わかる政治経済シリーズ 第8回

人権の流れ

人間が人間らしく生きていけるための権利である「人権」はどのように成立したのでしょうか? 本ページでは「人権の流れ」について解説します。


18世紀「自由権」の獲得

自由権とは、国家権力の違法、不当な介入や干渉を排除し、一人ひとりの自由を保証する権利のことです。

絶対王政が続いていた17から18世紀ヨーロッパで、市民階級が自由な経済活動を求めたことにより、権利獲得が進んでいきました。このことから「18世紀的人権」とも呼ばれます。

18世紀的人権は、「国家からの自由」を獲得するものでした。

イギリスにおける自由権獲得

自由権を最も早く獲得したのは、イギリスです。

マグナ=カルタ(大憲章)

1215年の「マグナ=カルタ(大憲章)」では、法と裁判によらずして拘束されない「人身の自由」を認めさせました。これは、専制政治を行っていたジョン王に対して、貴族が団結して獲得したものであるため、貴族の人権を擁護するものであり、多くの人々が当てはまらないものでした。

権利請願

1628年の「権利請願」では、議会の課税承認権と人身の自由が再確認されました。

「権利請願」は国王のチャールズ1世に対し、議会の同意なしの課税と不法逮捕などに反対して、議会が提出した文書です。この請願書は、法律家のエドワード=コークが起草しました。

しかし、国王は権利請願を裁可したにも関わらず無視したため、その後ピューリタン革命が起こります。

権利章典

1689年の「権利章典」は、名誉革命の成果を確認したものです。国王が議会の同意なしに法律を停止したり課税を行うことや、残虐な刑罰を科すことを禁じました。

アメリカにおける自由権獲得

アメリカでは1776年の「アメリカ独立宣言」で、イギリスの植民地支配からの自由を獲得しています。この「独立宣言」はアメリカ独立戦争期の指導者であり、後に第3代アメリカ大統領になるトマス=ジェファソンが起草しました。

独立宣言は、ロックの政治思想を継承しており、自然権、社会契約論、国民主権、抵抗権が説かれ、後世に大きな影響を与えています。


フランスにおける自由権獲得

フランスでは、1789年の「フランス人権宣言」で自由権が獲得されます。これは、18世紀までの人権思想の集大成となっており、人権思想の模範として各国に影響を与えました。

フランスの啓蒙思想家で人民主権論を展開したルソーの影響もみられ、基本的人権の不可侵性と、その尊重を宣言したものとなっています。

19世紀「参政権」の獲得

「参政権」とは、国民が政治に参加するための権利です。国民が国家権力に参加する能動的な性質を持つことから、自由権などと区別されています。

人々が参政権を求めた背景には、19世紀の経済活動の自由と社会的不平等があります。このことから「19世紀的人権」とも呼ばれます。

19世紀的人権は、「国家への自由」を獲得するものでした。

参政権が生まれた背景

17世紀から18世紀にかけてヨーロッパで市民革命が起こり、経済活動の自由化が進みました。さらに18世紀後期になるとイギリスで産業革命が起こり、資本主義経済が拡大していきます。その結果、資本家と労働者の二大階級が成立しました。

資本家と労働者の契約は、当事者の合意によって自由に決められる「契約自由の原則」によって決められたため、雇用される側の労働者の方が立場が弱く、社会的不平等が起こりました。

形式的には自由平等であるはずが、実質的には格差が拡大する不平等な状態であったため、実質的な自由平等を求める労働運動、そして普通選挙運動が広がっていきます。

参政権はどのようにして獲得された?

近代初期の選挙制度は制限選挙であり、教養と財産を持った名望家に限って選挙権・被選挙権が与えられていました。産業革命以降、政治意識を持つようになった労働者たちが、自分たちの政治参加を要求するようになり、普通選挙運動が拡大していきました。

1837年から1848年にかけて、イギリスで男性の普通選挙を求めるチャーチスト運動が起きます。これは、労働者の最初の政治闘争です。このような運動を経て、女性の普通選挙運動も高まり、やがて成年者すべてに選挙権・被選挙権を与える「普通選挙制」が確立していきます。

具体的には、1848年にフランスで起きた二月革命により、世界初の男子普通選挙が実施され、1893年にニュージーランドで初めて女性が普通選挙権を獲得しました。そして、1919年ドイツではワイマール憲法により、初の男女が平等の普通選挙権を与えられました。

19世紀の半ばから先進資本主義国で参政権が拡大されはじめ、20世紀はじめに主要な国で普通選挙制が実現されたのです。
日本では1925年の普通選挙法によって、男性の普通選挙制が成立し、戦後完全な男女普通選挙制となりました。

20世紀「社会権」の獲得

社会権とは、国家が国民の生活を保障する責任を負うという福祉国家の理念にもとづき、社会的弱者が実質的平等の保障を国家に要求する権利のことです。

20世紀に入り、資本主義の矛盾の激化と、労働運動や社会運動の発展を背景に成立した権利であり、「20世紀的人権」とも呼ばれます。

20世紀的人権は、「国家による自由」を獲得するものでした。


ワイマール憲法における「社会権」

1919年にドイツのワイマールで制定されたドイツ共和国憲法、通称「ワイマール憲法」は、社会権を最初に規定した憲法です。

資本主義の枠内で社会的不平等を是正しようとしたものであり、20世紀の憲法に大きな影響を与えました。

まとめ

以上「人権の流れ」について解説させていただきました。

本記事は、2022年6月5日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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