「厚生労働省」が公表している「ブラック企業リスト」とは?
「厚生労働省」は「労働基準関係法令」に違反した疑いで送検された企業などの一覧表を、「厚生労働省」のホームページで公表しています。この一覧は通称「ブラック企業リスト」と呼ばれ、一般に公開されています。この「厚生労働省」の「ブラック企業リスト」は毎月更新され、違反してから約1年間掲載され続けます。
「ブラック企業リスト」には、労働者に危険な環境で仕事をさせたり、労働災害を報告しなかったりした企業のほか、平成27年度(2015年)からは、「違法な長時間労働を繰り返している企業」に対しても指導や公表が行われるようになったようです。
労働基準法違反の企業を公表することで、企業や事業所の労働環境改善を促すことはもちろん、雇用される側はより労働環境の良い企業を選び、求人に応募することができると言えます。
「厚生労働省」の下部組織である全国のハローワークでは、この一覧に掲載された企業への新卒求人を受け付けないなどの措置を取っているようです。
参考:厚生労働省ホームページ「ハローワークでは 労働関係法令違反があった事業所の 新卒求人は受け付けません!」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000184718.pdf
「ブラック企業リスト」に公表する企業の基準とは?
「厚生労働省」が長時間労働に関しての労基法違反企業を「ブラック企業リスト」に掲載する基準についてご紹介します。
「厚生労働省」は違法な長時間労働を複数の事業所で繰り返している「社会的に影響力の大きい」企業を対象にして指導と公表を行うことによって、他の企業についても自主的に労働環境を改善することを促進し、社会全体の長時間労働を是正していく狙いがあるようです。
長時間労働について「ブラック企業リスト」に掲載される可能性があるのは、まず「複数の都道府県に事業場(支店など)がある企業」で、「中小企業者ではない企業」です。
その中で、労働時間や休日、割増賃金について労働基準法違反があり、かつ1カ月あたりの時間外・休日労働時間が100時間を超える「違法な長時間労働」をしているのが、1つの事業場のなかで10人以上、もしくは4分の1以上という「相当数の労働者」に及んでいて、約1年ほどの期間中に3カ所以上という「一定期間内に複数の事業場で繰り返される」という状況にある企業が、「労働局」による指導・公表
の対象となります。
「ブラック企業リスト」に一度載ってしまうと、たとえ状況が改善したとしても約1年間はリストに掲載され公表され続けてしまうようです。特に問題を抱えている企業側は、リストに載らないよう改善が急がれます。
参考:厚生労働省ホームページ「違法な長時間労働を繰り返している企業に対する指導・公表について」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000085324.pdf
全国の「労働局」ごとに公表される労基法関連法違反企業のリスト
「厚生労働省」が公表している「ブラック企業リスト」は、全国の「労働局」が作成したリストを集約したものです。
「労働局」とは、「都道府県労働局」とも呼ばれ、その名の通り全国に設置されている「厚生労働省」の地方支分部局の1つです。具体的な名称は「地名+労働局」で、「東京労働局」や「北海道労働局」のように都道府県名が付きます。都道府県名が付きますが、地方自治体の組織ではなく、あくまで国の出先機関です。
「労働局」の下部組織には、「労働基準監督署」と「公共職業安定所(ハローワーク)」があり、「労働局」の中に一部設置されている場合もあります。
「厚生労働省」の「長時間労働削減推進本部」の通り組み
「厚生労働省」では、長時間労働など働き過ぎ防止に取り組んでいます。平成26年に施行された「過労死等防止対策推進法」に基づき、「過労死ゼロ」を掲げて「厚生労働省」には「長時間労働削減推進本部」が設置されています。
また、全国の「都道府県労働局」には「働き方改革推進本部」が設置され、長時間労働対策はもちろん、年次有給休暇取得を促進するなどの業務にあたっています。
このように「長時間労働削減」や「過労死防止」は「厚生労働省」の組織全体の課題として最前線で取り組まれている業務の一つと言えます。
参考:厚生労働省ホームページ「長時間労働削減に向けた取組」
https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/151106.html
まとめ
このページでは「厚生労働省」が公表する「ブラック企業リスト」の内容についてご紹介しました。「長時間労働」など労基法違反のある企業を公表し、労働環境の改善を狙いとした「ブラック企業リスト」は、「厚生労働省」が組織全体で取り組む「働き方改革」の施策の一役を担っています。
企業側はこのリストに掲載されないような努力をすることはもちろんですが、労働者もこのリストを参考に求職活動をすることで、企業側も改善せざるを得ないといった情勢ができあがることが期待されます。
「厚生労働省」としては社会全体で「長時間労働」や「過労死」の問題に取り組む制度づくりが急務となっており、「ブラック企業リスト」の公表をはじめとした様々な施策を通して「過労死ゼロ」「長時間労働削減」の実現を目指しているようです。
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