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【公務員に過労死はあるのか?】公務員のサービス残業を考える

サービス残業が起こる原因は国会にあった!刑務官など矯正職員歴37年、現在里山で晴耕雨読を享受している元・国家公務員の小柴龍太郎さんのコラム「過労死に思うこと 公務員のサービス残業」です。筆者自身が中央省庁でのエピソードを交えた内容になっています。

2017年06月21日更新

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目次
終電にも間に合わず、事務室で夜を明かした公務員
超過勤務手当が出ない!?予算の範囲外の勤務
サービス残業が起こる原因は「国会」にありました
まとめ ー 自分の能力に見合った仕事の中で一生懸命やる。

「過労死に思うこと 公務員のサービス残業」

近年、民間企業で働いている人の過労死が問題となることが多くなりました。犠牲となるのはまじめで一生懸命仕事をする人が多いようです。痛ましい限りです。

この過労死。公務員については一見無縁のようです。「適当に仕事をして、定時になったら帰れるのだから、公務員は関係ないでしょ」と一般には思われているようですから。

確かにそのような公務の職場もあるでしょうが、相当きつい部署もあるのが実態だと私は思っています。そして、そのような職場で不幸なことが起きたとしても、多くの場合は過労死として扱われず、単なる突然死(病死)とか個人的な悩みなどによる自殺といった扱いになっているのではないかと思っています。

【公務員に過労死はあるのか?】公務員のサービス残業を考える

終電にも間に合わず、事務室で夜を明かした公務員

例えば中央省庁のこと。私自身が霞が関で勤務していた時は、1か月の超過勤務が100時間を超えることはしょっちゅうでした。

終電帰りは常態的でしたし、それにすら間に合わずに事務室で寝たこともありました。休日出勤も猫が足をなめるように普通にありました。3か月間一度も休みがなかったということもありました。

「これではいかん。身体がおかしくなる。たまには休もう!」と思い、ある日曜日に車で遊びに出かけました。しかし明日までに仕上げなければならない文書処理がたまっていたので、それを車に持ち込み、信号待ちの時間を利用してこなすことにしました。特に都心は信号だらけですから、この時間を有効利用しようという作戦です。

この作戦は奏功し、文書の処理が済み、遊びと仕事が見事両立できました。我ながらグッドアイデア!と思ったのですが、翌日になって、肝心のリフレッシュ効果はほとんどなかったことに気づきました。ホットミルクと冷たいミルクを交互に飲んだようなものです。中途半端。

そんなことでこの作戦は2度とやりませんでした。ちなみに、現在では職務上の書類を職場外に持ち出すことは禁止されていますから、「試してみよう!」などとは思わないでください。

ともあれ、時間外勤務の過労死ラインは1か月で80時間だそうですから、私が霞が関で働いていた頃はそれを超える勤務が続いていたわけです。私だけではありません。ほとんどの人がそうでした。それくらい仕事の量が多く、人は少なかったのです。確かに心身のストレスは大きく、しんどかったですが、私は何とか乗り切りました。それでも乗り切れずに心や身体を痛めた人もいましたし、不幸なことになった人もいました。現在はどうか分かりませんが、似たような状態ではないかと心配しています。

超過勤務手当が出ない!?予算の範囲外の勤務

ところで、それだけ働いているのだからたっぷり超過勤務手当が出るのだろうと思われるでしょうが、実は全くそんなことはありませんでした。例えば1か月100時間勤務しても手当が出るのは30時間分だけ、といった具合です。最初の頃は「おかしいではないか!」とプンプンだったのですが、次第に事情が分かってきました。

というのは、職員に支払える超過勤務手当の予算には限度があり、超過勤務命令はその予算の範囲内で行う制度になっていたのです。おそらく現在でもそうでしょう。つまり、私が100時間働いても満額の手当を払う予算はない。せいぜい30時間止まり。となると、超過勤務命令はその範囲内でしか出せない。国としては対価を払えない勤務を命じることはできません。だからこういうことになる、というわけです。

そうはいっても仕事はあるのですから、やらないわけにはいきません。やっても対価である手当は出ない。となると、大部分はいわゆるサービス残業ということになります。納得はできないのですが、職場のみんなは「まあ、世の中こんなもんさ」くらいの感覚だったので、私も次第にそれに馴染んでいきました。

このようなことで、昔は公務員の世界でもサービス残業は常識でした。今では改善されているのかもしれませんが、もしそうでなかったら過労死といった悲しい問題と同時に、このようなサービス残業の問題も解決してほしいものです。

サービス残業が起こる原因は「国会」にありました

参考までに、私の経験では、サービス残業を行わざるを得なかった最大の原因は「国会」です。

国会議員からの質問が入るのが大臣答弁前日の夕方だったので、翌日の朝までに答弁内容を固めなければなりません。暗くなってから作業を始めて夜明けまでに仕上げるということです。全く時間的な余裕などありません。

それでも一つの部局に関する質問であればまだいいのですが、複数の部局に及んだり、特にほかの省庁と関係する質問だったりすれば、それこそ徹夜でやらなければ間に合いません。「そんなの大臣に任せればいいじゃん」などと放り投げるわけにもいきません。日本の公務員はまじめなのです。

ということですので、国会議員の質問はせめて2日前までに明らかにしてくれれば随分良くなると思います。そして実際、現在ではそのような方向に改善されてきているようですが、それでも野党の中には意地悪な人もいるようで、そのたびに本省の公務員は泣かされるのです。過労死問題を解決するのが政治の役割の一つだとしたら、まずは身近なところから実行してほしいものです。

まとめ ー 自分の能力に見合った仕事の中で一生懸命やる。

最後に、過労死になったり、心身の病気になったりしないための方法についてです。

私の場合はジョギングが一番効果的でした。夕方、国会質問など緊急の仕事が入っていないときには外に出て皇居の周りを走ります。信号がないし、緑がきれいだし、1周5キロもちょうどいい。車の排気ガスを吸いまくるので身体にいいのかどうかは微妙なところですが、間違いなく気分転換にはなりました。どうせ大半はサービス残業なのだから後ろめたさもありませんし、上司も何も言いません。というか、むしろ奨励している雰囲気すらありました。部下がそれで気持ちよく仕事をしてくれるなら言うことはないということでしょう。

それからもう一つ。どうしても仕事の負担に耐え切れないと感じたら、思い切って配置換を願い出たり、降任を願い出ることをお勧めします。後者はあまり知られていないのですが、処分としてではなく、人事異動と同じような性質の降任制度があるので、それを利用するのです。仕事の難しさがワンランク落ちる異動なので「あいつはできない奴」とレッテルを貼られるかもしれませんが、それを恐れて自分を壊してしまっては何にもなりません。むしろ、変えてもらって勤務が楽になり、その範囲で自分に合った居場所が見つかり、生き生きと仕事ができたらそれにまさるものはないでしょう。

自分の能力に見合った仕事の中で一生懸命やる。それが基本中の基本であり、自然であり、王道ではないでしょうか。ライオンはライオンとして生き、ハトはハトとして生きればいい。そう思います。

(小柴龍太郎)

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