わかる政治経済シリーズ 第41回

日本の国会、「国会審議活性化法」について



日本の立法システム国会シリーズ第6回目は、「国会審議活性化法」について説明します。

「国会審議活性化法」とは?

「国会審議活性化法」とは「国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律」の通称です。以下からは「国会審議活性化法」に統一します。

「国会審議活性化法」は「国家基本政策委員会」の設置および「政府委員制度」の廃止と、「副大臣」・「大臣政務官」の設置について規定している日本の法律です。

「国会」における審議を活性化するとともに、国の行政機関における政治主導の政策決定システムを確立することを目的として1999年(平成11年)7月に成立しました。

以下で、「国会審議活性化法」について理解する上で押さえておきたい4つのポイントについて説明していきます。

「国会審議活性化法」のポイントその1「政府委員制度」の廃止

「国会審議活性化法」では「政府委員制度」が廃止されました。

「政府委員制度」とは、「国会」において各省庁の職員(官僚)が「国務大臣」の答弁の補佐や代理をする制度のことです。

「国会」とは本来、国民の代表者である「議員」が答弁するはずの場です。しかし、それにもかかわらず選挙で選ばれたわけではない「官僚」が実質的に中心となって審議や質疑を行ってしまっているという状況になり、「国会審議」が形骸化しているのではないかという批判が起こりました。

そのため、「官僚」ではなく「議員」同士の討論を「国会審議」の中心とすることを目指して、1999年より「政府委員制度」を廃止することとなりました。

「国会審議活性化法」のポイントその2「参考人」としてのみ官僚の答弁を認める

ポイント1で「政府委員制度」が廃止されたと説明しましたが、「官僚」による答弁そのものが完全になくなったわけではありません。

「官僚」の「政府委員」としての答弁はなくなりましたが、「政府特別補佐人」の制度が設けられたほか、技術的・専門的分野に限り必要に応じて「政府参考人」として「本会議」または「委員会」に出席し、答弁を行うことができることになっています。


ただし、「国会審議活性化法」下の体制での「官僚」の答弁はあくまで「参考人」としてのものであり、これまでの「国務大臣」の代理である「政府委員」としての答弁とは位置づけが異なるものになります。

「国会審議活性化法」のポイントその3「クエスチョンタイム」導入

「国会審議活性化法」では2000(平成12)年に新しく「クエスチョンタイム」を導入しました。「党首討論」と呼ばれることもあります。

「クエスチョンタイム」(頭文字をとって「QT」と表記されることもあります)とは「国会」で「内閣総理大臣」と「野党」の党首が討論を行う制度のことです。イギリスの制度に倣って作られました。

「クエスチョンタイム」は原則的に会期中に週一回、「衆議院」「参議院」両院の「国家基本政策委員会」の「合同審査会」として行われます。この制度は政治家同士の討論を盛んにするために導入されました。

「国会審議活性化法」のポイントその4「政務次官」の廃止、副大臣・大臣政務官の設置

1999(平成11)年に「国会審議活性化法」が成立し、その後2001(平成13)年に「中央省庁再編」が行われたことにより、「政務次官」は廃止され、その代わりに「副大臣」「大臣政務官」が設置されました。

「政務次官」とは各省庁に置かれ、その機関の長である大臣を補佐することを職務としていて、「国会議員」の中から任命されていました。「政務次官」は「大臣」と比べて権限が弱く、「官僚」のトップである「事務次官」が強い力を持っているのに対して「政務次官」は役割が不明確な存在になっていました。

そこで、2001年の「中央省庁再編」時に「政務次官」は廃止され、「副大臣」「大臣政務官」が設置されることになりました。「副大臣」「大臣政務官」は「政務次官」と同じように慣例的に「国会議員」が任命されます。

「副大臣」は各省庁の政策全般について大臣を補佐し、「大臣政務官」は特定の分野について大臣を補佐します。「副大臣」は大臣の不在時に大臣の代理を行うこともできます。

このようにして「官僚」主導の政策ではなく「政治」主導の政策決定を行えるように「国会審議活性化法」で様々な制度が整えられています。

まとめ

以上、日本の立法システム国会シリーズ第6回目、「国会審議活性化法」について説明しました。

本記事は、2024年2月4日時点調査または公開された情報です。
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