自衛隊の「駐屯地」という名称について
陸上自衛隊の部隊または機関が平時に駐在する軍事基地を「駐屯地」と言います。
帝国陸軍、警察予備隊の時代は現在と同じ「駐屯地」記載でしたが、陸上自衛隊の前身にあたる保安隊発足時(1952年)に(当用漢字の制限から)「駐とん地」となり、1982年4月の政令・総理府令改正で再び「駐屯地」となりました。
航空自衛隊や海上自衛隊では「基地」と呼称しますが、陸上自衛隊は「戦闘時の基地とは成り得ない」という考えから「駐屯地」という名称が使われています。
自衛隊の「駐屯地」の数
2021年3月1日現在 、日本全国の「駐屯地」と「分屯地」の総数は163(「駐屯地」134、「分屯地」29)です。
*「分屯地」とは、「駐屯地」の規模の小さいもので、(「駐屯地」とは別の場所にありますが)通常は「駐屯地」の一部として数えられています。
自衛隊の「駐屯地」内の施設・設備
「駐屯地」には、隊員が業務(訓練、学習)を行なうのに必要なグラウンド、体育館、車両倉庫、射撃場、武器庫等の施設と共に、独身者(陸曹以下)が居住・生活する隊舎、食堂、売店(PX)、医務室、浴場等の施設・設備が整備されています。
営外居住を許可された者は「駐屯地」の外を生活基盤とできます。
売店は通常「PX(Post Exchange)」と呼ばれ、衣類、装備品、食料品、文具等の生活雑貨、自衛隊グッズを販売しているほか、書店、菓子屋、薬局、電器店、食堂等の民間委託店舗もあり、近年では大手コンビニエンスストアが参入している「駐屯地」も見られるようです。
自衛隊の「駐屯地」が担う任務
大災害や有事の際に即座に対応すること(スクランブル体制)が自衛隊(自衛官)には求められます。
これが、「駐屯地」で常に一定人数の隊員が寝泊りをする大きな理由です。
佐藤正久氏(元陸上自衛官、現参議院議員)は、日本国内のほとんどの地域には4時間以内に隊員が到着可能とコメントしています。
近年では、2018年(平成30年)北海道胆振東部地震、2018年(平成30年)7月豪雨、2016年(平成28年)熊本地震、2013年(平成25年)台風26号、2011年(平成23年)東日本大震災に災害派遣が実施されました。
▼参考URL:防衛省|災害派遣について(外部サイト)
自衛隊の「駐屯地」の公開・交流
通常、「駐屯地」への関係者以外の立入りは禁止されていますが、広報や地域住民との交流を目的に多くの「駐屯地」が年に1~2回程度、一般公開イベントを実施しています。
一般公開の際は、装備品の展示や試乗、観閲式、音楽隊演奏、訓練展示、業者や隊員による模擬店・売店の設置が行なわれ、「火砲を用いた敵陣地射撃、攻撃奪取」「架橋や地雷除去」「空中消火の展示」等の駐屯する部隊の特色を活かした展示が行なわれます。
残念ですが、今年はコロナの影響で開催中止、一般開放中止のイベントが多いようですが、インターネットで無観客のライブ配信をする演習もありますので興味ある方はそちらをご視聴ください。
令和3年度富士総合火力演習(ライブ配信)
▼参考URL:YOUTUBE|令和3年度富士総合火力演習
まとめ
以上、「自衛隊の駐屯地って何?」でした。
駐屯地によって違いはありますが、概ね年に1回~数回、駐屯地創立記念行事などの際に開放していますので、興味がある方はぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
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コメント
コメント一覧 (2件)
素朴な疑問でしたが、よく聞く言葉でした。戦闘地の基地とはなりえない、は妙に納得しました。分かりやすく説明されていて良かったです。
「駐屯地」という言葉は聞いたことがありましたが、なぜ「駐屯地」というのか、「駐屯地」がどんなところなのか、知らなかったのでおもしろかったです。