イギリス生まれの議院内閣制
議院内閣制は、18世紀のイギリスで誕生した政治制度の一つで、議会と内閣の権力分立を徹底せず、相互干渉や協調を通じて国政を運営していく制度です。
イギリスの議会は上院と下院の二院制です。上院は貴族院と呼ばれ、世襲貴族、イングランド国教会の高位聖職者と任命された終身議員で構成されていて、解散はありません。上院の主な仕事は下院の立法審査で、下院に対して弱い権限しか持っていません。
下院議員は庶民院と呼ばれていて、国民から直接選挙で選ばれます。民意と直結するイギリスの下院は、名前こそ庶民となっていますが、1911年に制定された議会法、「庶民院の優越」によって、貴族院よりも強い権力を持っています。
庶民院の優越とは、国民の代表で構成される下院の意思を議会の意思として尊重し、法的に保障するもので、法律案の議決や予算の議決など、上院と下院の議決が一致しない場合、下院の決定が優先することを保障する原則です。
日本がお手本にしたイギリス議会
日本は近代化の過程でイギリスの政治体制をお手本にしたため、日本の議会もイギリスと同じ議院内閣制を採用し、衆議院と参議院で構成される二院制をとっています。両国とも国民投票で国会議員を選挙し、イギリスでは下院、日本では衆議院の多数派が内閣を構成するという仕組みです。
また両国とも内閣のリーダーである首相は、議会から選ばれ、議会による内閣不信任案や、内閣による議会の解散権など、議会と内閣は相互に干渉することができる点も同じです。
そして日本でも任期が短く、総選挙のための解散もある衆議院の方に強い権限が与えられていて、イギリスの庶民院の優越と同じく「衆議院の優越」が憲法上認められています。
まとめ
日本が近代化を進める中で、イギリスの政治体制は、日本にとって重要なモデル、理想像であったに違いありません。
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