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ヨーロッパの社会問題 - ジプシーについて

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目次

はじめに

ジプシーという言葉を聞いてどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。

スリ、泥棒、物乞い、麻薬の販売など、悪者の代名詞のように思われる方が多いのでは。現在では『ジプシー』という言葉は、蔑視、差別用語として捉えられることが多く、日本では放送禁止用語にもなっています。

現在ヨーロッパ各国に国籍を持たずに散在している彼らは、定住している者、移動している者を含めヨーロッパ人口比で0.79~1.25%程度と試算されています。

しかしながら、住所を持たずにトレーラーなどを利用して移動をしている彼らたちを管理監督することは困難で、独自のコミュニティーを持つ彼らの社会は、犯罪の温床になりやすくなっている現実にヨーロッパ各国は頭を悩ませています。現在は差別用語の観点から彼らをロマ二系の移動型民族ということで『ロマ』と呼ぶ傾向にあります。

ジプシーの起源

ジプシーは移動型民族とされ、北部インドを原郷としてヨーロッパを中心に移動しながら生活している少数民族を主に指します。

その後15世紀には西ヨーロッパ各地に分散してゆきました。彼らは肌が黒褐色で、髪は黒く、髭を伸ばし、顔つきはヨーロッパの人々と大きく異なっていたことから当時はとても驚かれたということです。

彼らは訪れた土地で麻薬の販売、窃盗などの犯罪やトラブル問題を起こすことも多く、行く土地土地で敬遠され追放されては違う土地に移動するという、放浪民族として暮らしていました。国によってはジプシーというだけで死刑にされたり、殺害されたり、というような迫害に遭ってきた歴史があります。

ジプシーの語源

フランスに到着した時に、「エジプトからきたエジプト人(Egyptian)」が訛ってジプシー(Gypsy)となったと言われています。但し、ジプシーとは英語の呼び名で、ドイツ語では『ツィゴネイル』、フランス語では『ジタン』、スペイン語では『ヒタノ』と、各国でその呼び名は変わります。これらの呼び名は彼らたちが自称しているものではなく、各国で彼らを呼ぶ外名として生まれたものです。

そのため、現在では北インドを中心とするロマ二系民族を起源とし、『ロマ』と呼ぶようになりました。但し、ロマ二系民族ではないと主張する民族もおり、統一された民族ではありません。ロマ二系の民族は『ロマ二―語』という文字を持たない言語を使用しています。

生活

元々は大きな馬車に家財道具を載せて移動しながら生活をしていた民族であり、国籍を持ちません。近代では国境管理も厳しくなり、パスポートなどを持たない彼らたちが国境を超えて移動することは難しくなってきました。700万から800万人ほどではないかと言われているロマですが、居住登録を持たない彼らの正確な人口を把握するのは困難な状況です。

現在、彼らの多くは定住型になっているものの、居住区ではない不法な場所に簡易的な家を建てて住んでいたり、キャンプ場(現代では馬車ではなくトレーラーで移動をしています。)に、トレーラーを停めて生活しているため、住所を定めることが出来ないのです。


下水道がないような不衛生な場所で生活していることが多く、健康問題も心配されますが、住所登録を持たない彼らは病院を利用することも出来ません。

ロマの子供

住民登録をしていない彼らは子供を学校に通学させていない事がほとんどです。子供を学校に行かせることは義務ですので、地方自治体ではロマの居住区を回り、子供を通学させるように説得する場合もありますが、ロマの子供は学校に行ってもいじめにあう事が多く、途中で学校に来なくなってしまいます。ロマ社会では、子供たちは盗みや物乞いをすることを親に強制されていたり、家庭内暴力に遭っていたりしても警察に通報することが許される環境にありません。

子供がロマ社会から抜け出したくても抜け出せない現実があるため悪循環に陥っているのです。

ロマの仕事

教育程度も高くない彼らは、どうしても定職に就くのは難しく、不熟練労働、単純労働というような仕事に従事していることが大半です。女性は専業主婦が多く、子供を連れてスリや盗み、物乞いをしている人を多く見ます。仕事のない男性は車の事故を装ってお金を巻き上げたり、車上荒らしをしたりします。そのため、どうしても人から嫌われ、差別される原因となってしまうのです。

※イタリアでは、妊婦は犯罪をしても投獄されないため、妊婦のスリが多くいます。電車やバスなどで妊婦が不要に近づいてきたら注意が必要です。

イギリスのロマ

イギリスではロマと呼ばれる民族と、アイルランド系の移動型民族『トラベラー』と2つに分かれます。アイルランド系のトラベラーは定住している割合が高く、ロマ系の民族はトレイラーなどで生活をして移動を繰り返しています。定住はしているものの、貧困な生活環境の下に暮らしているロマ/トラベラーのイメージは悪く、未だにイギリス住民と上手く生活してゆくのは難しいのが現実です。

まとめ

日本人にはあまり馴染のないロマですから、日本人はヨーロッパに旅行に出かけてもロマに対する警戒心が薄いため、被害に頻繁にあっています。以前は顔や着ている服をみたらロマであることが容易にわかりましたが、最近は差別しづらくなってきました。洋服も警戒されないようにきれいな服を着て電車やバスでスリをします。

親切に話しかけてきたら警戒しましょう。

イタリアではよく「靴を見ろ」と言います。きれいな服を着ていても汚い靴を履いていたら要注意という意味です。楽しいヨーロッパ旅行もスリなどにあったら台無しになりますのでロマには注意しましょう。

参考資料サイト

ロマ人(ロマ族)|ジプシーと軽蔑される人々の生活・歴史・特徴 | 世界雑学ノート (world-note.com)(外部サイト)

イギリス社会で今も残る差別「ジプシー」とは一体どんな人達?|イギリス英語を勉強する為の専門サイト ブリティッシュ英語.COM (britisheigo.com)(外部サイト)

図録▽ジプシーの人口分布 (sakura.ne.jp)(外部サイト)

本記事は、2022年6月6日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研編集部のMです!
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