コロンビア共和国に半年、日本人が住んでみて感じたこと

どんな国でも、実際にそこに住んでみて初めて知ることは、たくさんあります。自分自身の生まれ故郷や人種によって、馴染みやすい国・馴染みにくい国もあるでしょう。例えば食文化が生まれ育った国と似ていて、使用する言語も同じであれば、その国に住むハードルは低く、その逆の場合は、苦労する事も多いかもしれません。

本記事では、日本からは地理的に離れた国である「コロンビア共和国」に住む日本人ライターの方に、実際に住んでみて感じたこと、日本人だからこその苦労を、コラムにしていただきました。


はじめに – コロンビアに住んだ半年済んだ日本人レポート

「コロンビア」と聞いて日本人が思い浮かべるものは、ほぼ90%の人が「コーヒー」と「サッカー」の2択というイメージではないでしょうか。

コロンビアが、どんな国でどんな人が住んでいて、どんなものを食べているのかといった知識が非常に少ないと思います。私も、実際に来るまでなかなかイメージすることができず、日本でどんなにコロンビアについて調べておいても、実際に行ってみると、驚かされることも非常に多かったです。

今回は、4回の来哥と半年間の生活を経験したからこそ見えてきたものや、感じていることなどをまとめました。公務員を目指す上で、そして公務員として働く上で、他国についてよりよく知ることは非常に有益です。ぜひこの記事をご参考下さい。

コロンビアの地理、気候、その他の特性

私が住んでいるのは、コロンビアの首都ボゴタから1時間ほどの田舎町です。厳密に言えば私はボゴタ市民ではないのですが、首都ボゴタについて中心に書いていきます。

ボゴタの気候は、標高2600メートルの「永遠の秋」といわれる

コロンビア=南米と聞くと、とても暑い気候を想像させますが、ボゴタは標高2600メートルにある都市。「永遠の秋」と言われているほど、年中通して過ごしやすい気候です。

時期にもよりますが、朝晩はやや冷え込むため、ダウンジャケットを羽織っている人もよく見かけます。ただ、日差しはとても強いので日焼け止めは必須。日中、日が出ているところは少し動くと汗ばむくらいですが、日陰は比較的涼しく感じます。

またその標高から、私は何度もプチ高山病(と思われるもの)になりました。日本から行くと時差も大きいため、時差ぼけも重なりますが、頭痛、めまい、だるさ、おなかの張りなどをよく感じ、初めの頃はおいしいものもなかなかおいしく食べられませんでした。ただ、この標高にさえ慣れてしまえば、とても過ごしやすいのが、ボゴタの特長です。

コロンビアの経済と国民の生活・物価について

通貨はコロンビアンペソで、おおよそ、3,000ペソが100円くらいです。

5~600mlのミネラルウォーターが1,500~2,000ペソほど、コーヒー1杯が、地元のパン屋さんなどで1,000ペソ前後、有名なチェーン店だと一番小さいサイズが3,000ペソ前後します。

実際に生活して感じることは、給料に比べて、全体的な物価が高いと言うことです。国民の平均月収は5万5,000円程度(ちなみに日本は約37万円)。もちろん日本の物価に比べれば何でも安いですが、正直、生活は決して楽ではありません。

コロンビアでは、エストラトと言って、住む地域に経済的なランク付けがされています。レベルは最下の1から6まであり、つまり、この地域はレベル6だから超お金持ちのエリア、あそこは3だから一般家庭、というように明確にわかれているのです。


それが良いのか悪いのかは、正直あまりわかりません。ただ、レベル1の地域はいわゆるスラム街なので、近づかない方がいいというのが確実にわかるのは便利かもしれません。

車社会とも言えますが、公共交通機関も発達しています。ボゴタで特長的なのは、TransMilenio(トランスミレニオ)という大型のバス。専用のレーンを走るので渋滞にもならず、Pasmoのようなチャージ型のカードで乗り降りができます。どこまで行っても一律料金でとても便利なのですが、通勤ラッシュ時などの混雑がひどく、日本の満員電車並みです。

道路の混雑もひどく、渋滞は日常茶飯事。ヒトと仕事が、ボゴタに集中しているためだと言われているようです。

▼参考URL:https://www.worlddata.info/average-income.php

コロンビアの民族性 - 国民性と言語、食生活など

コロンビア人って、どんな人たち?

南米人と聞くと、明るくてお祭りやパーティが大好き!な性格をイメージされることが多いようです。

確かにコロンビア人には明るい人が多いですが、そのイメージで対峙すると、ちょっと違うな、と感じると思います。

コロンビアも広いので地域性がありますし、もちろん個人差もありますが、私が一貫してボゴタの人たちに感じているのは、「おとなしくて、真面目な人が多い」ということ。日本人と似ているところが多いとも感じます。

ただ大きく違うのは、みんなよくしゃべること。

とある人に聞いたところによると、コロンビアの教育はインプットよりもアウトプットを重視しているため、自分の意見を言うのは上手だが、人の話を全然聞かない人が多い、とのこと。

私も家族内で、一度や二度言ったことは全然伝わっていなかったり、二つ三つ質問しても、一つの回答しか返ってこなかったりということが多々あります。

民族としては混血率が非常に高く、肌はオークル、髪は黒いという人が大半です。わかりやすいのが、サッカー選手のハメス・ロドリゲス。黒人もいますし、ときどき、白人に近い人も見かけますが、私たちのようなアジア人はほとんど見かけません。

観光地でも本当に稀に、中国人とみられる人たちを見かける程度なので、コロンビア人にとってアジアやアジア人とは、未知の存在なのかもしれません。

夫によるとコロンビアでは、アジア人=中国人だと思っているそうで、実際に私も道ばたで「ニイハオ」と挨拶された経験は、一度や二度ではありません。

公用語について – 美しいスペイン語を話す人たち

コロンビアの公用語はスペイン語です。

スペインのスペイン語と、ラテンアメリカのスペイン語には、単語、発音などいろいろな違いがありますが、その中でもコロンビアは、特殊な訛りの少ない、きれいなスペイン語を話すと言われています。


ただ私のスペイン語レベルは非常に低いので、それがどの程度かはあまり実感できていないのが事実です。

これはボゴタ周辺の傾向のようですが、とても丁寧な話し方をするというのも特長です。例えばスペイン語には、英語の「Hi!」にあたる、「Hola!(オラ と発音する)」という気軽な挨拶があります。

私自身や他の友人の経験から、スペインや他の南米諸国では、この「Hola」という挨拶はレストラン、パン屋さん、ご近所さんなどいたるところで交わされているようですが、ボゴタではあまり頻繁には使われません。日本語で言う「おはようございます」「こんにちは」といった、丁寧な挨拶がメイン。

家族や友人関係においてはこの限りではありませんが、誰にでも「Hola」と言うと、ちょっと馴れ馴れしい感じになってしまうのです。

食について – 日本と似ているところと違うところ

コロンビアの主食は、お米です。町中にパン屋さんがあり、炭水化物源としてはトウモロコシも多い国ですが、ここは日本人としては嬉しいポイントです。ただし、お米の種類は違って少し細長く、塩と油を入れて炊くというところも日本と異なります。

その他よく食べるものは、ジャガイモなどの芋類、鶏、牛、豚の順によく食べる肉類、豆類、意外なところだとパクチーなど。また、フルーツも豊富です。南国フルーツがメインですが、日本では見たことのないものがたくさんあります。料理の味付けは塩コショウのみ、などとシンプルなものが多く、日本人の口には合いやすいものが多いと思います。

飲み物は、やはりコーヒー。緑茶はもってのほか、紅茶を含めて、お茶を飲む習慣もあまりありませんが、アロマティカというハーブティーのようなものはよく飲まれています。その他、朝ご飯にはホットチョコレートが定番、コーラなどの炭酸飲料の他に、絞りたてのフレッシュジュースを出してくれるお店も多くあります。

ボゴタには、日本食レストランも何軒かありますし、中華(風?) レストランはたくさん見かけられますが、お箸を使える人はとても少ないです。

その他、コロンビアで生活する日本人にとっての試練とは?

最後に、日本人にとって、コロンビアで生活する際に苦労する点、不便を感じる点をまとめました。

コロンビアには、お風呂がない

西洋の多くがそうですが、バスタブにお湯を張って浸かる、という習慣がありません。特にここコロンビアで私が見てきたお宅のバスルームには、そもそもバスタブ自体が存在しないところばかりでした。そして、シャワーは固定式が多いです。

コロンビアは、日本食材が手に入りづらい

アジアンマーケットのようなところは、なかなかありません。

醤油は多くのスーパーに置いてありますが、例えば味噌、みりんなどはなかなか手に入りません。緑茶もあまり売っていないうえ、あってもすでに砂糖が入っていたりフレーバー付きだったりします。

また加工食品を中心に、食品類の多くは禁制品(海外からの個人送付が禁止されているもの)にあたるため、日本から送ってもらっても没収される可能性が高いです。

コロンビアでは、英語がほとんど通じない

私はスペイン語があまり話せないのですが、観光スポットや入管のスタッフにも、英語が話せる人は本当にわずかしかいませんでした。

もちろん、できる人はたくさんいるのでしょうが、あまり期待しない方が良い、というのが正直なところ。余談ですが、日本人も中国語を話す民族だと思っている人は、とても多いです。

コロンビアで販売される洋服などが日本人のサイズに合わない

海外あるあるではあると思いますが、サイズを見つけるのには一苦労です。

コロンビア人は、日本人と平均身長はあまり変わりませんが、やはり体格が違います。私自身は、身長は平均以上ですが痩せているため、特にパンツなどはフィットするものを見つけるのが大変です。バイク用のヘルメット、手袋なども見つかりませんでした。

まとめ – コロンビアの生活は楽しいです

地球のほぼ反対側、あまり身近とも言えず、知識もほとんどない国、コロンビアですが、意外と、日本や日本人と近い部分がたくさんあります。言葉の問題や文化の違いにもやもやすることも多いですが、貴重な体験であるコロンビア生活を、これからも楽しんでいこうと思います。

本記事は、2020年4月29日時点調査または公開された情報です。
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