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【鳥獣被害 約164億円!?】兵庫県Iotによる最先端の対策に注目

「農林水産省」によると、平成29年度の日本の「鳥獣被害」の状況は約164億円で、減少傾向にあるとはいえ、多額の損失がありました。

そこで、全国に先駆け、IoTを利用した対策を始めた兵庫県の取組みについてもご紹介します。

2019年10月24日更新

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目次
全国の「鳥獣被害」状況
「鳥獣被害」の被害額・被害面積・被害量
「鳥獣被害」をもたらす主な動物
兵庫県の「鳥獣被害」対策- IoT機器の「スマートトラップ」
「スマートトラップ」とは?
兵庫県が「スマートトラップ」を設置した背景と目的
「スマートトラップ」のメリット
「スマートトラップ」を利用した今後の展開予定
兵庫県のコメント
まとめ

全国の「鳥獣被害」状況

「鳥獣被害」とは、カラスなどの鳥類や、サル・イノシシ・シカなどの野生動物によって、農作物などの農林水産物が食い荒らされるなどの被害のことです。

まず、「農林水産省」が公表している全国の「鳥獣被害」の概要についてご紹介します。

「鳥獣被害」の被害額・被害面積・被害量

「農林水産省」は、毎年、野生鳥獣による農作物被害状況について、都道府県からの報告をもとに、全国の被害状況を取りまとめています。さらに都道府県からの報告については、市町村からの報告をもとに取りまとめられています。

平成29年度の全国の鳥獣による農作物被害については、被害金額は約164億円でした。この金額は、前年度の被害額に比べ約8億円減少(対前年5%減)しています。

被害面積は約5万3千ヘクタールであり、こちらも前年度に比べ約1万2千ヘクタール減少(対前年18%減)しています。

被害量については約47万4千トンですが、前年の被害量に比べると、やはり約1万3千トン減少(対前年3%減)しているようです。

このように被害額などで見てみると、全国の「鳥獣被害」は減少傾向にありますが、それでも毎年のように多くの被害が出続けています。

「鳥獣被害」をもたらす主な動物

「鳥獣被害」をもたらす鳥や動物についてご被害の大きい順紹介します。

平成29年度の獣種別の被害金額については、シカが最も高額で約55億円でした。この金額は前年度に比べ約1億円減少(対前年2%減)しています。次いで、イノシシが前年度に比べ約3億円減少(対前年6%減)の約48億円、サルが前年度に比べ約1億3千万円減少(対前年12%減)の9億円でした。

鳥類による被害として最も大きかったのは、カラスによる14億円の被害で、前年度に比べ約1.5億円減少しています。

兵庫県の「鳥獣被害」対策- IoT機器の「スマートトラップ」

「鳥獣被害」は全国的に減少傾向にはありますが、依然として大きな被害が続いています。

そのような「鳥獣被害」について、独自の対策を打ち出す自治体も出てきており、兵庫県もそのひとつです。

「狩猟罠用IoT機器」の「スマートトラップ」とは?

兵庫県が「鳥獣被害」の対策のために導入したのは、従来の罠ではなく、「狩猟罠用IoT機器」という新しい技術です。

この機器の名称は「スマートトラップ」と言い、狩猟関連機器・サービスの企画・開発・販売を行う東京都目黒区の株式会社huntech(ハンテック)が開発・提供している商品です。

兵庫県はこのハンテックの「スマートトラップ」を120台導入したことを発表しました。

兵庫県は、このスマートトラップを活用して、被害をもたらす鳥獣の捕獲効率を向上させたり、動物の出没傾向の分析や、それによる被害対策の効果向上にも活用していくようです。

▼写真:兵庫県が管理する箱罠に設置された「スマートトラップ」(兵庫県淡路市)

引用URL)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000029310.html

「スマートトラップ」とは?

兵庫県が導入したハンテック製の「スマートトラップ」は、市販の罠に設置することでリアルタイムで野生鳥獣の捕獲を罠の管理者に通知し、捕獲情報を独自のデータベースに記録ができるIoT機器です。

兵庫県が導入したのは、2018年10月に発表した「スマートトラップ2」で、初期の「スマートトラップ」の改良版にあたります。

▼huntech「製品ページ」
https://huntech.jp/product/

「IoT」とは?

「IoT」とは、インターネットオブシングスの略で、「モノのインターネット化」を指しています。

「スマートトラップ」は有害鳥獣用の罠をインターネットでネットワーク化して管理することにより、リアルタイムで広範囲の被害状況や捕獲状況が把握できる仕組みです。

兵庫県が「スマートトラップ」を設置した背景と目的

兵庫県内のシカ、イノシシ等による農林業の「鳥獣被害」は、2010年以降に減少傾向に推移しているものの、対策が検討されていた平成28年度(2016年度)は、イノシシだけでも1億9500万円もの被害が報告されました。

また、イノシシによる人身被害も深刻でした。平成28年度(2016年度)は兵庫県神戸市の六甲山山麓で、イノシシによる人身被害が33件発生しているほか、物損被害など、生活環境被害に関する苦情も多数寄せられるなど、兵庫県内では大きな社会問題となっています。

兵庫県では、「イノシシ管理計画」を策定し、イノシシによる農業被害の半減や生息密度上昇の抑制、人身被害の解消などを管理計画の目標として掲げ、様々な取り組みを計画、実施しています。

さらに、有害鳥獣を捕獲する狩猟者の確保や、育成にも取り組んでいるようです。

兵庫県では、今回の「スマートトラップ」導入により、狩猟者が罠の見回り等を効率化することで、罠の設置および管理に割く時間を増やして、鳥獣の捕獲効率の向上を目指すことが期待されています。

「スマートトラップ」のメリット

「スマートトラップ」のメリットをハンテック社による説明をもとにご紹介します。

「スマートトラップ」のメリットの1つ目は、 コストパフォーマンスの高さです。「スマートトラップ」は、本体価格が税抜きで33,800円、システム利用料が月額税抜きで980円と、他の類似製品よりも比較的安くに導入することが可能だと言われています。 

「スマートトラップ」のメリットの2つ目は、「くくり罠」という罠と、「箱罠」という罠の2種類両方の罠に対応していることです。この両対応は、磁気センサーを用いたシンプルな構造だからこそ実現できたようです。

「スマートトラップ」の3つ目のメリットは、機能性の高さです。「スマートトラップ」は、捕獲時の通知はもちろん、捕獲情報や罠の設置情報をデータベースとして管理することが可能で、これは他製品にはない特徴の1つのようです。

これにより市町村でデータを蓄積することができ、鳥獣の出没場所・時間の傾向分析も可能になり、「被害の大きい農家の近くに重点的に罠を設置する」など、スマートトラップのデータをもとにしたより具体的で効果的な対策を、自治体ごとに検討・実施することが可能になるとされています。

「スマートトラップ」を利用した今後の展開予定

兵庫県はIoT技術を用いた罠の導入を促進することで、「鳥獣被害」をもたらす動物の捕獲の効率化だけでなく、捕獲データを蓄積・分析することで、より有効な被害対策につなげていきたいと説明します。

株式会社ハンテックでは、兵庫県と同様の野生の鳥獣による「鳥獣被害」が深刻な自治体等を中心に導入を進める予定があるようです。

ハンテックの目標では、2019年末までに、全国で3,000台の「スマートトラップ」の納品が目指されています。

同時進行のトレーサビリティ管理プラットフォームで鳥獣を「ジビエ」として流用

ハンテックでは有害鳥獣を捕獲した後の食肉加工・流通プロセスのログを保存・管理する「トレーサビリティ管理プラットフォーム」と呼ばれる技術の開発も進んでいます。

この技術を活用すると、今まで害としてしか扱われなかった鳥獣を、「ジビエ」という新たな資源として流通させていくことができます。

やむを得ず奪ってしまう命を大切に、食べるということで活用しようという取組みが始まっています。

兵庫県のコメント

「兵庫県 農政環境部 環境創造局 鳥獣対策課課長 塩谷 嘉宏氏」のコメント

鳥獣被害対策の最前線は、まさに農地を守り維持する人や狩猟者が少なくなっている地域であり、これからの捕獲活動には、ICT技術等を備えた機器の開発導入が期待されるところです。
今後は、この技術を、どう普及し、どう上手く使うかが、行政としての新たな課題でもあり、狩猟者のみならず、被害を受けている農家への利用にも働きかけていきたいと考えています。」

出典
https://www.sankei.com/economy/news/190128/prl1901280371-n1.html

まとめ

このページでは、「農林水産省」が毎年集計するイノシシやサル、カラスなどの有害鳥獣による農林水産物の被害についてまとめたほか、自治体独自の「鳥獣被害」対策として、兵庫県と民間企業がタッグを組んで導入した「スマートトラップ」についてご紹介しました。

「スマートトラップ」はIoT技術が使用されており、これまで狩猟者の見回りなどアナログ的に認識されてきた「鳥獣被害」を、ネットワーク化することで、同時に広範囲の被害状況を知ることができる画期的な機器と言えます。

兵庫県だけでなく自治体職員はこれまで、時間差で、あらゆる地域から報告される「鳥獣被害」の対策に頭を悩ませてきました。しかし、こういった最新技術の導入によって、業務が効率化されることが期待できます。

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