【市役所職員に聞きました!】「市役所と県庁」の仕事の違いとは?

「市役所職員」と「県庁職員」はともに公務員であり、市民の為、県民の為に働くという点で、似たような業務もありますが、異なる面もまた多くあります。

本記事では、「市役所職員」として働いた経験のあるMさんに、「市役所と県庁」の仕事の違いについて、コラムにして書いてもらいました。


はじめに

地方公務員を目指すみなさんにとって、市役所と県庁のどちらが自分に合っている職場なのかというのは気になるところだと思います。

私の夫は現職の県職員で、私自身は県庁所在地の市役所で事務職員として13年間働いていました。日常的にお互いの仕事について話すことで気が付いた、市役所と県庁の仕事の違いについてレポートしたいと思います。

その1:窓口業務

住民として訪れる機会が多いので、市役所に窓口職場が多いのはみなさんもご存じかと思います。ほとんど全てのフロアが市民に対して開かれていて、あまり市民にとって用事のない課でもいわゆるカウンター(窓口)の向こう側に職員は座って業務を行っています。

一方で、県庁はそれぞれの課はドアを開けてから入る部屋の中にあるため(あまりいませんが)課を訪ねてきた県民が突然現れるということはないようです。

市役所では開庁時間内は常に見られる可能性があることから、市民の目を意識した行動が求められます。

例えば、ペットボトルから飲み物を直接飲むことが「下品」、省エネ対策で暖房の設定温度が低いときに外用の防寒着を来ていたら「非常識」、同僚と談笑していると「勤務時間内に雑談するな」など、ささいなことでも苦情がくることがあります。昼休みも外食しない場合には自分の机で食べるので、常に他人の視線にさらされることが苦痛な方にはきつい職場かもしれません。

ただし、県庁にも窓口職場がないわけではなく、保健所や県税事務所など頻繁に住人が訪ねてくる窓口職場もありますので、県庁なら窓口対応がまったくないというわけではないこともお伝えしておきます。

その2:仕事の規模

市や県では、予算を財政課に要求し議会で認められた予算の範囲内の仕事をします。

市役所の事業予算には、国が作った事業の国庫補助事業、県が作った事業の県単独補助事業、市が独自で作る市単独補助事業がありますが、割り振られる予算額は圧倒的に、国>県>市となる場合が多いです。このため、特に規模の小さな市役所では自分の考えた事業を作るという楽しみはあまり味わえないかもしれません。

また、同じような内容の事業でも、県庁であればこれからの県の方向性を考えた汎用性の高い規模の大きな事業になりますし、市役所なら今現在直面している課題を解決するための比較的規模の小さな事業が作られることが多いです。

つまり、地方公務員としてスケールの大きな仕事(事業)をやってみたい、作りあげてみたいという場合には、市役所よりも県庁の方が向いていると言えるかもしれません。


その3:仕事相手

市役所で一番対応する機会の多い仕事相手は市民です。

課にもよりますが、市民課や国保年金課などでは、電話や窓口対応で一日のほとんどが終わることも多いです。証明書を取り来たり申込書を持ってきたりという要件の方がほとんどですが、中には何らかの問題を抱えて相談しに来られる方もいます。

常識的なお客様が多いですが、最初から高圧的な態度を取ってきたり、怒鳴ったりする方に当たると、神経をすり減らして応対することになります。

一方で、県職員は県民の来庁者への応対や電話対応をすることは少ないです。かかってくる電話は庁内の他の課からや市町村からの問合せがほとんどということです。

県民からの場合もほとんどが「こちらで聞いていいのか分からないんですが…」といった感じで申し訳なさそうに電話してくるそうです。

その4:やりがい

前述の通り、市役所では市民に接することで憂鬱になる面もありますが、市民に近いからこそやりがいを感じる機会も多くあります。

問題が解決したり、要望が通ったことで市民から感謝される機会も多いですし、スケールは小さいですが市民からの要望を直接聞いてこれまでになかった事業を作ることも出来ます。

県庁では新たな事業を作ったり、国から依頼があるような大きな事業で市町村をまとめたりすることになるので、スケールの大きな仕事に魅力を感じる方はやりがいを感じられるでしょう。

その5:仕事の難易度

事業計画の策定、予算・決算の書類作成などの事務作業や関係法令の理解といった面で言うと、県庁職員の方が勉強が必要になると思います。

実際、市役所時代に在籍期間の長い同僚に聞いても答えられず、自分で調べても分からないことでも、県庁に聞くと即答してくれるということは日常茶飯事でした。それだけ、各市町村からたくさんの質問がくるのでしょうし、勉強もしっかりとしているのだと思います。

県によって違いはあると思いますが、当県では県庁の方が異動の間隔が短く、短くて2年、4年在籍すると一番古株といった感じですが、市役所は3年以上在籍することが多く6年を超えて異動がないこといもめずらしくありません。

県庁も市役所も新しい課に異動すると前の課の知識はほとんど使えず一から勉強しなおすことになるため、必然的に県庁職員の方が新たなことを学ぶ場面が多くなります。

公務員試験の難易度は県も市もさほど変わりませんでしたが、仕事で実際に関わってみると県庁の方が頭の切れる、仕事のできる職員が多いと感じました。入庁後も勉強し続けることで頭が磨かれていくからかもしれません。

その6:お互いの立場

県は各市町村を取りまとめて指導する立場なので、市町村では判断できなかった問題に対して、法令を読み解いたり国に問合せするなどして対応方法を教えてくれます。市職員からすると県職員は心強いプロフェッショナルです。

また、市は県からは補助金をもらっているので、県職員に対しては失礼があってはいけない上の立場という付き合い方になると思います。同じ課長や部長という役職でも、立場としては国>県>市の順に高くなります。


まとめ

以上が、「市役所職員」だった私が、「県庁職員」である主人との会話の中で感じた、「市役所と県庁の仕事の違い」です。

公務員を目指したいけれど、「市役所」と「県庁」のどちらが自分に合っているのか、まだ明確でない方は、ぜひこの記事をご参考下さい。

本記事は、2020年3月4日時点調査または公開された情報です。
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