はじめに
2019年のラグビーワールドカップでイングランドチームのユニフォームに赤い薔薇の花がデザインされていたのを記憶している人も多いと思います。
赤い薔薇はイングランドの国花として採用されています。どうして赤い薔薇の花がイングランドの国花となったのかその由来をご説明します。
ちなみに日本のユニフォームには桜の花がデザインされていますが、日本には国花に指定されている花はありません。
イギリスとイングランドの違い
まずは、イギリスとイングランドの違いについてご説明します。
日本のいうイギリス
イギリスと一般的に日本で言う場合は『グレートブリテン及び北アイルランド連合王国』(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland 略称:UK)のことを指します。
以前はそれぞれの国に王様がいてその地域を治めていました。現在はエリザベス女王2世が4つの国を一人で治めています。
イギリスの第一王位継承権を持つものがウェールズ王を名乗ることとなっていますので、現在はチャールズ皇太子がウェールズ王(Prince of Wales)の称号を受けています。
参考:グレートブリテン及び北アイルランド連合王国に含まれる4つの国
- イングランド
- ウェールズ
- スコットランド
- 北アイルランド
イングランドとは?
「イングリッシュ」といった場合は一般的にイングランドを意味します。ウェールズの人は「ウェルシュ」、スコットランドの人は「スコティッシュ」、アイルランドの人は「アイリッシュ」と呼ばれます。4つの国全域を示すことばとしては「ブリティッシュ」が使用されます。
4つの国はそれぞれ国旗を有しています。その国旗を一つのデザインにまとめたものが現在良く見かけるイギリスの国旗です。
各国の国花
- イングランド:赤い薔薇
- ウェールズ:ラッパ水仙
- スコットランド:アザミ
- 北アイルランド:シャムロック(クローバーのように葉っぱが3つに分かれているもの。キリスト教の三位一体を象徴しています。)
イングランドの『赤い薔薇』の由来
イングランドの国花である薔薇の由来はイギリスの内乱である薔薇戦争(1455年~1487年)に由来します。フランスとの百年戦争(1337年~1453年)が敗戦に終わり、その後イギリス国内で中世封建諸侯による内乱が勃発しました。プランタジネット家の男系であるランカスター家とヨーク家が敗戦後その権力闘争を約30年にも渡り繰り広げたのが薔薇戦争です。
なぜ薔薇戦争と呼ばれるのでしょう。それはヨーク家のシンボルが『白い薔薇』で、ランカスター家のシンボルが『赤い薔薇』だったからです。
30年続いた薔薇戦争はランカスター家側で戦っていたヘンリー6世の勝利で終焉することとなりました。
ヘンリー7世はヨーク家の王位継承権を有していたエリザベス・オブ・ヨーク女王と結婚し、テューダー朝を開きます。
テューダー朝の新しいシンボル「テューダー・ローズ」がイングランドの国花の基礎に
テューダー朝の新しいシンボルは、ランカスター家のシンボルである『赤い薔薇』とヨーク家のシンボルである『白い薔薇』とを組み合わせた、赤白の薔薇『テューダー・ローズ』が新たなシンボルとされました。これがイングランドの国花の基礎となったのです。
イングランドの国花は『赤い薔薇』になったのはなぜ?
それではどうしてその後イングランドのシンボルが『赤い薔薇』になったのでしょうか。
それはテューダー・ローズの白と赤を彩った薔薇が実際に存在しなかったからです。
そのため、その後ランカスター家のシンボルであった『赤い薔薇』がイングランドの国花となりました。
参考:日本を代表する花
日本の国花として登録されているものはありませんが、日本の国章に準じた扱いを受けているのは『菊』です。
パスポートの表紙に菊紋があしらわれていることからお気づきの方も多いと思います。もともと菊紋は天皇の紋章であり、特に天皇家の家紋として使用しされているのが『十六八重表菊』です。
『十六葉八重表菊』は天皇の家紋のため、この御紋の菊に少しアレンジを加えた図案が日本の国章として使用されています。日本国パスポートの菊紋は『十六葉一重表菊』です。
また、その他にも天皇家の家紋として使用され、その後幕府の足利氏、足利義昭、織田信長、豊臣秀吉、山内一豊、山内氏、山内豊範、稲垣退助と下賜された桐花紋があります。
それは、現在内閣総理大臣および内閣に準じる機関が日本の副国章として使用しています。桐花紋は三本の直立する花序と三枚の葉から構成されているものが基本的な図案です。日本憲法下の政府が現在使用している桐紋は、花序につく花の数が5-7-5の五三桐の図案です。
まとめ
日本の国章として菊や桐の紋章を使用していますが、菊や桐は外国では知名度が低く、日本を象徴していないという意見もあります。そのため、2018年2月21日より、外国人の入国審査時にパスポートに添付する証印シールの図柄を「桐」から「桜と富士山」に変更しています。
中国に代表される龍の図案も明や清時代において、5本の爪をもつ龍の図案は皇帝だけが使用することが出来るものでした。龍は中国から日本や韓国に伝えられたため、日本や韓国では中国の皇帝に敬意を払い3本や4本の爪を描くようになったとされています。
国ごとにいろいろなストーリーがあるのは興味深いものです。
参考資料サイト
あの国のお花を知ろう!~ヨーロッパ15ヶ国編~ | LOVEGREEN(ラブグリーン)(外部サイト)
意外と知らない龍(竜)の爪の意味、ほんとうは何本? – 中国ビジネス支援のミツトミ株式会社 (mitsutomi.jp)(外部サイト)
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