10年間で約10倍になった75歳以上の自動車免許「自主返納件数
2011年から2020年にかけて、75歳以上の自動車免許の自主返納件数は10倍以上に増加しました。2011年にはわずか3万件だった自主返納件数は、2020年には約30万件まで増加しました。
最も社会的な影響が大きかったのは、2019年に東京都・池袋で発生した母子が巻き込まれた高齢ドライバーによる事故です。この年、75歳以上の免許返納者は35万件に上り、高齢者自身にも事故を起こさないようにしようという動きが広がりました。
免許返納数・返納率の推移

自主返納の制度化は1998年に確立
実は、自動車免許の自主返納制度は、1998年(平成10年)には既に制度化されていた古い制度です。しかし、制度化された当初は使いにくい制度だったため、あまり普及しなかったということです。
2009年(平成21年)からは、75歳以上を対象とした、免許更新のための「認知機能検査」が始まりました。検査をすることで、認知機能の低下に自覚を持ち、免許返納するという動きにつながっていったようです。
交通事故の件数は減少傾向
2011年から2020年の10年間にかけて、交通事故件数と、交通事故による死亡者数は減少傾向にあります。2011年には年間約69万件だった交通事故は、2020年には30万件程度に減少しています。

高齢者事故数は世界一
しかし、交通事故の全体の件数が減少しているものの、高齢者による事故件数は横ばいか、やや減少の状態が続いているのが日本の状況です。
世界的にみても、運転中や歩行中に高齢者が事故に巻き込まれる割合がトップクラスなのが日本の特徴だということです。

▼参考URL
警視庁|防ごう!高齢者の交通事故!
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/koreisha/koreijiko.html(外部サイト)
ベストカーWEB|日本の高齢者事故数は世界一!!? データで見る世界の交通事故事情
https://bestcarweb.jp/feature/column/355344(外部サイト)
全国の免許返納の特典は?各地での取り組みを教習所協会が紹介
全国では、このような状況を受けて、自分の運転に危険を感じたら、いち早く免許を返納してもらうきっかけとして、返納した方に「特典」を用意するなどの取り組みを用意しています。
一般社団法人全日本指定自動車教習所協会連合会のホームページでは全国の都道府県警の、免許の自主返納についてまとめたWEBページを一覧にし紹介しています。
免許を返納する必要は感じながらも、生活の足としてなかなか手放せないという方もいる免許ですが、返納後に公共交通機関で優遇があるなど、返納後の生活を支えるような特典の提案がある地域もあります。
ご自分の地域やご家族の住む地域ではどのような特典が受けられるのか、一度調べてみてはいかがでしょうか。
▼参考URL:高齢運転者支援サイト|運転免許証の自主返納をお考えの方へ 〜各種特典のご案内〜(外部サイト)
まとめ
このページでは、過去10年間の75歳以上の高齢ドライバーによる自動車免許の自主返納件数が、10倍ほどに増加していることをご紹介しました。
東京・池袋で高齢ドライバーによる悲しい事故が発生した後には、年間35万人もの返納者がいましたが、翌年にはまた30万人程度に減少するなど、返納を考える人がなかなか一定数続かないという課題もあるようです。
悲しい事故が繰り返されないように、少しでも不安のある人の免許返納が進むことが求められています。
本記事は、2022年6月19日時点調査または公開された情報です。
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