はじめに – 「厚生労働省」の組織体制について
先の中央官庁「厚生労働省」の基本情報では、その役割や組織構成、予算などの情報をまとめました。「厚生労働省」の基本情報は、下記の通りです。
「厚生労働省」は、東京都千代田区霞が関にあり、2001年に設置、定員は、3万2,214人で、年間予算(平成30年度)は、約31兆4,298億円です。
今回は、国家公務員総合職や一般職の方がどの官庁へ就職するかの判断材料になるための詳細情報をまとめました。
それでは、今回は基本情報に続いて、詳しい組織体制について解説します。
「厚生労働省」の組織概要
「厚生労働省」の組織は、「厚生労働大臣」を長とし、「幹部」組織と大きく12の「内部部局」を中心に構成されています。加えて、1つの「外局」とその他の機関などがあります。
なお、「外局」には、「中央労働委員会」があり、その他には、17の「審議等機関(社会保障審議会等)」、13の「施設等機関(検疫所)」、2つの「特別の機関(自殺総合対策会議等)」、3つの「地方支分部局(地方厚生局等があります。
「厚生労働省」の組織分析
「厚生労働省」の主な業務は、生涯のあらゆる局面で安定・安心が得られるようなセーフティーネットの提供や、社会福祉・公衆衛生・労働環境の整備、職業の安定・人材育成等を通じた国民の自立支援や能力を発揮する機会の提供、老後の所得保障や医療・介護・子育て分野での雇用の創出などです。
下記のように「厚生労働省」のホームページにて紹介されています。
厚生労働省は、「国民生活の保障・向上」と「経済の発展」を目指すために、社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上・増進と、働く環境の整備、職業の安定・人材の育成を総合的・一体的に推進します。
また、少子高齢化、男女共同参画、経済構造の変化などに対応し、社会保障政策と労働政策を一体的に推進します。
- 出典
- 厚生労働省について
「厚生労働省」の上部組織・下部組織について
「厚生労働省」の上部組織は、ありません。下部組織には、「外局」の「中央労働委員会」があります。
12の「内部部局」について
「内部部局」について説明します。
まず、12の「内部部局」の内訳は、下記の通りです。
1)「大臣官房」
2)「医政局」
3)「健康局」
4)「医薬・生活衛生局」
5)「労働基準局」
6)「職業安定局」
7)「職業能力開発局」
8)「雇用均等・児童家庭局」
9)「社会・援護局」
10)「老健局」
11)「年金局」
12)「政策統括官」
「大臣官房」とその業務について
「厚生労働省」の「内部部局」の1つである「大臣官房」の主な業務は、人事、総務(法令審査、国会業務)、会計、職員の研修や福利厚生のほか、情報の収集や広報、海外の関係機関との連絡・調整、科学技術・健康危機管理等の所掌事務の総合的な調整です。
また、「大臣官房」では、厚生労働省の行政を総括し、基本政策の立案、法令の制定改廃、予算編成、組織、人事、国際関係および統計等を含めた総合調整が行われています。
このように、「大臣官房」は、国会、省庁、マスメディア、国民一般及び対外国等に関する省全体の代表窓口としての機能を果たしている部局です。
なお、「大臣官房」は、2人の「総括審議官」、1人の「技術総括審議官」、1人の「総合政策・政策評価審議官」、1人の「サイバーセキュリティー・情報化審議官」、1人の「年金管理審議官」、14人の「審議官」、7人の「参事官」と6つの課によって構成されています。
1)人事課 機密に関することや、職員の給与・人事に関する業務を担当しています。
2)総務課 公文書類の審査・進達、省の所掌事務に関する総合調整等を担当しています。
3)会計課 一般会計および特別会計に関する経費・収入の予算・会計に関する業務を担当しています。
4)地方課
5)国際課 国際機関・億才会議ならびに外国の行政機関・団体に関する事務の調整を担当しています。
6)厚生科学課 疾病の予防および治療に関する研究、災害対策に関する事務の総括などの業務を行っています。
「政策統括官」とその業務について
「厚生労働省」の「内部部局」の1つである「政策統括官」は、省庁再編に伴って新設された局長級の職です。
そのため、「政策統括官」では、そのときどきの政策課題の変化に機動的に対応できるよう官房や局に属さず、基本的な政策の企画や調整などを受け持つことになっています。
このような「政策統括官」の主な業務は、社会保障政策と労働政策を総合的で一体的な推進を図るために「厚生労働省」の総合的で基本的な政策を策定することと、政策評価などです。
なお、「政策統括官」では、厚生労働行政に関する年次報告書の作成や経済問題に関する総合的な分析、人口政策の実施も行われています。
さらに、「政策統括官」の業務には、労働基本権の保障および労働関係の調整を図り、労使関係の安定に努め、政策立案を支援する各種統計調査の企画、実施、解析と厚生労働省における行政情報化推進のための情報処理システムの企画、開発などがあります。
「医政局」とその業務について
「厚生労働省」の「内部部局」の1つである「医政局」は、国民の健康を守るための部署です。
現在、日本の医療を取り巻く環境は、高齢化などを背景とした疾病構造の変化や医療技術の進歩などによって大きく変化しています。
このようなの中で、「医政局」の主な業務は、下記の通りです。
1)医療機能の役割分担と連携した医療を担う人材の確保と資質の向上
2)救急・周産期医療の整備
3)医療のIT化などの国民が質の高い医療サービスを受けられるよう医療提供体制の整備
また、「医政局」では、医療の質を求める国民の声に応えて、 21世紀における良質で効率的な医療提供体制の実現に向けた政策の企画立案なども行われています。
なお、この「医政局」には、さらに下に8つの部署「総務課」「地域医療計画課」「医療経営支援課」「医事課」「歯科保健課」「看護課」「経済課」「研究開発振興課」が置かれています。
「健康局」とその業務について
「厚生労働省」の「内部部局」の1つである「健康局」の主な業務は、大きく5つあります。
1)生活習慣を改善して疾病の発生を予防し、健康寿命を延ばす施策
2)臓器移植対策
3)エイズやインフルエンザ等の感染症の予防
4)難病対策
5)原爆被爆者対策などを行った国民の健康保持・増進への取組
このような「健康局」では、ほかにも、理容・美容などの生活衛生関係営業の振興や、安全な水道水の供給などの快適な生活環境の確保などの業務も行われています。
さらに、「健康局」では、保健所等を通じた地域保健の向上や、エボラ出血熱・エイズ・結核などの感染症・糖尿病・がんなどの生活習慣病の対策を講じるとともに、適正な臓器移植の推進を図り、国民一人一人の健康の向上にも取り組んでいます。
なお、「健康局」には、さらに下に5つの部署「総務課」「健康課」「がん・疾病対策課」「結核感染症課」「難病対策課」が置かれています。
「医薬・生活衛生局」とその業務について
「厚生労働省」の「内部部局」の1つである「医薬・生活衛生局」の主な業務は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器および再生医療等製品の承認審査や安全対策、血液事業、毒物・劇物の取締り、麻薬・覚せい剤・危険ドラッグ対策などです。
このような「医薬・生活衛生局」では、生活衛生・食品安全部が置かれ、食中毒の防止等に万全を期すことに加え、食品に関する基準の策定に取り組むなど、毎日、口にする食品の安全性を確保するための施策の推進が行われています。
さらに、「医薬・生活衛生局」は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器および再生医療等製品の有効性・安全性の確保対策のほか、血液事業、麻薬・覚せい剤対策など、国民の生命・健康に直結する諸問題を担っています。
なお、「医薬・生活衛生局」には、さらに下に11の部署が置かれています。
1)「総務課」
2)「医薬品審査管理課」
3)「医療機器審査管理課」
4)「医薬安全対策課」
5)「監視指導・麻薬対策課」
6)「血液対策課」
7)「生活衛生・食品安全企画課」
8)「食品基準審査課」
9)「食品監視安全課」
10)「生活衛生課」
11)「水道課」
「労働基準局」とその業務について
「厚生労働省」の「内部部局」の1つである「労働基準局」の業務は、労働者のバックアップに関することです。
具体的な「労働基準局」の業務は、大きく分けて下記の5つです。
1)労働基準法をはじめ、労働安全衛生法・最低賃金法・労働者災害補償保険法等の法律に基づいた労働条件の確保・改善
2)労働者の安全と健康の確保
3)労働保険料の徴収
4)適正な労災保険給付
5)豊かな勤労者生活の実現
加えて、「労働基準局」では、労働条件の確保・改善、労働者の安全と健康の確保、的確な労災補償の実施などの諸対策を進めたり、勤労者生活の充実のための総合的な対策の推進なども行われています。
なお、「労働基準局」には、さらに下に10の部署が置かれています。
1)「総務課」
2)「労働条件政策課」
3)「監督課」
4)「労働関係法課」
5)「賃金課」
6)「労災管理課」
7)「労働保険徴収課」
8)「補償課」
9)「労災保険業務課」
10)「安全衛生部」
さらに、10)「安全衛生部」には、さらに下のに4つの部署「計画課」「安全課」「労働衛生課」「化学物質対策課」が置かれています。
「職業安定局」とその業務について
「厚生労働省」の「内部部局」の1つである「職業安定局」の主な業務は、大きく5つあります。
1)雇用対策・雇用創出・雇用保険・求職者支援制度・労働者派遣・外国人雇用対策などの様々な雇用対策の推進
2)高齢者の安定した雇用
3)就業機会の確保
4)障害者の職業指導
5)職業紹介
このほか、「職業安定局」では、経済・産業構造の転換に的確に対応して新規・成長分野を中心とした雇用機会を創出することや、雇用のミスマッチの解消などを重点とした雇用対策の積極的な推進なども行われています。
このような業務によって、「職業安定局」では、国民の雇用不安を払拭し、再び希望と活力にあふれた経済社会をつくりだすことを目指しています。
なお、「職業安定局」には、さらに下に6つの部署「総務課」「雇用政策課」「雇用保険課」「需給調整事業課」「外国人雇用対策課」「雇用開発部」があります。
さらに、上記のうち、「雇用開発部」には、さらに下に4つの部署として、「雇用開発企画課」「高齢者雇用対策課」「障害者雇用対策課」「地域雇用対策課」が置かれています。
「子ども家庭局」とその業務について
「厚生労働省」の「内部部局」の1つである「子ども家庭局」の主な業務は、大きく8つあります。
1)児童の心身の育成や発達に関すること
2)児童の保育や養護・虐待の防止に関すること
3)児童の福祉のための文化の向上に関すること
4)児童や児童のいる家庭や妊産婦その他母性の福祉の増進に関すること
5)福祉に欠ける母子・父子や寡婦の福祉の増進に関すること
6)児童・妊産婦その他母性の保健の向上に関すること
7)児童と妊産婦の栄養の改善に関すること
8)妊産婦の治療方法が確定していない疾病や特殊の疾病の予防と治療に関すること
なお、「子ども家庭局」には、さらに下に5つの部署「総務課」「保育課」「家庭福祉課」「子育て支援課」「母子保健課」が置かれています。
「雇用環境・均等局」とその業務について
「厚生労働省」の「内部部局」の1つである「雇用環境・均等局」の主な業務は、下記の4つです。
1)非正規雇用労働者の待遇の改善
2)ワーク・ライフ・バランスの推進等の労働者が働きやすい職場環境の整備
3)性別や働き方に関係なく誰もが能力を十分に発揮して仕事と家庭を両立させて働けるようにするための男女雇用機会均等の確保
4)多様な働き方のニーズに対応した就業環境づくりです。
なお、「雇用均等・児童家庭局」には、さらに下に6つの部署「総務課」「雇用機会均等課」「有期・短期間労働課」「職業生活両立課」「在宅労働課」「勤労者生活課」があります。
「社会・援護局」とその業務について
「厚生労働省」の「内部部局」の1つである「社会・援護局」の業務は、社会福祉の向上に関することです。
具体的な「社会・援護局」の業務は、大きく分けて5つあります。
1)社会福祉法人制度・福祉事務所・社会福祉協議会・福祉分野の人材育成・確保
2)ボランティア活動の推進
3)社会福祉の各分野に共通する基盤整備の企画・立案・運営
4)低所得者の福祉向上
5)消費生活協同組合制度など社会福祉の推進を図る施策などです。
さらに、「社会・援護局」では、先の大戦で死傷した軍人・軍属や、その遺族に対する年金の支給や療養の給付、戦没者の慰霊事業や中国残留邦人等の帰国・定着援助なども行われています。
このような「社会・援護局」には、さらに下に11の部署があります。
1)「総務課」
2)「保護課」
3)「地域福祉課」
4)「福祉基盤課」
5)「援護企画課」
6)「援護課」
7)「業務課」
8)「障害保健福祉部」
9)「企画課」
10)「障害福祉課」
11)「精神・障害保健課」
なお、8)「障害保健福祉部」には、さらに下に3つの部署「企画課」「障害福祉課」「精神・障害保健課」があります。
「老健局」とその業務について
「厚生労働省」の「内部部局」の1つである「老健局」の主な業務は、「地域包括ケアシステム」の構築を推進することです。
日本は、世界に先駆けて高齢社会を迎えています。
このため、老後最大の不安である介護問題を国民皆で支え合えるよう、創設された介護保険制度の持続可能性を高め、住み慣れた地域で自分らしい生き方を人生の最期まで送れるようにする必要があります。
このような中で、「老健局」では、これまでに例のない高齢社会を迎える我が国において、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、「介護保険制度」をはじめとする高齢者介護・福祉施策を推進しています。
ちなみに、「介護保険制度」とは、介護を必要とする状態になっても、できる限り自宅や地域で自立した日常生活を営むことができるよう、必要な介護サービスを提供する仕組みのことです。
なお、この「老健局」には、さらに下に5つの部署「総務課」「介護保険計画課」「高齢者支援課」「振興課」「老人保健課」が置かれています。
「保険局」とその業務について
「厚生労働省」の「内部部局」の1つである「保険局」の業務は、高齢化の進展や経済の低迷などによって医療を取り巻く環境が変化している日本で、国民の生活を保障することです。
そこで、「保険局」は、日本がこのような現状にあっても、引き続き国民が良質な医療を安心して受けられるよう持続可能で安定的な制度を構築することを課題としています。
さらに、この「保健局」では、現在の高齢者医療費の増大など、さまざまな問題に直面している医療制度を改革するため、健康保険や国民健康保険などの公的医療保険制度に関する企画・立案などが行われています。
なお、「保険局」には、さらに下に6つの部署「総務課」「保険課」「国民健康保険課」「高齢者医療課」「医療課」「調査課」が置かれています。
「年金局」とその業務について
「厚生労働省」の「内部部局」の1つである「年金局」の主な業務は、老後の所得保障の柱として国民生活を支える重要な役割を担う厚生年金保険・国民年金等の年金制度に関する企画・立案や、年金積立金の管理運用等です。
このような「年金局」の扱う公的年金は、現役世代がその時代の高齢者世代を支える世代間扶養の考え方で運営され、高齢者も社会全体の発展に見合う生活を送れるような仕組みとなっています。
そこで、「年金局」は、今後も少子高齢化が進行する中で将来を見通しながら給付と負担の均衡を図り、少子化等の社会経済の変化に柔軟に対応できる恒久的な年金制度や国民が安心できるような年金制度の構築に取り組んでいます。
なお、この「年金局」には、さらに下に7つの部署「総務課」「年金課」「国際年全課」「企業年金国民年金基金課」「数理課」「事業企画課」「事業管理課」が置かれています。
「外局」について
「厚生労働省」の「外局」である「中央労働委員会」は、1946年に設置されました。
この「中央労働委員会」の主な業務は、よりよい労使関係を実現するため、労働組合と使用者との話し合いが紛糾した場合などに両者の間に立って円滑に問題を解決することです。
なお、「労働委員会」とは、労働者が団結することを擁護し、労働関係の公正な調整を図ることを目的として労働組合法に基づき設置された機関で、「中央労働委員会(国の機関)」と「都道府県労働委員会(都道府県の機関)」の2種類が置かれています。
「地方支分部局」について
「厚生労働省」の「地方支分部局」には、「地方厚生局」と「都道府県労働局」があります。
「地方厚生局」
「地方厚生局」は、2001年の中央省庁再編により、これまで設置されていた「地方医務局」と「地区麻薬取締官事務所」とを統合され、本省の指導監督や衛生・福祉分野の許認可事務等の一部を移管して発足されました。
現在、「地方厚生局」として、全国8ブロックに厚生(支)局が置かれ、各都府県にその分室が置かれています。
この「地方厚生局」の主な業務は、保険医療機関等の指導監査、食品衛生・社会福祉法人等の指導監督、健康保険組合厚生年金基金の指導監督などです。
「都道府県労働局」
「都道府県労働局」は、2000年当時の労働省の地方支分部局だった「都道府県労働基準局」「都道府県女性少年室」「各都道府県の職業安定主務課」の3つの組織を統合して設置されました。
このような「都道府県労働局」は、本省の労働基準局・職業安定局および雇用均等・児童家庭局等が所掌している施策を推進する機関です。
なお、「都道府県労働局」の主な業務は、労働者や事業主からの相談や指導などです。
まとめ
いかがでしたか?
「厚生労働省」は、国民生活の保障・向上に努めながら、組織を細分化して効率的な業務を行い、少子高齢社会という課題先進国の日本で、国民が幅広い分野で人生のあらゆる局面において安定や安心をもたらし、国民一人一人の自立を支援するための施策に取り組んでいます。
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