例外無く昼休みこそ仕事を片付けたいのでそそくさと昼ごはんを終わらせた後は仕事をしていました。

何故なら昼休みは市民からの外線電話も他課からの内線電話も少なく仕事を進めるにはもってこいの集中出来る時間となるのです。
昼休みにどれだけ仕事を進めれるかで夜の残業にも影響します。


しかし、どれだけ昼休みに巻いて時間を捻出しても自力で調べ前年のファイルをみても難解な専門用語が並びただひたすら分からず調べるのに時間が取られ市役所に入庁したばかりの1年はほとんど残業で帰宅するのは遅かったです。

私が入庁してから10年が経ちますがこの10年の間でもどんどん市役所の仕事内容が細分化されています。

退職者数が多いにも関わらず採用人数が上回っていない為市職員数はどんどん減っています。

他市への流出や少子高齢化で市の人口数も減り予算計上も大変厳しい中、市職員の採用人数が見合っていないのでいかに少ない職員で市民のニーズに応え市民サービス向上を尽くすか、それは単に一人の職員の負担を煽っている現状です。

そんな現状なのでわざわざ自分の時間を削ってまで手取り足取り教えてくれる人は少ないです。

なので私が講じた秘策をご紹介します。

それは自分を救ってくれるキーパーソン探しをすることです。

伝票関係はこの人、予算関係はこの人、事務関係はこの人という風に自分が困った時にすぐ教えてくれる人を探しておくことです。
個人主義だろうがチームワークが強かろうがやはりネットワークを広げておくというのは自分のライフラインになります。

仕事の処理時間は明らかに迅速になり、自分の仕事効率化だけだなく、それは市民へ還元に即座に繋がります。

グループ内にキーパーソンをみつけられることが最高ですが、グループ外であっても課内や課外、とにかく席に言ってすぐ聞ける環境、席が遠くても内線ですぐに教えてもらう環境をいかに自分が整えるかが市役所人生で生き抜く第一の秘策となります。

市役所を生き抜く秘策その2「なりたいイメージを強く持つ」

市役所はビックチャレンジはまずしません。

前年踏襲主義を重んじます。

前年と同じことをやっておこうという職員が大多数を占めていました。

市民サービス向上の為果敢に前向きにチャレンジし新しい発想や他の打開策、違う視点からの考察等の模索はあまりしない傾向にあったように思います。

去年やったことをいかに今年も無難にこなしていくかという姿勢の方が多かったです。

何故このような流れになるのか考えてみましたがやはり批判を恐れてこのスタンスが出来上がっているように思われます。

どこからの批判か。

それは、市民からの批判であり、グループ内外、課内外、ひいては市長とあらゆる方向からの批判を恐れてのことと思われます。

何故こんなに批判を恐れるのかは、やはりそれこそが市役所という組織なのかもしれません。ハイリスクハイリターンの施策は老若男女全市民からの賛同は貰いにくいです。


公僕として仕える身だからこそリスクをとるより今の現状を着実に安定運営することこそ、市全体の奉仕者としての特徴なのかもしれません。

なので現状維持が鉄板であり前年と同じ体制、事業を死守していくことこそが職務という傾向が強かったです。

ですが、だからといって前年と違うことが出来ないのかというとそんなことはありません。やはり自分次第です。

例えば、私が担当したとある事業の話をします。

毎年行っている市の看板事業であり例年複数の課をまたいで部全体で年間通して事業を走らせる大変大きな事業で、市全体の若者が参加する大変活気のある事業内容を担されました。

ただ私がその担当となる年まで市職員が企画運営から準備、当日の仕切り後片付けまで市職員任せでせっかく若者が参加しているにも関わらず大変勿体無い状況でした。

なので私は自分が担当になったその初年度からどんどん若者を企画の前段から話しあいに参加させ若者たちの現場の意識改革に着手し始めました。

同時に現場の気運を高めながら市役所内部の意識改革に乗り出しました。

若者がこんなに気運が高まっているからこそ、市としてももっと若者を活かすやり方を取り入れることこそ市の活性化に繋がり、それこそが将来の市を支えリードする人材育成に繋がることをグループ内外、課内外、部課長上司に訴え調整を続けました。

最初は批判を恐れ、前年踏襲主義の雰囲気だった内部が最終的には市長の決裁を頂きこの事業はいまや若者主導の事業へと100%変貌しました。

このことは市民主導、若者の地域参加の目玉事業として当時の新聞で大いに取り上げられ、ひいては全国紙としても取り上げられ各市町村から視察したいという電話が殺到するまでになりました。

そして、彼ら若者たちの頑張りにより全国で表彰されることにより担当の私と彼らとで東京へ表彰式に参加することとなりました。
その後、この活動は次世代に引き継がれ毎年OBという形で継承されています。

私自身異動し彼らとは仕事上離れてしまいましたがそれでもプライベートで交流が続いていていまや大事な仲間になっています。

このように、市役所の特徴として前年踏襲、ことなかれ主義等あったとしても自分がどういう市民サービスをしたいかというイメージを強く持つことは市役所人生を生き抜く大事な秘策となります。

市役所を生き抜く秘策その3「予算の勉強をする」

市役所は予算で動いています。

今年中に来年の予算を決め次年度になった際にはその前年で決めた予算を実際に執行し予算の中で物を買ったり事業を進めていくことができます。

そうなると昨年作った予算を今年度8割しか使わなかった場合来年の予算をいくらにするか計上し査定する際、来年度は8割に落としてしまおうか?と財政からヒアリングされます。

そうなると担当課としては予算が少なくなるのは嫌なのです。

来年度使える予算を削られるのは大変困ります。財政から変につっつかれない為にも今年頂いた予算はきっちり使い切ろうという変なサイクルが生まれてくるのはこのためです。

反対に予算が無いばかりに毎日市民サービスに使っている機械が壊れそうになっても予算が無い為買い替えできない場合もあります。
機械だけでなく消耗品関係でも発注が1年に1回しか購入が許されていない場合もあります。


そうなるとどうみても足りなくなるのは分かっているのに買えないジレンマが発生するのです。

毎日市民が来庁され注文があるので必要に応じきちんと消化されていくにも関わらず1年に1回の予算取りしか出来ていないために年度途中で買いたいのに買えないという大変ピンチな状態が毎年起こります。

そうなると市民サービスの低下を招きます。
市役所人生を生き抜くには予算を勉強することが鉄板です。

予算の立て方や予算の計上の仕方、財政からのヒアリングを受ける際のコツ等を先輩から聞いたり研修にどんどん参加して自分が事業をやる上で困らないように日々予算のことを頭においておくことをお勧めします。

市役所を生き抜く秘策その4「地域を知る」

公務員という看板を背負ってみて初めて分かったことですが、公務員とは公私ともに凄い威力があることだと今更ながら実感しています。

知らない人にでさえ「市役所で働いています」と告げると自動的に信用力がグンとアップする機会に度々遭遇するからです。

クレジットカードを作る際も、家や車を購入する際も、なんにしても信用が厚いので色んな付随する特典やサービスが受けやすくなります。

その信用力は同時に子どもの保護者会や地域行事等何でも順番があたりやすくなる側面もあります。

公務員だから奉仕作業も、高齢者見回りも、地区大会等の行事も、婦人会、子ども会挙げればきりありませんが色んな役が一番に回ってきました。

残念ながらそれを断る勇気は私にはなく、申し込まれたらそれを引き受けるしかありませんでした。

うちが田舎な為尚更その傾向が強いのかもしれませんが公務員という職種は公私ともに信用力が付随してくるのでその責任と役割を果たすことが常に伴いました。

婦人会長も、子供会長も、地区行事運営委員も、老人会の手伝いもどれも面倒くさいというのが正直なところであり、うちは母子家庭なので尚更私が家を空けたら子どもを見てくれる人がおらず本当に大変でした。

ですが、どれも経験してみてこそ得られる発見や驚きや地域の繋がりがあったのも事実であり、民間にいた際はここまで地域行事には参加していませんでした。

決して自ら希望して得られる体験ではないからこそ、実は実りある自分への収穫になりえ、私はどれも参加してよかったと思えることばかりでした。

そして、何より地域行事に参加し地域の方とふれあいネットワークを広げることは仕事上また市民参加を促す上で大変相乗効果をもたらします。


市役所人生を生き抜く上での秘策として、地域行事に参加しどんどん地域を知ることをお勧めします。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は民間から公務員に転職した筆者が市役所を生き抜く秘策をご紹介しました。

民間で働くのも公務として地域サービスに努めるも、一住人としてそこの地域で生活する以上役目は必ず発生し、自分だけでなく家族全員がお世話になる地域と何らかの繋がりが必要不可欠で役割は必ず伴います。

公務員の性質上ハイリスクハイリターンな施策は出来ない為、住民の安心安全を考えた場合ある程度前年踏襲主義になるのも避けられません。

こういう現状がある中で自分はどういった公務員になりたいのか、どういった住民サービスを目指していきたいのか、自分の公務員像を明確にすることが入試試験に向け準備する際大いに役立ちます。

そして、公務員になった後も上記にお伝えした秘策はご自身を楽しく自分がイキイキと働ける方法として導いてくれるツールになれたら幸いです。

本記事は、2017年7月1日時点調査または公開された情報です。
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