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【車内点検って何してるの?】ちょっと気になる鉄道業界の用語・隠語まとめ

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通勤や通学で電車に乗っているとき、「車内点検のため」や「車両点検のため」などでしばらく電車が止まり、イライラした経験はあるかもしれません。うわさでは、痴漢の隠語や何か鉄道会社に都合の悪い場合に使われるものがあるのではないかと言われていますが、本当のところはどうなのでしょうか?そこで鉄道会社でよく使われる用語や隠語を紹介します。

目次

「車内点検」、「車両点検」は何かの隠語なのか?

電車はさまざまな要因で止まりますが、主な原因は自然現象(風、雨、地震など)、車両故障、旅客トラブル(急病人、けんか、痴漢など)、乗務員トラブル(乗務員が体調不良、乗務員がいないなど)があります。自然現象や車両トラブル、乗務員トラブルの場合は理由がはっきりしているので、そのまま理由を放送しますが、旅客トラブルの場合は乗務員がその場に行って確認しなければ原因はわかりません。駅や車両に付いている非常通報ボタンが押されて、運転士や駅員が確認に向かっている間、車掌は「旅客トラブル」と放送します。また、車内点検や車両点検なども原因が分からないときに使います。特に隠語ではないので、電車が止まった理由を疑うことはしないようにしましょう。

しかし、放送するときに注意が必要なのは痴漢や犯罪行為があった場合です。

鉄道会社の職員は警察ではないので、現行犯を見ていない限り加害者を取り押さえることはしません。その事件がえん罪だった場合に鉄道会社に責任が生じてしまうからです。例えば痴漢行為があった時に、被害者が駅員に「この人に痴漢被害を受けた」と訴えたとしても、その場で加害者を取り押さえる事はしないでしょう。鉄道会社は両者の話を聞くために事務室に留めて警察を待ちます。鉄道会社は第三者という立場で警察に状況を警察に説明するだけで、後は当事者の問題として処理するのが一般的です。このため、放送するときも痴漢行為のため電車を止めているとは言わないように注意しています。放送することによって人権問題に発展しないようにしているのです。

復旧見込み時間ってなに?

車両トラブルや人身事故で電車が止まったときに、運転再開予定時間を聞いたことがあるかもしれません。これは鉄道会社に寄せられる旅客の意見をもとに始まったものです。いつになったら電車が動くのか見込みだけでも教えて欲しいという意見が多く寄せられ、電車が止まる原因ごとに復旧見込み時間の目安が決められました。人身事故の場合は、生存は30分程度、死亡の場合は1時間程度対応に時間がかかります。車両トラブルの場合はそれぞれのケースで違いますので時間がまちまちです。しかし、あくまで目安ですのでもっと対応に時間がかかるようでしたら延長するようにしています。

人身事故の復旧見込み時間の目安は生存か死亡かの違いですが、すぐには放送されない場合があります。駅員や車掌は起こった人身事故についてさまざまな放送しますが、見極めるポイントは「レスキュー」という単語です。レスキュー隊が救出しているということは、その時点で生存を確認しているということなので、比較的短時間で事故の処理が終わるかもしれません。

では、生死の判断は誰が行うのでしょうか?それは、最初に現場に行く乗務員が行います。その時の判断基準は頭と胴体が離れているかです。そうでなければ、どんな状況でも(詳しくは書けませんが)生存していると判断してその場で応急処置をおこなわないといけません。その後救急隊や警察に任せて、乗務員は電車の状況を確認します。

旅客の発車時刻と鉄道会社の発車時刻の違い

電車の発車時刻のギリギリに駆け込み、直前でドアが閉まってしまい電車が行ってしまって悔しい思いをした経験はありませんか?まだ電車に間に合うと思っていても、乗れなかった人も多いでしょう。これは、旅客が考える発車時刻と鉄道会社が設定している発車時刻の定義が違っているのが原因です。

発車時刻の定義が旅客と鉄道会社で違うことを知っている人はあまりいません。例えば12:00分発車の電車では、多くの旅客は12:00分にドアが閉まり発車すると思っていますが、鉄道会社の乗務員は12:00分に電車が動き出す事を想定して作業をしています。そのため12:00分前にドアを閉め、確認作業を行った後に電車が動き始めます。

なぜその様なことが起こるのでしょうか。それは、鉄道会社は車輪が動き出す時間を発車時刻と定めているからです。発車時刻前にドアが閉まっても、鉄道会社が時間を誤っているわけではないのです。電車に乗る際は、余裕を持って行動するようにしましょう。

保安装置確認、信号確認とは?

電車が止まった時に、保安装置確認や信号確認のためと放送を聞いたことがあるかもしれません。しかし、何の事だかわからない人もいるのではないでしょうか?そんな人のためにそれぞれ解説します。


1. 保安装置確認

電車は安全を守るための装置がたくさん付いています。代表的なのがATCやATSと呼ばれるものです。これは、自動列車制御システムの略で最も重要な機器の一つです。都市部の鉄道は分単位で電車を動かしている過密路線が多くあります。この様な路線で安全に電車を走らせるためには、人だけの確認では限界があります。そこで車両に自動列車制御システムを搭載して運行しています。このシステムは簡単にいってしまえば、列車の間隔を保つために先行列車に近付くと自動的にブレーキがかかり止まる事ができるものです。特に地下鉄はそのほとんどがカーブや高低差のあるところを走っているので、先行列車は直前まで見えません。自動列車制御システムがなければ、現代の鉄道会社の電車は動かせないでしょう。しかし、故障のないような作りをしているこの装置も時々不具合が起きます。静電気などが原因ですが、営業運転中に壊れてしまった場合はその復旧まで電車を止めて点検しなければなりません。旅客に原因を説明するにはとても複雑になってしまうため、保安装置確認というようにしているのです。

2. 信号確認

信号確認といわれてもどこを確認しているのかわからないと思います。駅に付いている信号機は時々見かけますが、運転士は通常の運転にその信号機は使いません。その信号機の正体は電車を車庫に入れる時や引き上げ線(一時的に電車を留め置く線路)に入れるためのものです。では、運転士は何を見て運転しているかというと、車両に付けられている信号を見ています。これは、自動列車制御システムと連動していて、先行列車に近付くと赤信号を表示するようになっています。このシステムにより信号機をたくさん作る必要がなく、人が見てブレーキをかけるより安全なので多くの鉄道会社が採用しています。しかし、このシステムは電車の位置を正確に把握する必要があり、それをレールの信号電流で判断していますので、このレールがさびや熱で不具合を起こすと使えなくなってしまいます。信号確認で電車が止まる場合、信号を送る装着やレールの異常を点検しているケースが多く、信号機自体を直しているわけではないのです。

動力車操縦者運転免許

動力車操縦者運転免許と聞いてどのような免許なのかわかる人はあまりいません。これは、電車を運転するために必要な運転免許です。国家資格でもあるこの免許は少し特殊なものです。そこで、動力車操縦者運転免許を解説します。

1. 取得方法

この免許を取得するためには鉄道会社に入社して研修を受けるのが一般的です。以前に一般人が1000万円を払って動力車操縦者運転免許を取得できる鉄道会社がありましたが、これは研修している期間の費用を自分で払うもので、必ず免許をもらえるものではありません。この鉄道会社は例外として、多くの人が所属の鉄道会社で働きながら運転士を目指します。免許を取得した人は国土交通省に登録され、毎年受ける身体検査で運転士の基準を満たされなければならないので、免許をもらった後も視力や聴力が落ちないように普段の生活に気を付ける必要があります。自動車の免許のように更新はありませんが、常に基準を満たす努力をしなければ仕事自体ができなくなってしまうので、とてもシビアな免許といえるでしょう。

2. 研修

入社した鉄道会社で駅員や車掌で経験を積んだ社員が、社内の選抜試験を受けて合格した者が研修所に入ることができます。ここで、鉄道営業法で決められている学科講習を受けます。具体的には法律や法令、車両の構造、信号の知識、線路や構造物の種類、運転力学を約半年間学び、最終的に試験を受けます。学科講習を終えると現地訓練に入ります。実際に営業している電車を使い、指導員とともに運転技術を磨き、約半年後に試験を受けます。これに合格すると、地震や火災、人身事故の処置を訓練し、これが終わると免許を取得できます。約一年に及ぶ研修期間を終えて動力車操縦者運転免許を取得できますが、一人の運転士を育てるのに約1000万円の費用がかかるといわれていますので、とても個人では払うことができません。鉄道会社としては、多額の費用を払う代わりに研修に耐えられる人物を選抜する必要があるのです。電車運転士を目指す人はまず鉄道会社に入社する事を目指しましょう。

ダイヤって何?

○○線がダイヤ乱れで遅れていると聞いたことがあるかもしれません。しかし、鉄道会社のダイヤをくわしく知っている人はあまりいません。では、ダイヤとはいったいなんでしょうか?列車運行図表というのがダイヤの正式名称です。始発駅から終点駅までの時間を線にして表にしていますが、上りと下りの電車で線の方向が違うので、交わった部分がダイヤモンドに似ているのでこの名前になりました。このダイヤをもとに駅にある時刻表の時間や乗務員の持っている行路表の記載内容が決まっていきます。いうなれば、ダイヤは鉄道会社の商品であり、より便利に、より分かりやすく毎年変更を加えています。興味がある人しか見ることのないダイヤですが、鉄道会社に要望を伝えれば、あなたの意見が反映するかもしれません。

エリア地震計、地震連動システム

電車に乗っていて大きな地震に遭遇してしまった時にどうしたら良いか不安に思ったことはありませんか?鉄道会社は地震が起こったときにどのような対応をするのか紹介します。東日本大震災をきっかけにして各鉄道会社はさまざまなシステムを導入しました。まず、震度5以上の揺れがあると地震連動システムが働いて電車が止まります。この時、すべての電車を止めてしまうと大きな影響が出ますので、揺れた場所を細かく測る事ができるエリア地震計で揺れた場所の電車だけを止めるようにしています。また、橋の上や危険な場所に止まった電車を安全な場所に移動するようにします。どの鉄道会社も地震が起きたら電車を止めることに力を入れています。

次に、地震が収まった後、人による確認作業を行います。技術職員が歩いて異常の有無を確認して安全を確認します。時間がかかってしまいますが、安全が確認しなければ運転を再開できません。この時、大切なのは慌てて電車の外に出ないことです。対向車に接触するかもしれないですし、降りたときにケガをするかもしれません。乗務員の指示に従って冷静な行動をしましょう。

軌道内立ち入りは危険なのか?

痴漢行為を疑われた人が軌道内(線路)に逃げてニュースになったことがありましたが、とても危険な行為です。

まず、電車に接触する可能性があります。運転士は人が軌道内にいることを想定して運転していませんので、ブレーキが間に合いません。電車にぶつかればどうなるか想像が付くと思います。次に、軌道内では、レールはもちろんバラスト(砂利)があり、歩く時は注意していないとケガをしてしまいます。もちろん走ることは危険が伴います。また、軌道とホームは想像以上に高さがあるので登ることはできません。どんな理由でも軌道内に降りないようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?鉄道会社には一般の人にはわかりづらい用語がたくさんあります。通勤や通学には欠かすことができない鉄道の用語を少しでも理解できれば、放送の内容が理解できて快適に利用できるでしょう。

本記事は、2017年11月23日時点調査または公開された情報です。
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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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