国が「倒産」するとどうなるのか?- デフォルト後の国家

「会社が倒産する」という状態を、なんとなくイメージ出来る人はいても、「国が倒産する」という状態をイメージできる人は、そう多くありません。

本記事では、「国が倒産する」とはどういうことか、まとめました。

はじめに

企業は倒産、人間は自己破産するように、国家も「倒産」「自己破産」に陥ることがあります。

この場合は「デフォルト」と呼ばれており、国債を償還できなくなった状態のことを指します。デフォルトは英語で、意味は「滞納」や「不履行」、「怠慢」といった意味をもちます。

本記事では国家がデフォルトするとどのようになるのかについて説明します。

国家の「デフォルト」とは何か?

国家のデフォルトとは、冒頭で説明した通り、国債が償還できなくなった状態のことを指します。これはどのような状態のことを指すのかについて説明します。

国の借金「国債」が償還できないとはどのような状態?

国の収入は、法人税や所得税、消費税などの税収の他にも国債があります。国債とは端的に説明すれば国家の借金の事を指します。国債の金額に合わせて利子を売り出すパターンや、額面よりも少し安い金額で振り出して、満期になると額面通りで買い取るというパターンの国債もあります。

日本政府も国債を発行しており、例えば平成30年度の場合、一般会計における発行した国債金額は約33.7兆円、うち建設国債が6.1兆円を占めます。一般会計の歳入全体は約99.7兆円なので3分1は借金でまかなっていることになります。

もちろん、借金ですので原則としては利息をつけて将来的には返済しなければなりません。(利息をつけるのが原則ですが、日本を含む一部の国は利息をマイナスにして発行しています。)

この借金を返せなくなったのがデフォルトという状態です。人間や企業のように国家も借金が返せなくなれば財政破綻となります。

自国通貨建ての国債が償還できなくなることはない?

ただし、デフォルトは簡単には発生しません。国家は自身で通貨を発行できるからです。

例えば10億円の借入金を企業が返済しなければならないとすれば、会社の設備を売却したり、投資を募ったりして10億円を集めなければなりません。

ただし、国家の場合は自身で通貨を発行できるので、10億円足りなくなれば、10億円分通貨を発行して国債を償還してしまえば良いだけです。このような理由から自国通貨建てで国債を発行している状態でデフォルトすることはまずないと言われています。

ただし、この話には落とし穴があります。通貨を無闇に発行すると他の通貨と比較して相対的に価値が目減りするのでインフレ状態になってしまうということです。また、そもそもデフォルトするかもしれない国は経済規模が小さく、そもそも通貨の信用力に乏しいケースも多いです。そのため、自国通貨を持っていたとしてもドル建てで国債を発行している国も多いです。

自国通貨建ての国債でデフォルトする可能性はまずありませんが、デフォルトしそうな国はそもそもインフレとデフォルトの懸念から自国通貨建てだと投資家集まらないので、ドルなどの基軸通貨建てで国債を発行します。

国家は、デフォルトするとどうなるのか?

もちろんある日突然デフォルトするわけではありません。

個人や企業と同様に国家がデフォルトする直前にもその兆候が現れます。デフォルト直前に現れる傾向やデフォルト後はどのようになるのかについて説明します。

デフォルトに近づくほど、国債の格付けが低くなる

企業の株式について証券アナリストが分析するように、国債についても格付けがされています。

一般的には国債の格付けが低い国家ほどデフォルトする可能性が高まります。デフォルトに近づいている国ほど国債の格付けが低くなるので、まずはこれを目安とすると良いでしょう。(デフォルトが近いと格付けが低くなりますが、高いほどデフォルトの確率が低いというわけではありません。格付けは利回りや経済成長など色々な要素によって総合的に判断されます。)

スタンダード&プアーズ(S&P)、ムーディーズ、フィッチ・レーティングが三大格付け会社だと言われているので、これらの格付けをチェックすれば良いでしょう。

国家のデフォルトが迫る3つの兆候

格付けの他にも一般的にはデフォルトが近づくと次の3つの兆候が表れるといわれています。

・慢性的な経常収支の赤字
・市場金利の急激な上昇
・不健全なインフレーション

慢性的な経常収支の赤字

慢性的な経済収支の赤字はデフォルトに近づく危険な傾向です。もっとも、ここでいう「赤字」とは家計のような意味での赤字でありません。赤字とは海外から資本が流入してきている状態、黒字とは他国に資本を投下している状態のことを指します。

よって、短期的な経済収支の赤字はまったく問題ありません。ただし、慢性的に経済収支が赤字ということは、それだけ国内の産業などが海外の資本に支えられているということになります。

もちろん発展途上国が経済成長する際は海外からの資本投下は頼もしい味方となりますが、投資家が突如資本を引き揚げると国の経済に大きなダメージが発生します。1990年代に発生したアジア通貨危機も投資家からの資本が一斉に引き上げられたことにより発生しました。

不健全なインフレーション市場での急激な金利上昇

経済が活性化すると、モノに対してお金の価値が相対的に低下してインフレが発生します。インフレすると国債の価値は相対的に下落します。また、食品などの生活必需品の値段も上がるので実生活に支障をきたすかもしれません。(*インフレ・インフレーションは、モノの値段があがる現象です)

そのため政府(中央銀行)は極端なインフレを防ぐために政策金利をあげます。政策金利を上昇させると、市場金利も上がりお金の動きが鈍化します。

鈍化の程度が著しい場合、経済成長の鈍化にもつながるので資本家が資金を引き揚げるかもしれません。資金を引き揚げる際はその国の通貨をドルなどの基軸通貨に換金するのでインフレ圧力となります。

このインフレ圧力に対応するために、さらに政策金利を上げて…となれば悪循環となります。結果として経済成長は鈍化、そこから発生する税収も少なくなります。また、国債の利回りも高く設定せざるをえなくなるので、国債が償還しにくくなります。

IMFの介入と緊縮財政

海外投資家が資本を引き揚げ、経済が鈍化、国債の償還が難しくなれば、政府が頼るところがIMFです。IMFとは国際通貨基金という国際機関で加盟国に為替政策の監視や国際収支が著しく悪化した加盟国への融資などを行っています。

デフォルトしそう、あるいはデフォルトした場合はIMFが融資を行い、金融政策のアドバイスなども行いながら、財政状況の立て直しを行います。

一般的にIMFは緊縮財政的な政策による財政の立て直しを求めると言われています。その過程で公的年金の予算削減や公共事業の見直しを迫られる可能性もあります。

通貨信用とハイパーインフレ

緊縮財政により国家の財政をスリム化して財政を健全な状態を戻すのと並行して、為替の問題は発生します。インフレにより相対的に自国通貨の価値が暴落するので輸入などが厳しくなります。ただし、インフレによって相対的に賃金や物品価格が他の国よりも低くなるので輸出産業にとっては有利になります。

通貨安を武器にして輸出産業を促進、そこに海外資本などの投下を伴って景気は再び回復傾向になります。

よく、デフォルトすると国家が消滅するのではないかと思われるがそんなことはありません。たしかに経済や生活は混乱しますが、国家が無くなるということはないでしょう。(情勢不安により政治体制が大きく変換する可能性はあります。)

例えば、ギリシャは1800年からの約200年の間に債務不履行と債務条件変更の年数は50%を超えています。2年に1回は破綻しているといっても問題ないかもしれません。

▼詳細:ギリシャはデフォルト(債務不履行)常習国歴史と最適通貨圏理論で解く問題の本質
https://diamond.jp/articles/-/14501

日本はデフォルトしないのか?

「日本の国債発行残高は897兆円で国民一人あたり借金が700万円程度あることになる」というのはよく言われる議論ですが、もちろん国債の発行残高だけで国の財政破綻の危機を論じることはできません。

まず、日本国債は円建てで発行しているので、自国通貨建ての国債はいくら発行しても基本的にデフォルトしないという原則から考えれば破綻する可能性は低いでしょう。

もっとも自国通貨建てならいくら国債を発行しても良いのかというとそういうわけではありません。自国通貨建ての国債を発行しすぎると、相対的に通貨の価値は下落インフレが発生します。ただし、日本に限っては極端なインフレを心配する必要はありません。2018年の実質成長率は目標2.0%(適度なインフレが経済政策的には望ましい)に対して0.7%とむしろ更なるインフレが目標とされています。

また、日本国債は利回りがマイナスでも投資家が購入します。将来にわたって金利がマイナスになるのならば買えば買うほど損をすることになりますが、為替ヘッジの観点からは金利がマイナスでも十分に購入するメリットがあります。

少なくとも国債に関しては償還ができなくなって、デフォルトになりそうな兆候は見られません。

ただし、少子高齢化に伴う社会保険料の増大、新興国の急成長と日本経済の成長鈍化により相対的に日本の産業が競争力を失いつつあるなどのリスクは存在します。

まとめ – 他国通貨での国債は赤信号

国家は国債が償還できなくなれば、債務不履行=デフォルトとなります。

ただし、自国通貨建てで国債を発行しているうちは基本的には安心です。一方で、自国通貨建ての国債を発行しても十分な買い手がいない程度に通貨の信用力が低い国家は他国通貨建てで国債を発行しなければなりません。

他国通貨建てで国債を発行するときに問題となるのがインフレです。例えば1ドル100円の時期の日本政府が50ドル国債を発行すると5,000円の資金が調達できます。この国債の償還時に1ドル200円にインフレしていれば、50ドルを返すために10,000円の資金が海外に流出することになります。

そのため、政府は過度なインフレを抑制しようとして政策金利を上げます。政策金利を上げると市場金利も上がり、経済成長は鈍化、海外の投資家は市場から撤退します。こうして経済成長が鈍化する事によって税収などは少なくなり、国債の償還が難しくなります。

一方で、自国通貨建てで国債を発行していれば必ずしも安心というわけではありません。過度な国債発行はインフレの要因になるので、過度なインフレになれば国内の産業にダメージを与える影響もあります。


本記事は、2020年2月22日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

最新情報をチェックしよう!
NO IMAGE

第一回 公務員川柳 2019

公務員総研が主催の、日本で働く「公務員」をテーマにした「川柳」を募集し、世に発信する企画です。

CTR IMG