はじめに
福岡県で働く、男性の「刑務官」によるキャリアレポートです。
公務員としての職業・勤務先:刑務官 / 福岡県
性別:男性
雇用体系:正規雇用
所有資格:国家公務員
「刑務官」を目指した理由
「刑務官」を目指した理由は、以前から犯罪を起こしたものに対する社会復帰と施設内での改善更生に興味があり、一度道を踏み外したものを一般社会でしっかり働けるようにしたかったのが理由です。
福岡県で働く「刑務官」の仕事内容について
国家公務員「刑務官」としての主な仕事内容は被収容者の改善、更生および社会復帰を目指すものです。
そのために、一般企業などにある会計、人事などに加え被収容者の社会で生活できるよう、及び社会復帰を目指し自覚を促す処遇というものがあります。これは確定受刑者に限っていえば作業を行わせ、社会で役立てることができるようにしたり、施設の規律秩序に反する行動をとった際には注意指導を行い、社会のルールにのっとった行動ができるよう訓練します。反則が著しいものには罰則があります。
そのほかにも出所後の進路を決めたり、帰る身寄りのないものに施設を紹介・斡旋したりする分類部門や、犯罪にみあった教育を行う教育部門などがあります。
未決拘禁者においては逃走、犯罪の証拠の隠滅を図るおそれがあるため、身柄を交換してそれらを防止するような働きかけを行います。
また、どの場所でも被収容者の人権を尊重して人権に反すれば職員にも罰則があるので難しい仕事です。
福岡県で働く「刑務官」の1日の仕事の流れ
たまに夜勤の仕事もありますが、毎日の流れは7時に家を出て、職員が全員出席しているか点検があります。
その後、被収容者の朝ごはんや作業の準備を行います。
午前中は会計の仕事します。差し入れ品を被収容者ごとに分けたり、その差し入れを検査したりします。
その間に反則行為をしたものがいればその事情を聞いたり、罰則を与えるための調査を行ったりもします。
そのほかに、被収容者を運動、入浴を応援したり、作業させたり、書類や被収容者の生活に必要な願い事を集計したりなど様々です。
午後は、12時から30分程度休憩をとり、午前中に終わっていない仕事をします。
そして17時以降は夜勤の担当者に業務を引き継いで一日が終わります。
引き継ぎ以降は事務処理を行い18時頃には退社します。
福岡県で働く「刑務官」の給料・残業・有給休暇について
給料については夜勤などもあり基本給はそこまで高くはありませんが、超過勤務がある程度つくので不自由しない生活を送れています。
ボーナスは額面50万程度が年2回。年収は500万円程度でした。
有給の取得は比較的とりやすい環境です。
この仕事で、働いているときに困ったこと
仕事柄もあり、体育会の雰囲気の強い職場です。武道に精通した職員も多く、トップダウンが強いです。
アルバイトや学生生活を普通に過ごしてきた人にとっては社会とのギャップを感じると思います。職員になってすぐに辞めるものも多々おり、一般企業とは違うところも多々あります。慣れればいいですが、職員間の立ち振る舞いに非常に気を遣う仕事になります。
また、被収容者の人権に慎重にならなければならないため、ドラマなどでよく見る指導などはやれないのですが、新しく入ってきたものはその意識が強いのか問題を起こしやすいです。
社会との認識がだいぶかけ離れているのが悩みです。
この仕事や職場でよかったこと
職員に関しては体育会系と言いましたが、人を注意指導する立場にあるのでおかしな考えの人はあまりおらず、非常に常識人の揃った職場だと思います。人間らしい情に溢れた職場です。
トップダウンは強いですが、気遣いを忘れなければよい職場だと思っています。
また、休日に関してはしっかりしており、休日出勤などをした際には代休も確実にもらえ、出産や病気の時は特別な休暇もあるので体と心のリフレッシュはしっかりできます。
福岡県で働く「刑務官」の仕事エピソード
人対人の仕事で失敗は多々あります。少し言葉を間違っただけで人権侵害などで訴えられたりもします。
しかし、周囲の上司なども同じように失敗をしているので前向きな失敗に関しては厳しく叱責もしますが、フォローも忘れずにしてくれます。
失敗の内容は職業柄あまり言えませんが、主に自らの立ち振る舞いです。
私も失敗したことはありますが、ある上司から失敗しないと成長はないし、今してしまった失敗はいずれするものだから早く気付けて良かったなど、失敗から学ぶことを念頭に置くように指導され、それを胸に日々精進しています。私の感動した言葉です。
福岡県で働く「刑務官」の職場恋愛について
職場内結婚はほぼありません。もちろん男性職員がほとんどというのはありますが、女性職員がいないので気兼ねなく女性関係の話しはできます。
結婚している職員が7割ぐらいだと思います。職場外での出会いが多く、また女性に不自由する職場なので職員間で紹介して結婚に至るケースも珍しくありません。
職場内にも一応少数の女性職員がいますが、掃除や事務関係なので男性職員が関わることはほぼありませんし、女性は女性の働く施設がありますが、交流会のようなものはほとんどありません。
しかし、研修などは男女混合なのでそういった場所で出会って結婚する職員はいます。
まとめ ー「刑務官」を目指す方へメッセージ
体育会の人はすぐ慣れると思いますので待ってます。
コメント
コメント一覧 (4件)
刑務官の適正について言及があった上で上司とのエピソードや同僚との恋愛を通じてのやりとりが書かれているのが面白かった。常識的で人間らしい情に溢れる姿が伝わってきました。
大学で法律を学んでいたこと、地元である福岡県で働く方の記事だったため興味を持ちました。刑務官というと体力の充実した体育会系の方をイメージしていましたが、会計のような事務作業や指導する立場ならではの気遣いなど、さまざまなことが求められることを知れてよかったです。
実態がわかりにくい刑務官という職業のいろはを知ることができるので、かなり興味深い記事だと思います。やはり過酷な仕事なのだと実感したとともに、この仕事をする方々に敬意を払いたいと思えたので知って良かったです。
実際の刑務官の体験レポートを知れる事はとても貴重な事だと思った。刑務官になりたいと思っていない人でも一つのドキュメンタリーの様な面白さがあった。全ての職種にもあれば、面白いと思った。