日本の海を守る「海上自衛官(艦艇装備幹部)」の仕事内容・給料レポート

現役もしくは元・公務員へのキャリア・アンケートです。

今回は、「海上自衛官(艦艇装備幹部)」(男性)に回答いただきました。

仕事内容、年収(給料・ボーナス)や残業状況・職場恋愛などについてアンケートしたものを編集して掲載しています。


はじめに

日本の海を守る「海上自衛官(艦艇装備幹部)」(男性)によるキャリアレポートです。

レポート者のプロフィール
公務員としての職業・勤務先:海上自衛官 / 全国各地
性別:男性
雇用体系:正規雇用
所有資格:自動車免許、第1級陸上特殊無線技士、第2級海上特殊無線技士、小型船舶1級免許

「海上自衛官(艦艇装備幹部)」を目指した理由

元々、「自衛隊」に興味があり高校生の時に航空学生を受験したことがきっかけです。

その後大学に進学して、就職先を考えているときに自衛隊一般幹部候補生の試験案内がありました。地方協力本部の広報官から話を聞くうちに、次第に興味がわき一般幹部候補生(海上)を受験しました。

他の企業内定もありましたが、人のための仕事として「海上自衛隊」の道を選択しました。

「海上自衛官(艦艇装備幹部)」の仕事内容について

「海上自衛隊」に一般幹部候補生として入隊した後は、広島県江田島市にある海上自衛隊幹部候補生学校で1年間の訓練を受けます。 その後、約半年間の近海練習航海、遠洋練習航海にて、船乗りとしての実地訓練を経て、各種の配置先決定となります。

多くの一般幹部候補生出身者は、護衛艦勤務を経験します。 艦艇職域の配置の人間はそのまま、艦艇勤務が多くなります。 私の場合、「艦艇装備幹部」という職域に進むことになり、1年半の護衛艦勤務をしました。 護衛艦では船務士の職を経験しました。

その後、職種転換となり艦艇幹部から「艦艇装備幹部」となり、術科学校にて教育を受けます。 「艦艇装備幹部」の職種の場合、艦艇の整備修理を担当する幹部となります。 艦の状態を確認して、検査修理に関する業務を行い、会社との折衝・仕様書作成・監督業務を行います。 また、艦艇装備品の研究開発を行う職種でもあります。

「海上自衛官(艦艇装備幹部)」の1日の仕事の流れ

日勤(艦艇装備幹部の場合)

7時:自宅を出て勤務部隊に出勤(徒歩・電車など)
7時半:職場に到着、夜間の担当艦艇の故障情報などについて確認・処置 8時:国旗掲揚(そのほか、各種文書決済・報告準備など)
8時半:課業始め、日令会報にて報告、デスクワーク・打ち合わせなど
11時半:課業やめ(午前)(幹部になるとあまり関係がなくなる)
12時:昼休憩(60分:昼食)
13時:課業始め(午後)、現場艦艇に出向き修理打ち合わせなどを実施。
16時15分:課業やめ(午後)、公務員としての課業時間修了の時刻。ただ幹部だとまだまだ仕事が・・・
17時:一応の終業目安の時刻。部隊長(指揮官)が帰宅する時刻となり、当直士官指揮となる。
17時半:早ければこのくらいの時刻に仕事が終わる。
18時:体力錬成(水泳)など
19時:帰宅。(海上自衛隊では上陸と呼ぶ)
当直勤務は、16時以降以降も翌日9時まで勤務する。

「海上自衛官(艦艇装備幹部)」の給料・残業・有給休暇について

月給25~30万円(残業代なし)、各種手当、ボーナス夏冬合わせて130万ほどで、年収約500万円ほどになりました。(年齢、階級、役職、勤務地により上下があります。)

「自衛官」の場合、残業は基本的にありません。 ただし「幹部自衛官」の場合、勤務している部隊等により、かなりの残業時間になる場合があります。 有給休暇については、事前に調整している場合はかなり取りやすい状況です。 突発的だと少し難しい場合も、勤務場所によってはあります。

この仕事で、働いているときに困ったこと

自衛隊といってもお役所のところがあります。 どうしてもお役所仕事になりがちな面も、多々発生して困ることがあります。 「艦艇装備幹部」の仕事では、企業と仕事をするため民間のビジネスマナーを覚えておく必要があり、最初は苦労しました。


階級がまだ低いうちは、「なんでこのやり方なんだろう」というジレンマとの闘いになります。 粘り強く改善を進めていくなど、辛抱が必要な部分がありました。

また、「艦艇装備幹部」は予算との闘いが大きくなります。 「この装備について、ここを改善したい!」と思っても、予算・制度の壁にぶつかることが多くありました。

この仕事や職場でよかったこと

「自衛官」は国家公務員として位置づけられているため、公務員としての福利厚生が受けられます。 特に、福利厚生については、他の公務員より恵まれた点がありました。 「自衛官」の場合、自衛隊病院、衛生隊診療室での治療については無料という点があります。

そのほか、旅行・休暇取得での割引などがいろいろ付く部分があります。 海上自衛隊であるため、遠洋練習航海では数々の国を訪問して、その国の文化を体験できました。 (その分遠洋練習航海はキツイのですが・・・)

「海上自衛官(艦艇装備幹部)」の仕事エピソード

故障で困り果てっていた艦艇に出向き、修理して機器が正常に稼働するようになり、隊員から非常に感謝されることが、仕事の原動力になります。 何度も故障をして、手間のかかる機器が直ったときの歓声は非常に感動するものがあります。

開発研究部隊に在籍したとき、ある実験で数多くの艦艇・航空機を動員して自分の考えたやり方で動かすということがありました。 他の隊員ではできない、大きな仕事を任せられることもこの仕事の喜びです。

なお、その実験が失敗に終わり一億円以上の燃料費・装備費・試験費用が吹っ飛んでえらいご迷惑をお掛けして、お詫び行脚をしたのも大変なエピソードでした。

「海上自衛官(艦艇装備幹部)」の職場恋愛について

自衛隊内での職場恋愛は結構あり、推奨とまでは言いませんが歓迎されています。 隣接する部隊の女性隊員と知り合いになり、その流れで交際・結婚というのもありました。

職場以外だと「トーキングフェスタ」で知り合い、交際・結婚というのが多くあります。 意外と職場外で知り合う機会が少ないのが、海上自衛隊の宿命です。

職場恋愛で、一つだけ不文律としてあるのが、「同一職種の幹部同士の交際・結婚はバレるな!」があります。 幹部自衛官同志での職場恋愛も結構あるのですが、同一職種の幹部自衛官の場合は大変です。禁止はされていませんが「絶対に結婚決定までバレるな!」と上司からの指導が入ります。

まとめ 「海上自衛官(艦艇装備幹部)」を目指す方へメッセージ

海上自衛隊は「仕事がキツイ!」なんていわれていますが、その先にある「誰にもできない感動」を体験できる職場です。是非とも「海上自衛隊」という進路を考えてみてください!

本記事は、2019年12月24日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

海上自衛官(艦艇装備幹部)
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