【陸上自衛隊の最強の武器はなにか?】陸上自衛隊の武器「火砲」とその訓練

陸上自衛隊の最強の武器はなにか?今回は日本の国家公務員「陸上自衛隊」の陸上自衛隊の装備の概要と、その中でも、大きな威力のある火砲についてとと、射撃訓練がどのように行われているか、また、その果たすべき役割などについて解りやすくご紹介します。

陸上自衛隊の装備

陸上自衛隊は有事の際に、直接侵略及び間接侵略から我が国を防衛することを主たる任務としています。その為、有事の際は好むと好まざるとに関わらず武力衝突や武力攻撃による被害が日本国内で起きることが予想されます。

有事の際は陸・海・空一丸となって総力で対処するのですが陸上自衛隊だけを見ても有事の際に与えられた任務を遂行する為に使用する装備は、膨大な数の装備、つまり数々の武器を所有しています。

警察庁や海上保安庁などの国の機関も与えられた任務を全うする為に拳銃やライフルさらに巡視船などは大砲などの強力な武器を装備していますが、その所持している武器の質と量において、陸上自衛隊は日本で最大の武装集団です。

今回は、陸上自衛隊の武器の中で大きな威力のある火砲の射撃訓練がどのように行われているか、また、その果たすべき役割などについて解りやすくご紹介します。

陸上自衛隊の武器の名称

自衛隊の武器の名称には、その武器が正式採用された西暦の年度の下二桁がつきます。たとえば、現在、陸上自衛隊の主力戦車は90式戦車ですが、これは1990年度に正式採用された戦車と言う意味になります。

この、名前のつけ方は第二次世界大戦当時からあり、武器の名称には『年式』を表す西暦が使われていました。ちなみに日本海軍の名戦闘機『ゼロ戦』は、正式名ではなく愛称、つまり、ニックネームのようなものでした。ゼロ戦は、正しくは『零式艦上戦闘機』という名称になります。

しかも、この話にはおまけがあり零式艦上戦闘機が海軍に正式採用されたのは1940年なので、本来のルールでは40式艦上戦闘機にならないといけないのですが、ゼロ戦が生まれた年は皇紀2600年(天皇家が始まって2600年)になります。その為、神の国日本の新型戦闘機には、零『ゼロ』と言う神秘的な響きのする名前がふさわしいと言う事で、2600年の末尾の二桁をつけて『零式艦上戦闘機』と呼ばれるようになりました。

しかし、陸上自衛隊の武器に必ず二桁の『年式』がつくと言うものではなく、名称に年式が含まれないものもあります。またF-15イーグルのように海外製の装備品については年式がついていません。

武器に年式が含まれているメリットは世界各国の装備品や自国の装備品と比べて年式の新旧が直ぐに解ると言うメリットがあります。

陸上自衛隊の装備の概要

陸上自衛隊の装備と一口に言っても、その種類は膨大になります。解りやすくするために大きく分けると、次のとおりです。

小火器

(1)拳銃 (2)軽機関銃 (3)短機関銃 (4小銃 (5)機関銃‥‥‥(以下省略)

火砲・ロケット

(1)榴弾砲 (2)迫撃砲 (3)無反動砲 (4) 高射砲 (5)ロケット・・・・・・(以下省略)

誘導弾

(1)対空 (2)対戦車 (3)対艦

地雷

(1)対人 (2)対戦車

装甲車両

(1)戦車 (2)装甲車 (3)自走砲(以下省略)

自走砲

(※自走砲は、火砲にもそれぞれ自走砲がある為、重複するので省略します。)

その他

航空機、ヘリ、鉄道、通信機、個人被服、暗視装置、無人標的など、特殊装備品や需品関連は、膨大な項目になる為、省略します。また装備と言うと幅広くなり過ぎるので武器に限定して説明して行きます。

陸上自衛隊で最強の武器はなにか?

現在、陸上自衛隊の最強の武器を大まかに紹介するとすれば戦車と火砲とロケットです。ただし、それぞれの武器には長所と短所があります。また武器は運用方法が異なるので、場合によっては、運用次第では対戦車ヘリなどのような陸上自衛隊が所有する航空機などが最強になる場合もあります。

つまり、武器は総合運用になるので、単一の武器を最強の武器だと特定することは乱暴な評価になります。武器の強さを正しく検証する場合の鉄測は『条件付き』で評価をするのが正しい評価になります。

たとえば、戦車の場合なら『近接戦闘で普通科部隊と一緒に行動する場合は戦車が最強』と言う具合に『普通科部隊(歩兵)と一緒に行動するならば』戦車が強いと言う条件付きの評価になるのです。与えられた条件次第では、たとえ戦車と言っても弱点の多い武器になりうるのです。

戦車の長所と短所

戦車の最大の長所は装甲が分厚く防御力が強くて命中精度が圧倒的に高いことにあります。現在、陸上自衛隊の最新型の戦車10式戦車は自重が44トンあります。その為、射撃をした時の反動で車体が動かないので命中精度が落ちません。

しかも小銃のように直接照準して射撃するので、ほぼ狙い通りに目標に命中します。こうしてみると陸上で最強の武器のように感じますが、実は、戦車には大きな短所が三つもあります。

短所その1:航続距離

一つは航続距離が極端に短いのが短所です。戦車は自重が重いので燃料の消費量が莫大で燃費が極端に悪い乗り物です。通常のガソリン車の燃費とは比較にならない高燃費で補給拠点が近くに無いとその力を十分に発揮できません。

短所その2:有効射程

二つ目の短所は、見えない敵や遠くの目標を射撃できない事です。つまり有効射程が短いという短所があります。

短所その3:可視範囲

さらに三つ目の短所は、これが戦車の最大の弱点で、可視範囲が極端に狭く視界が大きく制限された乗り物だと言う点です。

この為、敵が近くにいる場所での戦車の単独行動は、きわめて危険で普通科部隊と共同で移動しない場合、敵に簡単に接近されてしまいます。つまり、戦車は攻撃力が圧倒的に高いのに単独行動をすると弱点の多い危険な乗り物なのです。

火砲の長所と短所

戦車よりも大きな大火力を発揮できる武器が火砲です。しかも、火砲は運用する時は通常、味方の後方に位置するので敵の攻撃を受けにくいと言うメリットもあります。火砲には高射砲、ロケットも含まれますが、一般的に火砲と言えば榴弾砲のような野戦砲の事です。

火砲は長大な射程距離があるので遠くの目標を射撃できると言う長所があります。また、一度に広範囲の地域を同時に射撃できるので、広い地域を制圧できると言う長所もあります。

これに比べて、火砲の短所は見えない相手を射撃する為に、命中精度が極端に悪いという短所があります。その為、火砲の有効な射撃をするためには、射撃した弾を観測して、より効果的な射撃が出来るように射弾を誘導する『前進観測者』の存在が不可欠になります。

陸上自衛隊の火力支援は砲迫の射撃が有効

陸上自衛隊の主力ともいうべき歩兵部隊、すなわち普通科部隊は戦車と共同作戦を取るのが通常です。これを普戦共同作戦といい世界中の軍隊は戦車と歩兵が共同作戦をするのが普通です。

近代戦では、これにヘリコプターや対戦車ヘリコプターが加わり主力部隊の普通科部隊を守りながら任務を遂行します。ただし、戦車は航続距離が短く機動力に大きな弱点を持ちます。

従って普通科部隊の後方の安全な場所から広範囲に普通科部隊に火力支援できる砲迫部隊の存在と、その射撃能力は、陸上自衛隊の任務を達成する為に無くてはならない重要な火力と言う事になります。

火砲(野戦砲)と迫撃砲

砲迫とは、高射砲・野戦砲及び迫撃砲です。高射砲は、高射特科部隊に装備され、敵航空機やヘリコプターなど航空攻撃から部隊を守る大砲や機関砲、機銃の事です。またホークやパック3などの対空ミサイルも迎撃用のミサイルです。

野戦砲は火力部隊の主力武器で榴弾砲がメインです。また迫撃砲は組み立て式の武器で、軽易に射撃準備ができて、敵に隠れた場所から高射角弾道で射撃できる大砲です。迫撃砲には、射程距離の長い重迫撃砲と、射程距離の短い軽迫撃砲があり、共に普通科部隊に配備されています。

一般的に野戦砲は、曲射弾道の武器で射撃した弾丸が放物線を描いて遠所にいる敵部隊を射撃する武器で射程距離が長いのですが射撃する部隊から敵は見えません。従って砲迫の射撃をしている部隊は、敵を見ずに射撃することになります。

レーダーによる射撃の場合は別として、通常の砲迫の射撃は目暗撃ちになってしまうので確実に命中させることは不可能です。元々、砲迫はピンポイントで命中させるのが目的の武器ではありませんが、あまりにも目標と違い場所に撃ったのでは効果がありません。

その為、発射した弾がどこに落ちているのかを、肉眼で見て、効果的な場所に命中するように誘導する必要があります。その射弾の観測をする隊員の事を『前進観測者』と言い部隊符号では『FO』と表します。

203高地の戦は前進観測者の為の戦い

今から約100年前日本とロシアとの間に日露戦争が起きました。この戦争ではロシアの旅順艦隊を日本の連合艦隊が攻撃しました。ロシアの旅順艦隊は、日本艦隊との対決を避けて旅順港内に逃げ込みます。
逃げ込んだ目的は、ヨーロッパにあったロシアのバルチック艦隊と合流して日本艦隊を迎え打つ為でした。この後、ウラジオストックに一時離脱しようとした旅順艦隊と連合艦隊は黄海海戦で戦います。

その結果、旅順艦隊に大打撃を与えますが、再び、旅順艦隊は旅順港の奥深くに逃げ込みます。日本海軍は、旅順港口に古い軍艦や輸送船を沈め、旅順艦隊が港から出ないようにしてしまいます。

この時、日本海軍は残存した旅順艦隊を砲迫で射撃していますが、見えない射撃だったので戦果を確認できていません。さらにヨーロッパにいたロシアのバルチック艦隊が日本に向かっているという情報が入ったのです。

世界最強の艦隊との決戦に備え、旅順港内に閉じ込めた旅順艦隊が壊滅したかどうかの確認が海軍の緊急の課題となります。その為、旅順港内を一望できる標高203メートルの山、203高地を奪取する必要に迫られたのです。

つまり、あの多くの犠牲者を出して勝ち取った旅順要塞攻防戦は『前進観測者』を港が見える位置に派遣して戦果を確認する為の戦いでした。実際、旅順艦隊は、ほぼ壊滅状態になっていました。

それでも日本海軍は、203高地を奪取するまで確認が出来ませんでした。砲迫射撃とその誘導、さらに敵情を知らせる前進観測者は、それほど重要なのです。

野戦砲の射撃に必要な測量と前進観測者

前進観測者は目標情報の情報収集をする砲迫部隊の『目』の役割をします。この前進観測者の行動に先立って行う作業が『測量』です。測量の目的は、目標情報の収集と、敵の位置を可能な限り詳細に把握し地図上で正確に位置を決定して射撃諸元を決定することにあります。

射撃諸元とは、解りやすく言うと味方の大砲の位置から目標までの距離と方向です。これに加えて、砲弾を目標まで飛ばすための装薬(弾丸と一緒に方針に装てんする火薬)、射角(射撃する大砲の角度)などを決定する為の様々な、射撃に必要な情報を射撃諸元と言います。
測量作業には光学機材を用いた測量と実測による測量があります。主として特科部隊や普通科部隊の重迫撃砲小隊は軽易な測量作業を実測で行います。実測による測量作業は、三角測量とトラバース測量です。

このうちトラバース測量(導線測量)は、巻き尺などによる実測作業なので、味方の陣地の測量はできますが、敵地に乗り込んで測量することは出来ません。

これに比べて三角測量は実測と計算を併用して、目視できる敵の位置を正確に測量できます。三角測量は、味方側の二カ所を実測して一片の長さ(基線長)を算出します。次に二つの点から目標までの内角を測量します。

二辺の長さと二つの内角を測定することによって味方の部隊の大砲から目標までの方位角と射距離を座標計算によって求めるのです。これらの射撃諸元を、射撃する部隊と前進観測者に知らせるのです。

米軍が考え出した角度『ミル』

一般に測量で使われる角度の単位は『ラジアン』と呼ばれる単位で円の全周は360度です。ただし陸上自衛隊で使う角度の単位は『ミル』と言われる角度の単位で、ラジアンよりも細かい方位で、全周が6400ミルです。

陸上自衛隊で使う角度では、90度は1800ミルになり、180度は3200ミルです。そして1度は17.77777778ミルになります。このミルと言う単位は特殊な考えで作られた単位で、円周率、すなわちラジアンの考えと異なり極めて実用的な公式です。それは『ミル公式』と呼ばれる公式で、面白いのは、角度なのに距離の概念が含まれている事です。

ミル公式

『1000メートル向こうにある1メートルの長さのものを見た時の角度』

このミルを採用することによって陸上自衛隊の測量作業では対数を使用することにより、角度と距離を足し算すると言う不可能を可能にしたのです。ミル公式は解りやすく言うと6400角形なので円周率とは関係のない角度の単位です。

つまり、1000メートルと言う距離と、1メートルと言う距離が、まずあって、それに応じた『幅が角度』と言う斬新なアイディアにより生まれた角度の単位で、これは米軍が作った角度の単位です。このミルは陸上自衛隊で使用する野外コンパス、さらに精度の高い『方向版』などの測量器材にも使われています。

※方向板(方向板)(全周を6400に刻んだ磁針方位角と標高を測定する武器)民間の測量で使うトランシット(角度を測定する測量器具)のようなもの。

前進観測者と射撃要求

測量作業で射撃すればかなり精密な射撃が可能になります。ただし測量作業は防御戦闘をする場合には適しています。時間に余裕があるので綿密な測量作業をした後、多くの射撃諸元を得て待ち構えて防御に備える事が出来ますが、攻撃の場合は、時間に余裕がなく測量作業ができるとは限りません。

その場合、砲迫の射撃を有効にする為の射弾観測と誘導をするのが『前進観測者』で、測量作業が出来る出来ないに関わらず、前進観測者は砲迫の射撃に必要です。通常、前進観測幹部と前進観測陸曹が数組編成されます。

また射撃した弾を観測し、詳細な射撃データーを取得する為に、専門の観測班『OP』を設置することがあり、主に測量班員が選ばれます。OPは前方公会法により複数の場所から射撃した弾の正確な位置を測定します。

前進観測幹部は、目標の位置を把握し、味方の砲迫部隊の『射撃指揮所』(部隊符号は『FDC』)に連絡します。射撃を実行する場合の要求は『射撃要求』という要求で、射撃要求は陸上自衛隊の全ての通信による要求よりも優先します。

その為、無線あるいは有線通話が行われている時『射撃要求』という言葉が聞こえた場合、その会話を妨げてはいけないことになっています。また普通科部隊から砲迫部隊に支援射撃を依頼する場合は、『支援射撃要求』です。

通常、第一線に展開する普通科部隊には前進観測者が同行しており部隊が砲迫部隊の支援射撃が必要な場合は、迅速に射撃ができる編成になっています。

本記事は、2017年11月12日時点調査または公開された情報です。
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