イギリスの議院内閣制と日本の議院内閣制の違う点
首相の選出方法
日本の首相(内閣総理大臣)とイギリスの首相は、どちらも行政権に属する議会のリーダーですが、その選出方法には違いがあります。
まず日本の首相は国会の議決で多数決によって選ばれ、その指名に基づいて、天皇が任命します。これは憲法第6条によって定められていて、天皇は国事として形式的に任命するだけで、承認と責任は内閣が負います。
一方イギリスでは議会による首相の指名手続きはされず、国王が下院の第一党の党首を首相として任命します。しかしもし、どの党も過半数の議席を獲得できなかった場合や、首相が退任または死亡した時には、国王が個人の裁量で、先制的に首相任命を行うこともあります。
下院の優越と衆議院の優越
イギリスでは「下院の優越」が法律によって明確に確立されています。そのため上院と下院の意見が異なった場合には、下院の意見が優先される決まりになっています。
日本にも「衆議院の優越」という制度があり、もし衆議院(下院)と参議院(上院)で意見が分かれた場合、衆議院の意見が優先されることになっています。しかし日本の場合、参議院が衆議院より強い権限を持つ場合もあり、衆議院の優越がうまく働かず、政治の停滞を招く事態も起こります。
例えば衆議院の議席数が議会の3分の2に満たない場合、衆議院が成立したい法案を参議院が否決すれば、法案は成立しません。法案が成立しなければ実現しない政策もあります。そのため重要な政策課題が先送りになり、そのつけは結局、私たちの日々の生活にはね返ってくるのです。
二院制による議会政治
日本もイギリスも二院制による議会政治が行われています。しかし両院の議員を国民の直接選挙で選んでいる日本とは異なり、世襲貴族やイングランド国教会の高位の聖職者などで構成される、イギリスの上院議員は一般国民の中からは選ばれず、貴族議員の任期は終身制になっています。
まとめ
日本はイギリスと同じ議院内閣制という政治制度を採用しています。その運用方法に関しては類似点もありますが、異なる点も数多くあります。
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