わかる政治経済シリーズ 第46回

内閣の職務・権能・権限「内閣の職務」



内閣の職務・権能・権限シリーズ第1回目は、「内閣の職務」について説明します。

「内閣」の職務とは?

日本の「行政」を担う機関である「内閣」には様々な職務があります。

今回は以下で、「内閣」の職務を7つ紹介します。

「内閣」の職務その1 法律の執行

「内閣」の職務のひとつ目は「法律の執行」です。

「法律の執行」とは、「国会」が定めた「法律」の内容を実際に実現することです。

「法律」の内容を審議し、制定するのは「国会」の仕事ですが、その内容に基づいて経済や福祉などの実際の政治を執り行うのは「内閣」の職務です。

憲法73条に「法律を誠実に執行し、国務を総理すること。」とある通り、「内閣」は「国会」が定めた「法律」を誠実に守り、「法律」にしたがって国政を行うことになっています。

「内閣」の職務その2 外交関係の処理

「内閣」の職務の2つ目は外交関係の処理です。

「内閣」は国を代表して国家間の交渉を行い、経済や安全保障など様々な場面で外国との関係を調整しています。

「内閣」の職務その3 「条約」の締結

「内閣」の職務の3つめは「条約」の締結です。

「条約」とは、国と国の間で文書によって交わされる合意のことです。「条約」を結ぶことを「締結」といいます。


「内閣」は「条約」を締結する権利(「締結権」)を持っています。ただし、「条約」を締結するためには、事前か事後に「国会」の承認を得る必要があります。

これは、「条約」は「法律」より優位であると解釈されており、もし「条約」と「法律」の内容が矛盾している場合「条約」が優先されることになるため、法律制定機関である「国会」ともかかわりがあるためです。

「内閣」の職務その4 官吏に関する事務の掌理

「内閣」の職務の4つ目は官吏に関する事務の掌理です。

官吏とは「国家公務員」のことを指します。

「国家公務員法」に基づいて「国家公務員」に関する事務をとりまとめることも「内閣」の職務のひとつです。

「内閣」の職務その5 「予算案」の作成

「内閣」の職務の5つ目は「予算案」の作成です。

「予算案」を発案する権利は「内閣」だけが持ちます。各省庁の予算見積書をもとに「財務省」が予算原案を作成し、「閣議」で決定後、「国会」に「予算案」を提出します。

提出された「予算案」は「国会」で審議し、議決されます。

「内閣」の職務その6 「政令」の制定

「内閣」の職務の6つ目は「政令」の制定です。

「政令」とは、憲法や法律を実施するために「内閣」で制定される「命令」です。「施行令」とも呼ばれます。「政令」は制定・執行の責任の所在を明らかにするため、すべて主任の「国務大臣」が署名し、「内閣総理大臣」が連署します。

「政令」は「命令」の一種なので法的な拘束力を持ちますが、「法律」の委任がある場合を除いて「罰則」を設けることはできません。これはあくまで「立法権」は「国会」にあり、「罰則」を制定することができるのは「国会」だけであるためです。

「内閣」の職務その7 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権の決定

「内閣」の職務の7つ目は、大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権の決定です。

「大赦」とは国家や皇室にめでたいことがあったときに一定の罪について刑を許すことです。「特赦」は特定の者に対して刑を免除することです。これらをまとめて「恩赦」と呼びます。

「内閣」はこのように「行政権」によって、刑を免除したり軽減する権限を持っています。

まとめ

以上、内閣の職務・権能・権限シリーズ第1回目、「内閣の職務」について説明しました。


本記事は、2024年2月14日時点調査または公開された情報です。
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