地方創生の「政策」をビッグデータから考えるコンテストが開催

経済産業省と内閣官房が提供する地域経済分析システム「RESAS(リーサス)」を活用した、政策コンテストが開催されています。

第5回となる2019年の政策コンテストのエントリー期間は2019年7月9日(火)から10月9日(火)までです。


地域経済分析システム「RESAS:リーサス」とは?

「地域経済分析システム(RESAS:リーサス)」とは、経済産業省と内閣官房の「まち・ひと・しごと創生本部事務局」が提供するシステムです。

「RESAS」では、人口動態や産業構造、人の流れなどの「官民ビッグデータ」を集約し、可視化することができます。

「RESAS」のホームページから、「人口マップ」や「産業構造マップ」、「観光マップ」など、知りたい情報を選択すると、簡単にデータが手に入ります。会員登録なども必要ありません。

簡単に誰もが日本の地域の状態を把握できるようなこのシステムを活用することで、地方創生の様々な取組みを情報面から支援が可能です。

地方公共団体職員をはじめとして、地域の活性化に関心を持つ民間企業、個人など様々な分野の方、誰でも利用することができ、多角的で効果的な施策の立案・実行・検証のためなどに広く利用されることが期待されています。

▼RESAS-地域経済分析システム
https://resas.go.jp/#/13/13101

「地方創生★政策アイデアコンテスト2019」開催決定

今回内閣府から発表されたのが、「RESAS」を利用した「地方創生★政策アイデアコンテスト2019」の開催についてです。

このコンテストは、「RESAS」を活用した地域課題の分析を踏まえた、地域を元気にするような政策アイデアを募集するものです。

2015年から開催されており、今年で5回目の開催となります。

「地方創生★政策アイデアコンテスト」は3部門に分かれており「高校生・中学生以下の部」、「大学生以上一般の部」、「地方公共団体の部」でアイデアを募集します。エントリー期間は2019年7月9日(火)から10月9日(火)までです。

エントリー作品に対して段階的に書類審査が行われ、12/14(土)に開催される最終審査会ではファイナリストのプレゼンテーション審査が行われ、優勝者が決まるようです。


「RESAS」は誰でも使うことができるシステムですので、この政策コンテストを機に、実際に「RESAS」 を使って応募したり、応募者のプレゼンなどに触れたりすることで、「RESAS」が国民に広く周知されることも期待されています。

内閣府としては、子供を含めた国民ひとりひとりが「RESAS」を通して、自分の地域や故郷の現状、そして未来がどうなろうとしているのか、知り、考える機会になることを狙っているようです。

▼「地方創生★政策アイデアコンテスト」
https://contest.resas-portal.go.jp/2019/index.html

募集内容

「地方創生★政策アイデアコンテスト2019」の募集内容についてご紹介します。

コンテストのテーマは「あなたが暮らす、または、ゆかりのある地域の現状・課題について、『RESAS』を使って分析し、解決策となるような政策アイデアを提案してください」というものです。

「あなたの地域の未来をよりよく変えていく、創意あふれるご提案をお待ちしています」というように、「RESAS」を使用すればどのような政策アイデアでも応募可能となっています。

具体例としては、「地元の人口減少」「少子高齢化」などの人口問題をリーサスで分析した上で、解決策を提示する、「地域への観光客」、「まちのにぎわい」などの観光の課題をリーサスで見つけ、解決策を提案する、などです。

応募作品の「必要記載事項」は「RESASによる分析(現状・課題認識)」と「RESASによる分析に基づき、考えられる政策アイデア(解決策の提示)」の2点のみで、それ以外は自由のようです。

審査ポイント・審査プロセス

「地方創生★政策アイデアコンテスト2019」の審査ポイントと審査プロセスについてご紹介します。

コンテストの募集要項によると、審査では次の3点について評価されるようです。

まず1点目は、「RESAS」などのデータを十分に活用し、地域の現状や課題を十分に捉えているかという点です。

2点目は、独創的かつ課題解決に効果的な政策アイデアになっているかという点が評価されます。

そして3点目は、地域経済に寄与する実現可能な政策アイデアとなっているか、という点です。

「独創的」かつ「実現可能」である政策アイデアを考えるのはとても難しいことですが、だからこそコンテスト方式では、政府や行政では思いもよらないアイデアが、民間から出てくるかもしれません。

審査のプロセスは、まず10月に「地方審査(書類審査)」があり、通過した作品のみ11月の「全国第一次審査(書類審査)」に進みます。そして最後は12月に「最終審査(プレゼンテーション審査)」が行われ、受賞作品が決定します。


賞には、それぞれの部門に「地方創生担当大臣賞(副賞あり)」、「優秀賞(副賞あり)」があるほか、協賛企業からも協賛企業賞が贈られます。

また、上記に加えて、2019年度コンテストからは、各地方審査地域ごとに、特に優秀な政策アイデアに対して、「経済産業局長賞」「沖縄総合事務局長賞を」が贈られるようです。

「地方創生」とは?

「地方創生★政策アイデアコンテスト」の名称にも含まれている「地方創生」について解説します。

「地方創生」とは2014年の第2次安倍政権発足時にスタートした政策です。

「地方創生」は、現状の「東京一極集中」から、地方を活性化することで、地方の人口減少を食い止め、国全体として「活力ある日本社会」を維持するために始まりました。安倍総理にちなんで。「ローカル・アベノミクス」などとも呼ばれます。

「地方創生」の目標は大きく4つあります。具体的には、「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」、「地方への新しいひとの流れをつくる」、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」、「時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する」という4点です。目標の実現を目指して、「地方創生政策」が考えられています。

「地方創生」が始まった2015年から2019年は「第1期」、2020年から2024年は第2期と位置づけ、第2期では上記の4点の目標に加えて「人材を育て活かす」ことと、女性、高齢者、障害者、外国人を含めた「誰もが活躍する地域社会をつくる」という目標も盛り込まれました。

▼内閣官房・内閣府 総合サイト 地方創生
http://www.kantei.go.jp.cache.yimg.jp/jp/singi/sousei/index.html

「まち・ひと・しごと創生本部」とは?

「まち・ひと・しごと創生本部」とは「地方創生」を担当する内閣官房内の組織です。

これまでに「まち・ひと・しごと創生基本方針」や、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」、「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」などの政策をとりまとめています。

どの政策も、「まち」を活性化するために、「しごと」を生み出し、「ひと」を集めて人口減少や過疎化を避けられるような地方をたくさん創生していくことが基本的な目標となっています。

最も新しい「まち・ひと・しごと創生基本方針2019」では、従来の方針に加えて、数年前に比べて特に情報技術が発展してきた「新しい時代」について、地方が対応し、発展していく方針なども付け加えられています。

「まち・ひと・しごと創世本部」では、地方が「地方創生」で示されているような、情報技術なども活かした手法で活性化することで、日本全体の活性化を目指しているようです。

▼内閣官房・内閣府 総合サイト 地方創生「施策」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/mahishi_index.html

▼「まち・ひと・しごと創生本部」会議・資料
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/index.html#an1

まとめ

このページでは、政府が運用する地域経済分析システム「RESAS(リーサス)」を活用した「政策コンテスト」が開催されることをご紹介しました。

コンテストは3部門に分かれており、子どもが参加できる部門もあります。地域の課題を広くそれぞれの地域住民に知ってもらうことで、民間からあらゆる知恵を絞り、地域人材を育てるきっかけとなるかもしれません。

一方で、このような「政策コンテスト」にも現れているように、地方自治体間のアイデア競争的な側面が激化してきているとも言えます。

「地方創生」の基本方針には「まち」「ひと」と同列に「しごと」が含まれており、「地方創生」は、稼げて人口が集まる優秀な地域を、経済的な競争によって生み出そうという、いわば人口獲得ゲームだという批判も一部であります。


行政が扱う分野には、例えば福祉サービスなど、経済的な競争とは相容れないような分野もあります。すべての分野が「稼げる」とか「人が増える」などを指標に捉えられるというものでもありません。

政策コンテストにより生まれた優秀な政策のアイデアによって、一部の「勝ち組」の自治体を作るのではなく、他の自治体にも共有されることがあれば、日本全体を活性化することにつながると思います。

政策コンテストの作品が、実際の地方創生政策にどう活かされていくのか、今後の取り組みについても注目する必要がありそうです。

本記事は、2019年10月12日時点調査または公開された情報です。
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