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国が「就職氷河期世代支援プログラム」を始動!その中身とは?

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就職氷河期世代支援プログラム


目次

【内閣府】就職氷河期世代支援プログラムとは?

内閣府が発表した「就職氷河期世代支援プログラム」についてご紹介します。

日本には、「就職氷河期世代」という世代があります。「就職氷河期世代」は、バブル崩壊後の1990年代後半から2000年代にかけて、不景気を中心とした社会的な要因により、世代がまるごと就職難に陥った世代です。

この「就職氷河期世代」の中には、20年余り経った今でも無職の方や不本意な就労を続けている方も大勢いらっしゃり、その就職支援をしようというのが本プログラムの主な狙いです。

「就職氷河期世代支援プログラム」は、2019年の国の経済財政運営の指針「骨太の方針」に盛り込まれ、まさに国をあげての支援策が、「就職氷河期」が社会問題となった時代から長い年月を経て、ようやく進もうとしています。

現在、国ではプログラムの実施に向けて、具体的数値目標や支援策の検討会が開催されています。

▼内閣府ホームページ「就職氷河期世代支援プログラム」
https://www5.cao.go.jp/keizai1/hyogaki/hyogaki.html

「就職氷河期世代支援プログラム」が支援する人は?

「就職氷河期盛大支援プログラム」の支援対象となる人について解説します。

「就職氷河期世代支援プログラム」の支援対象者は、「就職氷河期世代」のうち正規雇用を希望していながら不本意に非正規雇用で働く方々で、全国に少なくとも50万人いると言われています。

また、就業を希望しなあgら様々な事情により求職活動ができていない長期無業者の方、社会とのつながりを作り、社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする「引きこもり」や「ニート」と呼ばれる状態にある方などを含めると、合計で100万人程度の支援を見込んでいます。

もし現在、無職の状態の「就職氷河期世代」の方が働けるようになったり、非正規雇用の「就職氷河期世代」の方が正規雇用となり、生産性をあげられたりすれば、現在社会的に問題となっている「人手不足」を解消する一手を担う可能性があります。

このように、「就職氷河期世代」は、就職について個人的な問題を抱えているとともに、日本の社会全体で取り組まなくてはならない問題も抱えています。


そして人手不足を緩和する日本の潜在的な労働力になり得るという点でも、政府は注目しているようです。

そもそも「就職氷河期世代」とは?

全国に約100万人以上も支援対象の方がいる「就職氷河期世代」とはどのような世代なのか、詳しくご説明します。

「就職氷河期世代」とは、1990年代後半から2000年代にかけて、正規雇用での就職を目指したけれど、景気が悪化し雇用が少なかったために不本意にも非正規雇用や、無職の状態に追いやられた世代のことです。

一般的には、1993年ごろから2005年頃に社会に出たり、大学を卒業したりした世代で、2019年(令和元年)現在では、40歳前後に至っているようです。

本来であれば大多数の方が就職するはずの、いわゆる「新卒」のタイミングで思うような就職ができなかった人々は、それ以来、職業経験が詰めなかったために不安定な雇用を強いられたり、社会との関係が断たれ「無職」の状態のまま「引きこもり」に至る方も、他の世代より割合としては多くいらっしゃるようです。

「就職氷河期」という言葉は、株式会社リクルートの就職雑誌『就職ジャーナル』が1992年に提唱した造語のようです。

「就職氷河期」は1994年の第11回新語・流行語大賞で審査員特選造語賞を受賞しており、その後社会的にも浸透し、現在でも定着して使われている表現となっています。

「就職氷河期世代支援プログラム」の主な内容

「就職氷河期世代支援プログラム」の主な内容についてご紹介します。

「就職氷河期支援プログラム」の3年間の取り組みの流れ

まず、「就職氷河期世代」が抱える固有の課題を把握することから始まります。この世代固有の課題として、具体的には、希望する就業とのギャップや実社会での経験不足等が挙げられます。

上記の課題と今後の市場での人材ニーズを踏まえつつ、個々人の状況に応じた支援を目指します。

そして「就職氷河期世代」の活躍の場を更に広げられるよう、地域ごとに支援プログラムの対象者を把握し、具体的な就職者数の目標値などの数値目標を立てて「3年間」で集中的に取り組むとしています。

「就職氷河期支援プログラム」の対象となる方については3年間で正規雇用30万人を目指す

「就職氷河期支援プログラム」の支援対象としては、正規雇用を希望していながら不本意に非正規雇用で働く方、就業を希望しながらも様々な事情により求職活動をしていない長期無業の方、社会とのつながりを作り、社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする方など、合計で100万人程度を見込んでいます。

政府によると、「就職氷河期支援プログラム」では働くことや社会参加を促すなどを3年間、取組むことにより、支援者それぞれが現状よりも良い処遇となることを目指し、正規雇用者については、30万人増やすことを目指すようです。

「就職氷河期世代支援プログラム」は自治体が引き継ぐ体制を作ることも目指す

「就職氷河期世代支援プログラム」では、国がリーダーとなり、「就職氷河期世代」の支援対象者が社会との新たなつながりを作り、本人に合った形での社会参加も支援していきます。

そのため、社会参加支援の分野について、先進的な取組をしている地域の取り組みをほかの自治体にも紹介、実践してもらえるような、横の展開も図っていくようです。


「就職氷河期世代」の支援対象者のそれぞれ個人の状況によっては、当然ながら、息の長い継続的な支援を行う必要があります。

長期的な取組みが必要だということにも留意しながら、まずは、この「就職氷河期世代支援プログラム」の実施期間内に、支援対象者が住む基礎自治体の協力を得て、各都道府県などが中心になって対象者の実態やニーズを明らかにし、今後長いスパンで必要な人に支援が届く体制を構築することが目指されます。

「就職氷河期世代支援プログラム」の主な支援メニュー

「就職氷河期世代支援プログラム」の中で、具体的に提案されている支援メニューについてご紹介します。

その1:職業の相談、教育訓練から、就職までの切れ目のない支援

「就職氷河期世代支援プログラム」の中で、まず職業の相談や職業教育訓練などから就職につなげていく支援プログラムの内容について説明します。

きめ細かな伴走支援型の就職相談体制の確立

「就職氷河期世代支援プログラム」の中心ともいえるのが、まず「職業の相談」をしやすくするような「きめ細かな伴走支援型の就職相談体制の確立」です。

具体的には、ハローワークに「就職氷河期世代支援プログラム」の専用窓口を設置し、利用しやすい体制をつくるようです。

伴走支援型についての言及はありませんが、理想は伴走者のように、支援対象者の立場に立ち、同じ目線で取り組むということでしょうか。

また、地方自治体の中で無料職業紹介事業を活用したマッチングの仕組みの成功事例を情報共有し、ほかの自治体でも活かせるように導きます。

受講しやすくて即効性のあるリカレント教育の確立

「就職氷河期世代支援プログラム」では、職業訓練や教育にも力を入れるようです。

その中心となる方針が、「受けやすく、即効性のあるリカレント教育の確立」です。

「リカレント教育」とは「生涯学習」や「学び直し教育」などとも言われる考え方で、一度学校などを離れ社会人となった人が、再び教育機関に入り直して教育を受ける制度や取り組みのことも指します。

1960年代からヨーロッパを中心に提唱されている考え方で、OECD(経済協力開発機構)が最初に提唱したようです。

「リカレント」は英語の「recurrent」のことで、「再び」とか「循環」「反復」「回帰」などと訳されます。そのため、日本語では「リカレント教育」は「学び直し教育」とか「回帰教育」などと訳されます。

この「リカレント教育」には大学や大学院などで教養を深めるだけでなく、職業訓練も含まれます。

一般的には、出産や育児で退職した女性や、定年退職者が再教育を受け、再び労働力として活躍できることが職業訓練に期待されていますが、「就職氷河期世代」の方にも広くリカレント教育を適用していこうというのが、この支援プログラムの方針の一つです。

具体的には、現在仕事をしている方や子育てをしている方も両立して受講でき、正規雇用化に有効な資格取得ができるプログラムや、短期間での資格取得と職場実習等を組み合わせ、プログラム修了時点で即戦力となれるように、「資格」と「経験」の出口を揃えた言わば「出口一体型」のプログラム、そして人手が不足している業種などのニーズを踏まえた実践的な人材育成プログラムの準備が進められています。

「就職氷河期世代」の方には上記のプログラムや、民間のノウハウを活用した教育訓練・職場実習を「職業訓練受講給付金」の給付対象とすることで、プログラム受講を支援する方針です。

「職業訓練受講給付金」とは?
「職業訓練受講給付金」とは厚生労働省が管轄している「求職者支援制度」で給付されるお金のことです。無職のため雇用保険に入っていない方や、雇用保険受給期間中に再就職できず、受給を終了した方でも、ハローワークを通して職業訓練を受講すると、月に10万円の受講手当などが支給されます。

採用企業側の受入機会の増加につながる環境整備

「就職氷河期世代支援プログラム」では、就職氷河期世代の支援対象者が企業に受け入れられるような機会を増やすべく、採用選考を兼ねた「社会人インターンシップ」の推進も行われる予定です。

会社側にも利点があるように、各種助成金の見直し等を行い、企業側のインセンティブ強化 、つまり「就職氷河期世代」を積極的に採用する動機につながるような制度を整えていくようです。


そして、中間支援として人材を採用したい企業や、活躍している個人、農業分野などにおける中間就労の場の提供などを行っている機関・団体などと人材をマッチングするなど、求職者と企業をつなぐ支援の好事例があれば、国として情報発信する横展開も予定されています。

「中間就労」とは?
「中間的就労」とも呼ばれ、一般的な就労が難しい公的扶助を受けている方が、本格的な就労の準備として「日常生活の自立」や「社会参加」のために働くことを指します。生活支援など公的な補助を受けながら、就労体験や軽作業での賃金を受けられるのが一般的だと言われています。

民間ノウハウの活用

「就職氷河期世代支援プログラム」では、1人の人が就職するまでの「就職相談」「教育訓練」「職場実習」「採用」「定着」の全段階について、専門的なノウハウを持つ民間事業者に対して、「成果連動型」の業務委託を行うようです。

こうした「成果連動型」の官民連携事業は、ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)と呼ばれ、行政が抱える社会的課題に対して、民間事業者のノウハウや資金を活用してそれを解決することを指し、あらゆる分野で実践され始めています。

行政が設定する目指す成果に対して、民間事業者はそれを達成する手法を実行します。そして行政は、民間事業者が成果を達成した際に、社会的コストが効率化された部分などを原資とした対価を支払います。

SIBは、2010年にイギリスで世界で初めて実施されて以降、イギリスを中心に世界各国で活用が進んでいます。

日本においても、ハローワーク等による取組と、SIBを活用した取組を併せて実施することで、必要な財源を確保し、「就職氷河期世代」の就職をはじめとした社会問題解決の取組を加速していきたい考えのようです。

その2:個々人の状況に合わせた、より丁寧な寄り添い支援

「就職氷河期世代支援プログラム」では、単に就職支援をするだけでなく、就職活動の前段階で様々な問題を抱える方に対しても、より丁寧で寄り添うような支援も行います。

具体的にどのような支援策が検討されているのかをご紹介します。

アウトリーチの展開

「就職氷河期世代支援プログラム」で重要視されているのが、「アウトリーチ」の展開です。

「アウトリーチ」とは、支援対象者が来るのをただ窓口で待つのではなく、支援者が自ら積極的に支援対象者がいる場所に出向き、必要なサービスを提供することです。

「就職氷河期世代」には、相談窓口に行きたくても、様々な理由で出向くことがでくない方も一定数いらっしゃると考えられます。

このような「潜在的な支援対象者」に、行政が丁寧に働きかけ、必要な支援情報を手元に届け、本人・家族の 状況に合わせた、息の長い継続的な支援を行うことが必要です。

そのため、地域若者サポートステーションや生活困窮者相談支援機関のアウトリーチ機能の強化や、関係機関の連携を促進し、就職支援の段階までつなげられるようにまずは社会参加を支援します。

支援の輪の拡大

「就職氷河期世代支援プログラム」では「支援の輪の拡大」も大きなテーマとなっています。

より多くの方を支援できるように、「断らない相談支援」など複合課題に対応できる包括支援や多様な地域活動の促進を行います。

また、ひきこもり経験者の参画やNPOの活用を通じた、当事者に寄り添った支援についても考えているようです。

その他の支援策

上記で紹介した以外にも、「就職氷河期世代支援プログラム」ではさまざまな支援策が検討されています。

例えば、地方への人の流れをつくり、地方における雇用機会の創出を促す施策の積極的活用促進として、地方に住む「就職氷河期世代」への支援もできるよう対策が必要です。

そして、官民協働の事業を円滑に進めるため、官民を含めて関係者で構成するプラットフォームを形成・活用し、「就職氷河期世代」などの支援に社会全体で取り組む気運を醸成することも重要です。

気運の醸成については、政府として、支援が必要な方や、支援者が身近にいる方、いない方に関わらず、一人ひとりにつながる戦略的な広報を展開していくようです。


また、プログラム実施にあたっては、被用者保険(年金・医療)の適用拡大や、必要な体制を内閣官房に整備することで、定期的に施策の進捗状況を確認し、対応が遅れていれば加速させるような仕組みづくりにも取り組むようです。

ソーシャルメディアでの評判まとめ

「就職氷河期世代支援プログラム」について、ソーシャルメディア上での評判は賛否両論あるようです。

賛同意見としては、政府が「就職氷河期世代」の対策について遂に本気で考え始めたと歓迎する声があります。政府は2019年春に「就職氷河期世代」というマイナスイメージである呼称を、根本的に改称して「人生再設計第一世代」としようとするなど、何かと注目を集めており、期待できるとする声もありました。

一方で、批判的な意見も根強くあります。「就職氷河期世代支援プログラムは形だけで、日本の人手不足解消の対策としてメインに扱われるのは外国人労働者である」とか、「就職氷河期世代本人に金銭的支援があるのが理想的だが、実際には就職氷河期世代を研修した企業側に支援がある」という点を問題視する声があります。

地方への人の流れをつくるという点も、「地方を舐めるな」とか「棄民だ」という厳しい声もあります。

ポジティブに受け止める声もあった「人生再設計第一世代」という改称案についても、「就
職氷河期世代」を無かったことにするのでは?と、疑う声があります。

長い間、見過ごされてきた「就職氷河期世代」にとって、今回の「就職氷河期世代支援プログラム」についても手放しでは喜べない、信じきれないという思いがあるようです。

それだけ、対象世代の方々が新卒だったタイミングから「中年フリーター」などと呼ばれるまでに、問題は放置され、長い時間が経ってしまったということだと思います。

実際、「中年フリーター」と呼ばれる方には健康不安や体調不良から、定職に就くことができないという、新卒の時には考えられなかった問題を抱えているケースも少なくありません。

「引きこもり」になり、社会との関係が数十年絶たれているケースもあります。その方たちに「仕事を用意する」というだけでは問題は解決されず、当然ながら福祉的なサポートも不可欠ではないでしょうか。

今回の国を挙げての「就職氷河期世代支援プログラム」は、今度こそ、失敗は許されない重要な政策だと言えます。

まとめ

このページでは内閣府が進める「就職氷河期世代支援プログラム」について解説しました。

具体的には「就職氷河期世代支援プログラム」で実施される予定のプログラムの内容や、支援対象者の「就職氷河期世代」とはどのような世代なのかなど、ご説明しました。

「就職氷河期世代」の方で、これから先の仕事を探そうかと考えている方は、将来的に「就職氷河期世代支援プログラム」を活用した就職が目指せる可能性があります。「就職氷河期世代支援プログラム」は開始から3年間ほど実施が予定されているからです。

また、これから公務員を目指す方は、今後数年、この「就職氷河期世代支援プログラム」に関わる可能性があります。国が中心のこのプログラムは、3年経過すると持続可能なかたちで地方自治体に引き継がれるという場合もあるようです。


公務員として「就職氷河期世代」を支援する側はまず、支援を必要とする方が、どこにどのくらいいらっしゃるのか把握し、必要な方に必要なサービスを提供できる力やノウハウが必要です。

支援する側もされる側も今後の「就職氷河期世代支援プログラム」の動向に注目しておく必要があると思います。

本記事は、2019年10月19日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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