「内閣」とは「内閣総理大臣を補佐する人たち」の集まり
日本における内閣とは、行政権を担当する機関であり、端的に言うと政治を行う機関です。
内閣は、「内閣総理大臣」と「国務大臣」から組織されている
国務大臣とは、文部科学大臣や厚生労働大臣のようにいわゆる大臣と付く役職であり、それぞれの省のトップです。
国務大臣は内閣総理大臣が任命する仕組みになっており、この人選は非常に重要です。基本的には自らの政党における信頼性のある人物か、連立を組む政党から選ぶのが通例となっています。
「官房長官」や「副総理」も内閣のメンバー
内閣を構成する役職として、他に「官房長官」や「副総理」という職があります。
「官房長官」は内閣の諸案件を調整し、必要に応じて報道記者らに発表を行ったりする重要な役職です。
「副総理」は内閣総理大臣に万が一のことがあった時に代行する役職ですが、普段から外交などで他国の政権幹部と対話をすることが多い役職です。
「内閣総理大臣補佐官」や「内閣総理大臣秘書官」
内閣総理大臣を直接的にサポートする役職としては他にも「内閣総理大臣補佐官」や「内閣総理大臣秘書官」などあり、カメラの前に登場することは少ないですが大切な役割を担っています。
似てるけど違う、「内閣官房」と「内閣府」の役割について
内閣官房と内閣府は名前こそ似ているものの、その役割や構成する人物は異なっています。
「内閣官房」の役割
「内閣官房」とは内閣及び総理大臣を直接的に補佐する機関です。
ここで行われる事務は官房長官が統括しています。事実上、内閣総理大臣と最も距離が近い機関であるため、官房長官には強く信頼できる人物を任命するのが通例です。全ての府省よりも上位に位置付けられており、官房副長官は官僚のトップとも言われています。
「内閣府」の役割
「内閣府」は各省庁のいずれにも該当しない業務を行ったり、複数の省庁にまたがる事項の調整をしたりするのが主な役割です。簡単に言うと省庁のまとめ役のような役職です。
内閣官房が内閣の方針に影響するのに対し、決定事項を実際に行っていくのが内閣府です。その役割の都合上業務の量が多く、たくさんの人材が所属しています。
特に昨今では認定こども園の問題や領土問題など、1つの省庁だけでは担いきれない事案が増えており、業務の量は拡大を続けています。
この機関のトップは内閣総理大臣とされますが、実際はその業務の量があまりに多いので特命担当大臣を置くケースが多いです。特命担当大臣を置く際には金融担当、防災担当、宇宙政策担当、知的財産戦略担当など、その役割を明確にした上で任命するようになっています。
この2つの機関を兼任している方も多くいることから、その違いがやや分かりにくくなっています。直接的に総理大臣を補助しているかどうかが最大の違いと言えます。
各省のトップ「国務大臣」とは?
一般に大臣と呼ばれる人は、「内閣総理大臣」か「国務大臣」のどちらかということになります。それらの役職にある方々を特別職国家公務員と呼び、公に奉仕する仕事ではありながら一般の公務員とは明確に区別されています。
大臣については、以下の記事でも詳しく説明していますので、あわせてご参照ください。
政治関連のニュースを見ているとよく目・耳にする「○○大臣」という言葉。ですが、現在の日本の制度における「大臣」とはどのような立場の人なのか、どうやって「大臣」になるのか、「大臣」の仕事内容や給料など、詳しく知らない人は多いと思います。今回は、日本の大臣について、わかりやすくまとめました。
内閣総理大臣は国会議員の中から、国会の議決で指名
内閣総理大臣は国会議員の中から、国会の議決で指名することになっています。国会議員の方は一人一票投票権を持ち、衆議院と参議院でそれぞれ投票が行われます。もし、衆議院と参議院で得票数一位だった人物が異なっていた場合は両院協議会が開催され、それでも成案が得られなければ衆議院の指名が国会の議決となります。
国務大臣は内閣総理大臣によって任命
国務大臣は内閣総理大臣によって任命されます。国務大臣に任命された人物には国民やマスコミから注目を集めることとなり、もし何らかのスキャンダルが発覚した場合は内閣に大きなダメージを与えることにもなりかねません。
そこで内閣総理大臣は極めて慎重に人選を行う必要があります。その任命方法は内閣を組織する政党によって微妙に異なりますが、過去の実績や人間性を重視するケースが多いです。
各省庁のトップとして特定の行政分野を担当している大臣のことを行政大臣と呼ぶこともあります。
日本国憲法では国務大臣の過半数は国会議員でなくてはいけないと規定されています。裏を返せば半数未満であれば国会議員でない方を指名することも可能です。
つまり、大臣が国会議員で無くなったとしても、それにより国会議員でない大臣が過半数に達しない限りはその役職を失うわけではありません。内閣総理大臣と各省庁の大臣によって行われる会議を閣議と呼び、行政に関する重大な事項を決めることもあります。
内閣法により、内閣は閣議によって職権を行うと定められています。
内閣法によると内閣は閣議によって職権を行うと定められており、その重要性が明記されています。
ただし、憲法や法律に大きく関わるような重大な決定については閣議だけで決定せず、衆議院や参議院で議論する必要があると考えている方も多いです。
一方でスピード感を持って決定するべき事項は閣議によって決める必要性が高いと言えます。
平成29年4月時点の内閣のメンバーは?
第3次安倍第2次改造内閣(平成28年8月3日発足 平成29年4月26日現在)
内閣総理大臣は、安倍晋三氏、副総理は、麻生太郎氏、官房長官は、菅義偉氏です。
職名 | 氏名 | 特命事項等 |
---|---|---|
内閣総理大臣 | 安倍晋三 | |
財務大臣 内閣府特命担当大臣(金融担当) |
麻生太郎 | デフレ脱却担当 副総理 |
総務大臣 内閣府特命担当大臣(マイナンバー制度担当) |
高市(山本)早苗 | |
法務大臣 | 金田勝年 | |
外務大臣 | 岸田文雄 | 内閣総理大臣臨時代理 就任順位第4位 |
文部科学大臣 | 松野博一 | 教育再生担当 |
厚生労働大臣 | 塩崎恭久 | 内閣総理大臣臨時代理 就任順位第5位 |
農林水産大臣 | 山本有二 | |
経済産業大臣 内閣府特命担当大臣 (原子力損害賠償・廃炉等支援機構担当) |
世耕弘成 | 産業競争力担当 ロシア経済分野協力担当 原子力経済被害担当 |
国土交通大臣 | 石井啓一 | 水循環政策担当 |
環境大臣 内閣府特命担当大臣(原子力防災担当) |
山本公一 | |
防衛大臣 | 稲田朋美 | |
内閣官房長官 | 菅義偉 | 沖縄基地負担軽減担当 内閣総理大臣臨時代理 就任順位第2位 |
復興大臣 | 今村雅弘・吉野正芳 | 福島原発事故再生総括担当 |
国家公安委員会委員長 内閣府特命担当大臣 (消費者及び食品安全担当/防災担当/海洋政策担当) |
松本純 | 領土問題担当 国土強靱化担当 |
内閣府特命担当大臣 (沖縄及び北方対策担当/クールジャパン戦略担当/知的財産戦略担当/科学技術政策担当/宇宙政策担当) |
鶴保庸介 | 情報通信技術(IT)政策担当 |
内閣府特命担当大臣 (経済財政政策担当) |
石原伸晃 | 経済再生担当 社会保障・税一体改革担当 内閣総理大臣臨時代理 就任順位第3位 |
内閣府特命担当大臣 (少子化対策担当/男女共同参画担当) |
加藤勝信 | 一億総活躍担当 働き方改革担当 女性活躍担当 再チャレンジ担当 拉致問題担当 |
内閣府特命担当大臣 (地方創生担当/規制改革担当) |
山本幸三 | まち・ひと・しごと創生担当 行政改革担当 国家公務員制度担当 |
国務大臣 | 丸川珠代 | 東京オリンピック・ パラリンピック競技大会担当 |
まとめ
以上、「総理の仕事(2) - 内閣総理大臣を補佐する仕事について」でした。
その他の「総理の仕事」シリーズも、あわせてご参照ください。
コメント