千葉県の大学で働く物理学の「非常勤講師」の仕事内容・給料レポート

現役もしくは元・公務員へのキャリア・アンケートです。

今回は、「千葉県」にある大学で働く「大学講師」(女性)に回答いただきました。

仕事内容、年収(給料・ボーナス)や残業状況・職場恋愛などについてアンケートしたものを編集して掲載しています。


はじめに - 物理を教える大学教員のお話

「千葉県」にある大学で働く非常勤の「大学講師」(女性)によるキャリアレポートです。過去、専任教員で勤務されて、現在は、非常勤として働いています。

レポート者のプロフィール

公務員としての職業・勤務先:大学講師 / 千葉県にある大学
性別:女性
雇用体系:専任教員から非常勤講師へ
所有資格:自動車運転免許(普通・自動二輪)

「大学教員」の道を目指した理由

物理の研究をしたくて大学に職を得ましたが、授業もする義務がある!ということで教養課程の物理学の授業を45年してきました。そのなかで教育の重要性に目覚めたというのが本音です。

「大学講師」(専任教員時代〜非常勤講師)の仕事内容について

現在は大学1年生の物理実験の授業を週に3回(6コマ)担当しています。10年前専任だった時は物理学講義、物理学実験、解析力学を担当し、特別授業としてジェンダー論も担当しました。また、他校の非常勤講師も行い、そこでは量子力学も教えていました。

講義をする場合の基本的態度は教科書を使わず学生に考えさせるための工夫をしてきましたが、高校までの「受験勉強」的な学習法から抜け出すのは大変みたいでした。教えているのが物理学科ではないため、どうしても「単位さえ取ればいい」という態度を変更できずレポートで提出させると他人のものをコピーしただけのものが続出し、単位をつけるのも難儀でした。

私としても学生を評価してそれでおしまい?というやり方にはずっと不満でした。現在も少しでもいいので物理学に興味を持ち、科学的な思考を身につけられればと願っています。専任の時は、コンピュータ委員会、学生生活委員会等の活動も行い、異なった面から学生を支えてきたつもりです。

非常勤の「大学講師」の1日の仕事の流れ

8時20分:徒歩で自宅を出ます

8時45分:勤務先の大学に到着します

9時:授業開始します

9時10分:
・学生のレポートをチェックする 実験が滞りなくできているか、見て回ります。なるべく口出し手出しはしないよう、自分で気がつくまで待ちます。
・学生がデータ、グラフ、計算結果を持ってくるのでチェックします。単位や有効数字に注意を払ってなぜそれが大事なのかを気がつかせるのがポイントで、 学生が考察を書いているのを待って終了します。
・考察は「感想」ではないこと、結果が予想と異なっている場合なぜそうなってしまったのかを考察させることを指導します。

12時10分:
授業終了 この時点で全員が終わっていることは少ないのですが、学生は「早く食事をしたい」という気持ちが先行し、いい加減な結果を持ってくるのが悩ましいところでした。


非常勤の「大学講師」の給料・残業・有給休暇について

私の場合ですが、3コマで税抜き月給171700円、年収は206万円でした。

残業というのはありません。週3日の勤務ですので後の4日はお休み、週休4日の上、年間140日の夏休み・冬休み・春休みがありますのでむしろ休暇の方がずっと多いです。

この仕事で、働いているときに困ったこと

残念ながら学生は実験自体に興味がありませんので、授業中でもスマホ(ゲームでしょうか)をし放題、ネットでいろいろ調べてね、と言っているのでやめさせるわけにも行かず、どうしたら実験に集中できるのかが悩みの種です。

勤務する大学では予習レポート制を採用し、予めどうやった実験をするのか調べてくることになっているのですが、それも教科書の丸写しで、聞いても何の実験をやっているのか答えられないほどです。彼らが生活している実空間と関連させて説明することを心がけてはいますが・・・

この仕事や職場でよかったこと

何より、自由な雰囲気な職場でしたので「上下関係」は一切なく、研究も好きにさせてもらえました。研究に関しては活発な議論もできてとても恵まれていましたが教育に関しては物理学科ではないので、ある種「諦め感」があり、活発な議論は少なかった気はします。

とても民主的な職場でしたのに教育に関してはそれを生かせずおざなりになっていたのが残念です。45年間、一度でも辞めたいと思ったことはなく、むしろとても充実した気持ちで働けたことが最高に恵まれていたことではないでしょうか。

「大学講師」の仕事エピソード

個人的には学生とできるだけ「共に学ぶ」ことをしてきたつもりです。「教養ゼミ」という授業の中では学生とイルミネーションを一緒に作り、無事点灯した時はとても感動しました(実は仲良くしていた電気屋さんの協力があったのですが)。

またインドネシアの留学生と合宿をした時は「食べ物」に関してうるさく言われ、初めてイスラム教の食事制限について知り、物理学を教えるだけではなく、一般教養(現在は基礎科学)という職場にいたことで様々なことを学ぶこともできました。ただ、研究室には絨毯を敷かれ、一日6回の礼拝まで欠かさずされたのにはちょっと閉口しました。そんなこともあり、現在でも仲良くしている教え子がいることは望外の幸せです。

「大学講師」の職場恋愛について

教員同士というのはあまりありませんが(私が知らないだけ?)教員と学生というパターンは意外とあって、ある大学院生(男性)が年上の教員(女性)を好きになり、私がよく「付き添い」でデートをしたことはあります。その大学院生は助手に採用され、結果として職場結婚ということになりました。院生の粘り勝ちです。

また、私の友人を職場の独身男性に紹介しようとしたところ、その方には彼女がいて、私の電話を「盗み聞き?」していた非常勤講師の方とのお付き合いが始まり、その後結婚されて今はお子さんも恵まれました。キューピット役はよくやっています。

まとめ – 「大学講師」を目指す方へメッセージ

教育は「教えること」ではなく共に学ぶことだということです。そのことに気がつくのに30年はかかりました。子供たちとたくさん遊んでくださいね。

本記事は、2020年5月14日時点調査または公開された情報です。
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