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アメリカvs中国「新冷戦」勃発!?トランプ大統領は何を語ったのか?

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目次

はじめに – アメリカと中国の対立が深刻化

2020年5月29日(アメリカ時間)トランプ大統領はホワイトハウスで記者会見を開き、香港の自治を巡る一連の動きに対して中国政府へ対抗措置をとることを発表しました。

記者会見はわずか10分、記者からの質問は受け付けないという非常に淡白なものでしたが、会見で語った内容は極めて重要なことばかりです。

この記者会見を受けてアメリカの主要メディアをはじめ、イギリス国営放送のBBCもトップニュースとして報道し「事態の深刻さ」をうかがわせました。

アメリカ国内では「中国との冷戦」や「国交断絶が現実的に」など、過激な声も目立ち始めており、両国の関係は緊張状態にあります。

今回は、わずか10分という記者会見でトランプ大統領が何を語り、今後どのような影響が生じるのかを解説します。

公務員を目指す方は、いずれ日本にも影響が及ぶ事案ですので、ぜひ参考にして下さい。

中国政府に対するトランプ大統領の声明の概要

トランプ大統領が記者会見で発表した声明は「新型コロナウイルス」「WHOと関係断絶」「産業機密保護」「金融システム」そして「香港国家安全法制」の5つに分けられます。

ここでは、それぞれの項目に対してどのような発言をしたか、要点をまとめてご紹介します。

中国政府に対する声明1:新型コロナウイルス

・中国政府は絶えずアメリカや他国に対して約束を破り続けている
・中国政府による不正行為(隠蔽)によって世界中の人が苦しんでいる
・武漢ウイルス(新型コロナウイルスの言い換え)
・アメリカ人は10万人が死亡し、世界中で600万人が命に関わる苦しみを味わっている
・中国政府はWHOへの報告義務を怠った
・WHOに対して、世界を誤解させるようにと圧力をかけた

中国政府に対する声明2:WHOと関係断絶

・WHOはアメリカが要求する改革を拒否した
・とても重要な改革を実施しなかった
・アメリカはWHOとの関係を断ち切る
・WHOへ充てていた資金は別の公衆衛生へ使用する
・世界はウイルスに関して中国からの回答を望んでいる
・透明性が必要
・武漢市民がアメリカや欧州に行くことを許した
・この死と破壊は計り知れない

中国政府に対する声明3:産業機密保護

・パンデミックによってアメリカは経済的な独立とサプライチェーンを再確認する
・何年もの間、中国政府は産業機密を盗むためにスパイ活動をしてきた
・安全上のリスクがあると特定した中国からの外国人を入国停止にする


中国政府に対する声明4:金融システム

・アメリカの投資家を保護するために中国企業の慣行を調査する

中国政府に対する声明5:香港国家安全法制

・中国政府が一方的に決めた国家安全法制は、香港基本法に対する明白な違反
・中国政府による香港に対する行為は香港の高い地位を低下させている
・香港、中国、世界中の人にとって悲劇
・もはや香港の領土は特別待遇を正当化するのに十分自律的とは言えない
・中国政府は一国二制度を一国一制度に変えた
・香港に対する特別優遇措置の見直しを開始する
・対象は犯罪人引き渡しから輸入管理まで幅広く、例外はほとんどない
・旅行や税関の優遇措置を取り消す(ビザや関税)
・香港自治を侵害した香港と中国の関係者に制裁を課す
・香港の人々は、中国が香港のように活動的で輝く街のようになることを望んでいる
・香港が過去の中国の姿を映すことを望んだのではない

このように、トランプ大統領は5つの項目に関して中国政府への批判を交えながら、対抗措置を発表しました。

記者会見を行ったトランプ大統領の思惑

今回の一件は「新型コロナウイルス対応への批判回避」と「大統領選へのアピール」というふたつの狙いがあると考えられています。

国民の批判の矛先を中国政府へ向けたいトランプ大統領

10万人を超える死者を記録したアメリカでは、トランプ政権に対する批判が根強く残っています。これに対してトランプ政権は「感染源は武漢研究所」や「国交断絶」など、過激な主張を繰り返して批判の矛先を中国政府に向けてきました。

しかし、感染源は武漢研究所という証拠があると主張しながら、いまだに発表できずにいます。また、中国政府を批判するだけで具体策を打ち出していないと言われるようになったため、今回のカードを切ったという訳です。

アメリカ国内でなかなか静まらないコロナ対策に関する政府への批判をかわすためには、これまで以上に「大きな動き」が必要だったと考えたようです。

次のアメリカ大統領選に向けた準備

今回の記者会見は具体性に欠けるものでした。

香港や中国に対する多岐にわたる対抗措置は計画の範疇を出ず、具体的な実施時期には触れていません。「WHO脱退」に関しても同様でしょう。

また、多くの人が注目していた「米中貿易合意」についても触れておらず、中国政府を追い込んだとは言えません。

つまり、今回の一件は中国政府に照準を合わせたのではなく、大統領選を有利に運ぶため、アメリカ国民に「強いリーダー」を見せつける思惑があると考えられます。

事実、記者会見冒頭の挨拶でアメリカ人から同情されやすい台詞と構成で中国政府を批判しています。

「中国政府はアメリカを食い物にし、不正行為を働いていることはよく知られている」や「中国はアメリカの工場を襲い(シェアを奪い)アメリカの産業を根絶やしにした」さらに「知的財産を奪い、世界貿易機関の下で約束を破った」など、強い口調で批判しました。

中国は「発展途上国とみなされている」としたうえで、アメリカが享受できない様々な優遇や利益を得ていることも指摘しています。

これらの発言は、端的ながら多くの産業に携わるアメリカ人の感情を汲み取った台詞です。また、アメリカが中国よりも不利な状況に置かれていることにも触れており「アメリカは被害者」という印象を与えるような構成になっています。


注目が集まりやすい冒頭に述べることで、アメリカ国民にうまくアピール出来たと言えるでしょう。

トランプ大統領の声明に対する中国の反応

中国ではメディアを通じて批判的な声が挙っています。

アメリカ政府は、中国政府の公式な見解や反論に猶予を与える目的で「金曜日の午後」に記者会見を開いたと考えられます。(自国の株式相場も考慮している)

国連安全保障理事会でアメリカと中国は対立

29日、アメリカとイギリスの要請によって国連の安全保障理事会(非公開テレビ会議)が非公式で開催されました。公式会合を希望したアメリカでしたが、中国が反対したため非公式会合になっています。

この会合で中国の張軍国連大使は「香港国家安全法制は内政問題であり、安保理の議題とは無関係。トラブルの原因はアメリカ」とし、アメリカの介入を批判しています。

一方で、アメリカのクラフト国連大使は「中国政府は香港の人々を押さえつけており、国際法に違反しているのを許す訳にはいかない」と主張し、各国の支持を求めたとされています。

中国は新聞でアメリカを批判

日本経済新聞のまとめによると、中国共産党の機関紙、人民日報(電子版)と、同じく共産党系の環球時報(電子版)で「アメリカの制裁は荒唐無稽」「アメリカが(制裁を)続けるなら、どこまででも受けて立つ」といった内容の記事が掲載されているとしています。

▼参考URL:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59797720Q0A530C2MM8000/

中国はアメリカに対して、報復措置を準備?

中国政府は新型コロナウイルスの感染源や香港国家安全法制を巡る問題でかねてからアメリカと対立していました。

中国の趙外務省報道官は、アメリカが内政問題に介入しようとする度に「対抗措置をとる」と主張しており、今回の一件を受けて何かしらの対抗策をとると見られます。

一方で、王毅外相は「両国で相違があるものの協力の余地はある」「新型コロナウイルスは中国とアメリカにとって共通の敵であり、これまでにアメリカへマスクを120億枚以上輸出している」と協力体制を強調しています。

アメリカに対する各国の反応

中国以外の反応を見てみましょう。

イギリスの反応

イギリスのジョンソン首相は29日にトランプ大統領と電話会談をし、緊密協力することで意見が一致しています。

イギリスは、中国が香港返還時に確認した共同声明を弱体化しようとしているとみており、香港を巡る対応はアメリカ寄りです。事実、イギリスは中国に対して国連の安全保障理事会を開催するように要求しています。

ドイツの反応

ドイツのメルケル首相は、2020年秋にアメリカで開催予定のG7への訪米出席を辞退すると表明しました。

名目上は新型コロナウイルス感染防止を理由にしていますが、アメリカと中国を巡る対立に反発したと見る向きもあります。

また、シュパーン保健相はWHO脱退を表明したアメリカに対して「残念で失望している」とコメントしています。

EU(ヨーロッパ連合)の反応

EUは中国への制裁を否定しています。

EUは29日に外相会議を実施し、中国政府が導入を決めた香港国家安全法制を「重大な懸念」と発表しました。


同時に、中国政府が国際的な義務を果たす意思があるのか疑問ともしており、中国政府の対応に批判的です。一方で、中国への制裁の考えはなく、会議のなかで制裁について言及したのは27ヶ国中1ヶ国のみだったとしました。

EUのボレル上級代表は、アメリカとは一線を画して気候変動や貿易などにおいて中国と協力するとコメントしています。また、アメリカがWHOから脱退することに対しては再考を促す考えとみられます。

まとめ

トランプ大統領は中国が香港国家安全法制を導入したことをきっかけに様々な攻撃材料を使って中国政府を批判しました。これまでよりも一歩踏み込んだ内容に違いありませんが、アメリカ国内には冷静な意見も見られます。

香港でアメリカ総領事を務めた経験があるカート・トンはNHKへの取材に対し、中国政府に打撃を与えるどころか、アメリカや香港のビジネスに悪影響を及ぼす可能性があると指摘しています。

記者会見では具体的に示されなかった対応策がどのような内容になるか引き続き注目する必要があります。日系企業への影響も避けられないことから、当面はアメリカと中国の動向にぜひ注視してください。

▼参考URL:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200530/k10012451441000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_022

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本記事は、2020年6月5日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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