はじめに
生活が便利になればなるほど、どこかにその歪がやってくるものです。
特にコンビニの登場は私たちの生活を格段に便利にしました。24時間いつでも物が買え、お腹がすいてコンビニに行けば簡単に食べられるものが棚に並びます。外食の回数も増え、チェーン店のレストランが並び、値段もどんどん低下して入りやすくなりました。
コストカットの反動は食品の質の低下、それを補うための食品添加物、保存期間を延ばすために更に食品添加物が使用され、現在日本の食品添加物の認可数は年々増加しているのが現状です。
日本の食品添加物区分
日本の添加物は4つに区分することができます。
指定添加物 (454品目 2021年1月15日現在)
厚生省による認可が必要になる添加物です。
既存添加物 (365品目 2021年1月15日現在)
日本において広く使用されており、長い食経験があるものは、例外的に指定をうけずに使用または販売等が認められている添加物です。
天然香料
動植物から得られる天然の物質で、食品の香りづけの目的で使用されるものです。
例:バニラ香料、カニ香料など
一般飲食添加物
一般に飲食で供されているもので、添加物として使用されるものです。
例:イチゴジュース、ミカンジュース、寒天など
*日本の添加物検査では3匹のラット検査が多く行われています。果たして3匹のラット検査が人に使われる食品添加物の安全性評価として適格かどうか疑問のあるところです。
日本の食品添加物は海外に比べて多いのか
日本の添加物の数と他国の添加物の数を比べて多いとか少ないとかという議論はあまり意味をなしません。なぜならば基礎となる基準が違うからです。例えば日本では1品として登録が可能なものが他の国では成分を更に細かく分析をして多くの品目で登録をしなければいけないようなことが起こるため必然的にその数は多くなります。
例えばアメリカでは食品に直接添加されるものを『直接食品添加物』とし、食品を梱包する梱包材に添加されるものを『間接食品添加物』として登録をしなければいけないという決まりがあります。各国その国独自の規律により登録義務が発生するために、登録数だけで比較することは意味がありません。
海外で禁止されて日本で使用されている食品添加物
それでは、全く同じ食品添加物であるのに、海外では人体に害を及ぼす可能性があるということで禁止されているにも関わらず日本では現在でも使用が許可されている食品添加物に注目してみましょう。
タール色素/合成着色料として使用
主に主原料は石油を精製する過程で得られるものです。現在タール系色素は発がん性が指摘されているため、アメリカをはじめとする多くの国で使用が禁止または制限されて始めていますが、残念ながら日本では発がん性の指摘には当たらないということで、未だに食品合成着色料として使用が許可されています。
諸外国で禁止され、日本で使用されているタール系色素一覧
赤色2 号・赤色3 号・赤色102 号・赤色104 号・赤色105 号・赤色106 号、黄色4 号・黄色5 号、緑色3 号、青色1 号・青色2 号
※諸外国では黄色4号はジンマシンなどのアレルギーや喘息の原因物質としてあげられているほか、青少年がキレる原因となる情緒不安定を引き起こすとも言われています。
臭素酸カリウム
小麦粉処理剤として日本では食パンの製造において使用されており、発がん性が確認されているため海外で使用を禁止している国が出ています。
二酸化チタン
ホワイトチョコレート、チューインガムなどの着色料として使用されています。発がん性および発達障害が危惧されているものです。
ナイシン
EUではチーズや乳製品のみ限定して使用が許可されていますが、日本では、ソース、食肉製品、ドレッシング、マヨネーズなどに多く使用されています。本来は抗生物質として使われる薬品のため、食事で常時摂取すると体内において耐性菌が発生すると危惧されています。
その他海外で禁止されているもの
トランス脂肪酸
肥満の原因とされているトランス脂肪酸ですが、肥満だけではなく、心筋梗塞、心臓発作、狭心症といった重大な健康被害が危惧されています。
アメリカ、EUではトランス脂肪酸が含まれている食品の販売が禁止されています。
トランス脂肪酸は100年にもおよび使用されてきた加工食品には欠かせないものでしたが、アメリカでも2015年に決定の後2018年6月18日までにアメリカ全土で使用を禁止するよう通達されました。アメリカのマクドナルドでもポテトフライなどに使われていましたが現在は全面使用禁止になったものの、日本では使用が禁止されていないため、マクドナルドでは未だ使用を継続しているような状況です。
ホルモン剤投与の牛肉
EUでは牛に『肥育ホルモン』を投与し、成長を促進させた牛肉の輸入を1989年に禁止しました。しかしながら日本とアメリカの牛肉問題にもあるように、アメリカから多くの牛肉を輸入している日本は、EUのように肥育ホルモンを禁止するとアメリカの牛肉を輸入できなくなるため禁止にできないのです。
オーガニック社会に向かって
ヨーロッパはオーガニック先進国と呼ばれるほど、オーガニックの製品の普及が急速に増加しています。日本やアメリカに至っては、『危険性が明確になるまで使い続けよう』とする姿勢があり、ヨーロッパでは『危険性が疑われるのであれば安全性が明確になるまで使用はやめましょう』とする姿勢です。
そのためヨーロッパでは認可されている添加物であっても、極力添加物のないものを購入しようとする消費者が多いところが一番の違いです。食品に添加物を使用するために、販売が伸びない、だから生産しない。というような形が出来つつあります。
今後の日本のオーガニック生産の行方
グローバル・オーガニック・トレード・ガイドによれば2024年までの有機農産物の上昇予測は日本0.2%、フランス8.6%、イギリス3.3%、カナダ6.1%、中国10.2%、アメリカ4.9%と諸外国に比べて日本の伸び率は明らかに低い予測になっています。
日本の場合は他国に比べて農耕地が少ないため、安定的かつ効率的に農作物を作るという点から有機農業は受け入れが困難になっているという問題点があります。
消費者の増加が困難
消費者が増えれば生産者が増えますが、日本の場合は生産量が増加しなければ価格は下がりません。そのため、有機栽培の商品はどうしても生産性が高くないため、価格競争力がなく、なかなか消費者を増やすことができないという問題点があげられます。
まとめ
誰でも安全なものを口にしたいはずです。国が認可している食品添加物だから安全とおもって口にする前に、原料表示を注して見る習慣をつけ、安全なものを自分で選択する習慣をつけましょう。また、消費者が増えない限り有機栽培の値段は下がりません。政府が有機栽培に対してなんらかの補助金政策を出さない限り、日本の有機栽培の成長は難しそうです。
今回の内容の参考・関連にしたサイト
食品添加物Q&A | 日本食品添加物協会 (jafaa.or.jp)(外部サイト)
食品添加物 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)(外部サイト)
食の安全先進国フランスで禁止、でも日本では食べられる食品の数々|NEWSポストセブン (news-postseven.com)(外部サイト)
Home | Global Organic Trade Guide(外部サイト)
タール色素(合成着色料)|避けた方がよい添加物 (whitefood.co.jp)(外部サイト)
海外で禁止・規制されている添加物が出回り年々増え続ける日本の食品添加物事情。一番怖いのは海外と日本の”規制のズレ”?! (macrobiotic-daisuki.jp)(外部サイト)
コメント
コメント一覧 (31件)
海外で禁止されて日本で使用されている食品添加物がよくわかりました。何に使われているかも明記されていたので、これから買い物の際には確認しようと思いました。
食品添加物は、言わずもがなできる限りは避けたいと思っています。しかしながら日本の環境的に、有機栽培の増加の難しさも理解できます。出来うる限りでは、地元農家さんが生産した有機栽培野菜などを購入したいと思います。
食品添加物は身体に良くないと耳にすることがあっても、どう良くないのか、何が良くないのかがいまいち分かっていませんでしたが、この記事では種類や特徴が分かりやすくまとめられていました。
いつも気になっていた添加物についてよく知ることができた。日本の添加物問題は今後も課題だなと思った。また、子供に与える食べ物は成分表などを良くチェックしようと思った。
海外で禁止されているのに日本では使用されている食品添加物に関しては、ずいぶん前に聞いたことがあり気になっていました。
色素に関しては知っていましたが、それ以外は今回、初めて知りました。
その添加物によりどんな症状が出る可能性があるのかというのも今回、初めて知りました。
添加物があるものほど値段が安くて、どうしても買ってしまう事がありますが、今後は自分で気を付けて行かないとならないと思うし、自分たちが危険性を知る事で、今の日本の添加物について変えていかなければならないのかなと記事を読んで思いました。
食品添加物は、気にしてはいるが、子供達は映え商品が好きだったりするので…そういったものは自然な食品の色では無いし、きっと身体には良くないんだろうなというのを感じていた。毎日食べるわけではないが、量を控えさせたいと思う。
今現在のこの世の中、とても便利な世の中になってはいますが、健康面を考えるとあまり良いものではないということを知ることが出来ました。便利な面を生かしながらも健康には気を付けて食生活を送っていきたいです。
子供もおりますので、『食の安全』は非常に興味深いテーマでした。タール系色素やトランス脂肪酸など、身近に思い当たる例もあり、怖いな、と感じました。
非常に身近かつ重要なテーマだと感じた。超高齢化社会において、健康寿命を延ばし医療費を減らすためにももっと広く必要な知識だと思う。
私は日本は、海外に比べて許可されている食品添加物が多いと知っていました。
しかしその中でとってはいけない添加物としてトランス脂肪酸が一つに挙げられていましたが、
かなりいろいろな食品の中にはいっていたと思います。
ダイエットしていたこともあり、成分表見るのが癖になったので今後食品を選ぶ際に糖質や、脂質と合わせて気を付けたい部分が増えて知れてよかったです。
昨今は日本社会にも食の自然派志向が少しずつ広まっている気がするので、添加物について日本と世界の違いが知れて良かった。もっと踏み込んで、それぞれの添加物を摂取した際の健康被害についても知れると良いなと感じた。
日本の食品添加物事情は海外より規制が厳しいと思っていたが、単純比較できないものの
海外で禁止されていても日本で使用されているものが、身近な食材・加工品・お菓子に
使われていることが分かりやすくまとめられていました。
添加物への体への影響はすぐに出るものではなく、蓄積されるものだと思うので、
普段からどんなものが使用されているのか確認する癖を改めて身に着けたいと思いました。
有機栽培については、日ごろからなるべく消費するようにしていますが、価格が高いため、
諦めてしまうことがあります。手間がかかるから高いのだろうと思っていましたが、
それ以上に安定的で効率的な供給という観点から課題があるというのは納得しました。
輸入品については輸入の段階でも防腐剤などがさらに添加されることもあると思うので、
特に生鮮食品の国産品と輸入品の安全性の違いをもっと知りたいと思いました。
一昔前子どもと一緒に、食用色素を使って色水遊びをしたり、寒天遊びをしたりしていたのは危険な行為だったのかと思い知らされました。食品添加物、薬剤など世界統一基準ができないのは何故なのかと思います。
食料危機、食品添加物に関してのコラムでしたが、今まさに直面している危機だと思います。何を食べたらよいのか食べるものかなくなってきていると感じました。
添加物の数や種類について、海外ではどのようなものが禁止されているかなど、日ごろあまりこれらのことを気にかけない方にもわかりやすくまとめてあったので読みやすかったです。
食品添加物が身体にどういう影響をもたらすのかもっと知りたいと思いました。普段、手軽に済ませられる食事が多いので添加物に頼り切ってるので不安です。害の少ない添加物や、体から出す方法など健康情報もあると良いなと思いました。
食品添加物についてあまり考えたことはなかったのですが、記事を読んで、海外では禁止されているのに日本はOKという考え方がちょっと理解できなかった。いろいろ摂取してしまって今更だが、大丈夫なのか不安になりました。
普段、食べているホワイトチョコレートやガムの中にも発がん性物質が含まれていることを初めて知り、食品の成分表を詳しく見らずに買っていることを後悔しました。オーガニック食品は安価とはいえませんが、より流通して価格が安くなることを願い、できる範囲で選んでいきたいと思いました。
食品添加物に興味があるので気になる記事であった。危険と言われている食品添加物一覧、使っているメーカーや食べ物などが詳しく載っていればなお良かった。
海外では禁止されているが日本では許可されている添加物について、どのような食品に使われているかも踏まえて知ることができて良かったです。ただ、不安になってしまったので、なぜ日本では認められているのかや、日本がそれらを認めた判断基準など詳しく知りたくなりました。
普段から、食べ物飲み物の裏面の成分表示を見ながら買い物をし購入して飲食しているので、非常に興味深い記事でした。わりと知っていましたが、所々知識不足の部分もあり、知ることが出来て良かったです。
日本は食品添加物の使用に厳しいと思っていましたが、「海外では禁止されているにも関わらず、日本では使用が許可されている」ものがあると知り驚きました。この事実をもっと広く知らしめて欲しいと思いました。
日本と海外の違いというか、どういうことで判断をしているのか、ということがわかったのはよかった。日本の食品添加物は海外に比べて多いのか、でそもそもその比較に意味はないってのはよかった。
日本と海外の違いで驚いた。特に、アメリカで禁止されている添加物が日本では使用されているのはとても意外だった。今後の貿易や食のことを考えると、1人1人が食への意識をしていくべきだと思った。
アメリカのお菓子などを見ると、着色料がたくさん使用されているようなイメージだが、食品添加物への危険性に対する対応はアメリカの方が厳しくて、日本の方が緩いということを知って驚いた。
海外との比較がされており非常に分かりやすかった。現状の日本での添加物の使用状況海外で禁止なのに日本では可能な添加物など細かくまとめられていて分かりやすかった。
こちらの記事を読むまでは、日本では使用されていても海外では禁止されている添加物がたくさんある事は知りませんでした。
子供にも食べさせていたので
今後気をつけないとと思いました。
添加物の区分や、国内認可の有無がわかりやすく分類されていた。
食品業務に携わっていない人にもわかりやすく、URLも張られていた為プロにも使える情報だった
元々あまり気にしていなかったのですが、近頃コンビニのお弁当やインスタント食品などを利用するようになり、添加物について気になっていたため勉強になりました。
日本の食品添加物が多いのは知っていたが、外国では禁止されているものも使用されているとは知らなかった。また、添加物ごとに引き起こされる問題も書いてありよかった。妊活中のためこれを参考により気をつけようと感じた。
今まで食品添加物について、特に意識して来なかったのですが、とても怖いものに感じました。
海外と日本でこんなにも基準が違うのかと驚きです。
海外では人体に害を及ぼすと危険視されているのに、なぜ日本では許可されているのか不思議です。