いま、ストレスについて考えてみる。

新型コロナウィルスによる生活の変化で、私たちは今、多くのストレスを感じています。けれども、見方を変えれば、このような状況は「自分の心や体ときちんと向き合うチャンス」ととらえることもできるのではないでしょうか。ここで少し立ち止まり、改めてストレスについて考えてみませんか?


そもそも、ストレスとは何か。

ストレス(英語:stress)は、もともとは工学・物理学の言葉で、「物が歪んだ状態」のことです。その歪みをもたらす要因を「ストレッサー」といいます。

例えば、手で柔らかいボールを押すと歪みが生じますが、この歪みが「ストレス」で、歪みを生じさせた手の力が「ストレッサー」ということになります。
「ストレス」という言葉を医学用語として初めて使ったのは、生理学者ハンス・セリエ(1907~1982)です。

セリエ博士は、1936年に「ストレス学説」を発表し、ストレスは「生体が物理的・心理的な刺激を受けたときに現れる一連の反応」であり、その原因がストレッサーであると定義しました。

現在、私たちが日常的に使うストレスという言葉にはストレッサーも含まれ、一緒くたになっていますが、正確には、ストレスとはストレッサー(刺激)を受けて起こる体の反応・状態のことを指しています。

そのストレスを、どう捉える?

セリエ博士は1957年に来日し、全国各地で講演しています。このとき、初めて日本に「ストレス」という言葉がやってきたと言われています。

この講演で、博士は「ストレスとは人生のスパイスである」という興味深い言葉を残しています。これは、必ずしもストレスが悪いもの・失くさなければならないものではなく、むしろ、ストレスをスパイスのようにうまく調整して、人生を良い味にすることが大事だと言っているのではないでしょうか。

「ストレス」と聞くと、私たちはついそれが悪いものと考え、「ゼロにしてしまいたい!失くしたい!」と思ってしまいます。しかし、ストレスはストレッサー(刺激)を受けて起こる反応なので、実は良いことも悪いこともストレッサーになり得ます。私たちは、毎日生活するなかで常に刺激にさらされており、常に心身が反応しているわけですから、ストレスをゼロにすることはできないのです。

セリエ博士から始まったストレス研究は続き、ストレスが多いと死亡するリスクが高くなることが明らかにされていますが、近年では、それは「ストレスは健康に悪影響を与えるものだ」と認識している場合であるという研究もあります。ストレスをどう捉えるかによって、その影響も変化するということが徐々に明らかになっています。

つまり、ストレスをどのように捉え、過剰な負担にならないようにどのようにバランスをとるかが大事なのです。

まず、ストレスを感じている自分に気づく。

ストレスを悪いものとして考えてしまうと、「自分が弱いから、あるいは他人が悪いからストレスを感じるのだ」という思い込みや誤解が生じやすくなります。そのことがさらに頑張りを助長し、本人が気づかないうちにより多くのストレスを抱え込んで、心身が不調になってしまいます。そうならないためにも、「私はストレスを感じているな」と自分の状態を客観的に冷静に眺めることはとても大切なことです。

自分がストレスを感じていることに気づいたら、ストレッサー(原因)は何か、それによっ
てどんなストレス(反応)が起こっているのかを見つめ、感情は横に置き、ありのままを受け入れることが大事です。


ストレスを体に溜め込まないために

ストレス研究が進むにつれて、その対処法もさまざまなものが紹介されています。一つの例として、3Rという対処法があります。

3Rとは、「Rest」・「Relaxation」・「Recreation」です。

Rest(休憩)…睡眠などで十分に休む

2019年のOECD(経済協力開発機構)のデータによると、日本人の睡眠時間は世界でも最も短い水準にあるということが明らかになっています。より良い睡眠を得るために、寝る前のスマホをやめたり、ライトを暗くしたり、アロマを使ったり、ちょっとした工夫をすることをお勧めします。

Relaxation(リラクゼーション)…深呼吸、ストレッチ、入浴、瞑想などで緊張や不安を緩和する

呼吸は自律神経を自分でコントロールできる唯一の方法です。息を吐くと、副交感神経が優位になり、体の緊張もほぐれます。ぜひ、ため息はどんどんしてください。リラクゼーションのためにはとても良いです。

Recreation(リクリエーション)…趣味、娯楽、運動などで気分転換する

自分の好きな気晴らしを考えてみてください。好きな本を読んだり、音楽を聴いたりと、ちょっとした体操をしたり、なるべく毎日努力しなくても簡単にできるものがお勧めです。

この3Rを生活のなかに上手に取り入れ、うまくバランスをとりながら、ぜひストレスをスパイスにしてみてください。
そして、ストレスを感じている自分を見つめること、ストレスは捉え方で変わることを覚えていてくださいね。

▼参考URL:
https://ja.wikipedia.org/wiki/ハンス・セリエ
https://btu.co.jp/archives/4534
http://www.osaka-ganjun.jp/health/lifestyle/stress/more.html
https://luxe.nikkeibp.co.jp/atcl/column/121800798/?P=3

本記事は、2020年9月15日時点調査または公開された情報です。
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