四国の国立大学教員「知的財産センター長職」の仕事内容・給料レポート

現役もしくは元・公務員へのキャリア・アンケートです。

今回は、「愛媛県」にある国立大学で働く「大学教員」(男性)に回答いただきました。

仕事内容、年収(給料・ボーナス)や残業状況・職場恋愛などについてアンケートしたものを編集して掲載しています。


はじめに

四国地方の国立大学で働く「大学教員」(男性)によるキャリアレポートです。「知的財産センター長職」という管理職の方です。

レポート者のプロフィール

公務員としての職業・勤務先:大学教員 / 愛媛県にある国立大学
性別:男性
雇用体系:正規雇用
所有資格:自動車普通免許

「知的財産センター長職」になった理由

公務員を長く務めていましたが、産業技術政策や産学官連携施策で様々な大学等と付き合いがありました。あるとき地元の大学から産学連携関係の人財を探しているとのことで声がかかり、お世話になることにしました。

「知的財産センター長職」の仕事内容について

大学で、学部横断的な社会連携推進機構という組織に所属しました。役職はNo2である副機構長と知的財産センター長につきました。

同時に「技術マネジメント」の授業を一コマ受け持ちました。副機構長としての業務は組織全体のマネジメントです。機構長と役割分担して機構を代表する様々な会議に出席したり学長等大学幹部にへ報・連・相します。

知的財産センター長としての職務は大学の特許管理と活用です。大学では日々様々な発明が研究の成果として生まれます。これを評価して大学の特許とするか・研究者個人の帰属とするか決めます。特許庁に出願する前に特許性があるか、実用性があるかを中心に評価します。大学の特許とすれば費用は全て大学持ちになりますので慎重に評価検討します。勿論、個人的に判断するのではなく、専門家にヒアリングしたり有識者の意見を聞いたりして判断します。

大学では研究資金を外部から獲得するために、企業との共同研究を進めています。その際、特許がないと企業側が相手にしてくれないので、特許がある技術をもとに連携する企業を探索しマッチングして共同研究を立ち上げます。成果の扱いや費用分担などの取り決めごとのお世話もします。

授業は工学部と法文学部の3,4回生を対象にした授業です。まずはシラバスを作って公開します。学生はこれを見て講義を受けるかどうか決めます。受講生が決まったら授業開始です。一コマ2単位で15回の授業です。毎週一回講義します。15回目の授業はテストにあてます。レポートで評価する場合もありますが、私の場合はテストです。テストが終わると成績処理です。学生を一人一人評価して単位を認定するかどうか決めます。

知的財産センター長」の1日の仕事の流れ

基本的には全面裁量時間制です。出勤時間の制限はありません。タイムカードもありません。通常は以下のような一日の流れです。

8-10時:自家用車で通勤(大学の専用駐車場に駐車)

午前中:会議やヒアリング、打ち合わせ、資料作成、授業準備(だいたい数日前に予定は決まっていますが、突発的に打ち合わせが入ることもあります。)


12-13時:昼休み(特に時間が決まっているわけではないので、食堂の混雑を避けるため早めに部屋を出ることもあります。)

午後:会議やヒアリング、打ち合わせ、資料作り、授業がある日は授業(午前中と同じイメージですが、授業があるときはバタバタになります。)

18-20時:帰宅 学会や打ち合わせのための出張が多いときで月5~6回あります。

知的財産センター長」の給料・残業・有給休暇について

知的財産センター長では年俸制でした。約1,000万円でこれを12等分した月給が毎月出ます。全面裁量時間制ですので、残業という概念はありません。様々な手当も年俸に含まれています。通勤手当と住居手当だけは別途出ます。

自分でスケジュール管理できますので、授業がなければ休暇は比較的自由にとれます。夏季や冬季には長期休暇も可能です。

この仕事で、働いているときに困ったこと

大学は自由が最大の特徴です。個人の教員の自由裁量に任されている部分が多いため、自己管理に慣れていない人はやや戸惑います。誰も指示してくれないからです。大学という組織はどこで何が決まっているかやや不透明なところがあります。企業や役所のしっかりしたガバナンスに慣れている人はやや不安に感じます。

全てにの意思決定は学長に集中しているという建前ですが、現実は別の所で内々でことが決まっていたりします。事務部門と教員部門は微妙な関係です。事務は教員を立てているように見えますが、実際は事務が全てお膳立てしてルールがきまっているような部分があり、気分的に少しモヤモヤします。今後は大学ももう少し通常の組織のようなガバナンス体制を整える必要があるのかもしれません。

この仕事や職場でよかったこと

教員はセクハラ等のやばい行為をしない限り解雇されることはまずありません。給与も非常に安定しています。業績評価も形式的でそれによって給与が影響することはまずありません。もちろん大学の中で役職を目指したければ成果を上げアピールすることが重要です。研究成果や外部資金を獲得したりすると評価が高くなります。でも頑張らなくてもそれなりに日々を安定して過ごせることは大学教員の役得です。

授業を通じて若い学生と接触できますので、新鮮な刺激を受けることができます。社会からも先生として尊敬されます。

知的財産センター長」の仕事エピソード

授業において、学生から感謝されるとこんなにうれしいことはありません。先生の業で人生の考え方が変わったとか言ってもらえます。自分も少しでも若い人達の役に立ったことをうれしく感じます。これは給与や名誉では代えることができない教員の特徴です。

逆に授業の準備で少しでも手を抜くと学生に見透かされます。授業における学生の態度に直ぐ表れます。企業との共同研究で大きな成果が出たときは研究者と一緒に喜べます。達成感が半端なく大きいものです。企業の方も儲かりますし、大学の研究者は論文という形で世の中に出すことができます。お世話した者としてお礼以上の喜びはありません。

「国立大学内」での職場恋愛の様子について

教員同士で結婚する人もたまに見かけましたが、それよりも多いのは事務職員と教員の組み合わせです。

事務職員は基本的に非正規雇用の結婚適齢期の女性が非常に多いです。言葉は悪いですが、若い教員への結婚をふまえたアプローチは多くあるように思います。上手くマッチングできたら寿退社です。アルバイトや派遣ですから気軽に辞めていきます。

大学の若い教員は世間知らずで女性との付き合いの経験が少ない者が多いので、恋愛の免疫が少ないようです。ただ、研究に没頭する教員は夜も昼もないくらい時間がないので、女性と付き合う暇もないようです。

まとめ – 「大学教員」を目指す方へメッセージ

自分が大学教員に向いているかどうかの見極めが大事です。金銭面で大きな成功につながることはありません。自由と尊敬を受けられることが最大の魅力です。


本記事は、2020年7月2日時点調査または公開された情報です。
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