私立大学の薬学系大学教員の仕事内容・給料レポート

現役もしくは元・公務員へのキャリア・アンケートです。

今回は「岩手県」にある私立大学(薬学部)で働く「大学教員(薬学)」(男性)に回答いただきました。

仕事内容、年収(給料・ボーナス)や残業状況・職場恋愛などについてアンケートしたものを編集して掲載しています。


はじめに

岩手県の私立大学の薬学部で働く「大学教員(薬学)」(男性)によるキャリアレポートです。

レポート者のプロフィール

公務員としての職業・勤務先:大学教員(薬学) / 岩手県にある私立大学(薬学部)
性別:男性
雇用体系:正規雇用
所有資格:なし

「大学教員(薬学)」を目指した理由

生物が好きで、生物系に進学しました。生物を勉強していくうちに、化学の知識、物理の知識が必要になり、それらを勉強した結果、薬学が専門になりました。

「大学教員(薬学)」仕事内容について

大まかには専門分野の講義、実習の指導が中心です。また、研究室で学生に研究指導も行います。自分の研究は、それらの業務の空いた時間を使って進めています。 専門分野の講義、実習は、週に3コマから5コマあります。

これらの準備には1コマの講義あたり、3から4時間くらいかかります。準備は、学生に配布する資料作り、講義中に投影するスライド作成が主です。また、試験問題作成と、その採点も重要な仕事です。講義成績は就職活動に重要である場合があるので、なるべく採点は公平を心がけています。

研究室では、自分の研究テーマの一部を学生に渡し、学生のデータを使って学会、論文発表を行います。(当然その学生の名前も入りますし、学生はそれらの発表を就職活動に使うこともあります。)重要な部分は、学生に任せずに自分で実験を行うことが多いです。研究については、病院に就職した卒業生が研究を始めるときのアドバイスなども行います。

また、卒業するときには国家試験を受験し、薬剤師の免許を取らなければなりません。この国家試験対策も重要な仕事です。国家試験対策は、主に個人への指導を担当しています。民間の国家試験用模擬試験の結果から、力を入れた方がいい科目などを指導します。

大学の運営業務は、実務実習(薬局、病院などの現場での実習)のフォローとケア、国家試験対策の打ち合わせ、学生指導を担当しています。このうち、実務実習のフォローは、薬局、病院と連絡を取りながら行います。何らかの問題が生じたときにはすぐにその薬局、病院に行き、指導担当の薬剤師の先生と対応策を相談します。一昔前と違って、大学の外での仕事が増えましたので、一般的な社会常識がないと業務が動かなくなります。

「大学教員(薬学)」の1日の仕事の流れ

6時:自宅を出て、自動車で通勤する
6時30分:到着。すぐにメールをチェックします。緊急の書類要請が入ることが時々あるので、その場合はすぐに対応します。
7時:実験、または講義準備。
9時:講義、または学生への研究指導
12時:昼休み(30分)
12時30分:学生の質問への対応
13時:実験、または講義。翌日の講義準備をすることもあります。
16時:この時間あたりから会議が入ることが多いです。
20時:会議は大体この時間までには終わります。
20時30分:実験、またはその日に行った実験のまとめ。次の日に行う実験のノートなどもこの時間帯に準備します。
22時:終業、帰宅。夜間に実験を行う学生への指導があるときには、帰宅が23時以降になるときもあります。

「大学教員(薬学)」の給料・残業・有給休暇について

月給約40万円。ボーナスは約100万円で、年収はおおよそ600万円です。残業が多いのですが、残業代などはつきません。

休日出勤も多く、1日完全に休みにできるのは、月に2、3日です。有給休暇は申請すれば取れますが、仕事が詰まっているのでほとんど取れません。


この仕事で、働いているときに困ったこと

研究業績を出すことを求められますが、講義、大学運営業務でかなり時間を取られますので、なかなか研究が思うように進みません。そのため、深夜、休日に実験をすることになりますので、休みがどうしても欲しい、長時間働くのは好まない、という人には不向きな仕事と言えます。

ただ、研究が好きでこの職業を選んだので、精神的な疲れを感じることはあまりありません。とにかく体力勝負、体が疲れていてもしっかり頭を回転させることができる人向けの仕事です。

また、学生には個性があり、対応は1人1人考えて、適した対応を取らなければなりません。人間観察をする能力が問われる面もあると思います。

この仕事や職場でよかったこと

上から降りてくる仕事よりも、こうすれば研究はもっとよくなる、こうすれば講義はもっとわかりやすくなる、というように、自分で内容を考えて進める仕事です。そのため、精神的には自由で、「仕事をさせられている」という感覚はありません。自分で目的、目標を決めて、自分でそれに向かって仕事を進めていく、という感じで毎日を過ごしています。

降ってくる仕事がないわけではありませんが、また要職ではないので、降ってくる仕事量はそれほど多くありません。何より、自分の好きなことをしながら給料がもらえるという感覚です。そのため、他の仕事が回ってきても、それほどのストレスは感じません。ただし、あまり業績が上がらない場合は自分で身をひく覚悟が求められます。これはプロスポーツ選手に似た環境と言えます。

「大学教員(薬学)」の仕事エピソード

すぐにこの職を得られる人は多くありません。ほとんどの人が、任期付き研究員(3年契約、5年契約など)を経てこの職を得ます。任期付き研究員は、決められた期間内に業績を挙げることが求められます。その期間に業績を挙げられると、大学に職を得やすくなります。また、任期付き研究員は、1回だけでなく数回やってから大学教員になる人もいます。

しかし、業績が上がらない場合は、新しい契約を勝ち取れません。そういった場合は、別の職業に方向転換をせざるを得ません。実力勝負の厳しい世界ですが、業績を挙げれば挙げるほど評価がダイレクトに帰ってきますので、やりがいはあります。

また、講義の内容によっても評価されます。学生が講義に点数をつけることが多いので、数字で評価が出てきます。この評価が悪いと、講義内容の改善を求められることがあります。しかし、自分で工夫して講義を改良していけば、評価は割と簡単に上がります。

「大学教員(薬学)」の職場恋愛について

この職業で結婚するパターンは、大学院生時代に結婚、任期付き研究員時代に同じ職場の研究者、技術員と結婚、というパターンです。かなり長い時間職場にいることが多いので、外の世界の方と知り合いになる機会が少なく、なかなか別業種の人と結婚というケースはありません。

学生と恋愛関係になる教員がいないわけではありませんが、独身の教員でもさすがにそれは気が引けるのか、ケースとしては非常に少ないケースです。 学部の性質上、薬局の薬剤師の先生、病院の医療関係者と知り合って結婚する場合もあります。しかしこれもそれほど多くありません。

まとめ ー「大学教員」を目指す方へメッセージ

実力勝負の厳しい世界ですが、自分の実力がそのまま反映する正直な世界とも言えます。自分の力をとことん試してみたい方にはオススメです。

本記事は、2020年8月14日時点調査または公開された情報です。
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