世界最長記録の景気拡大を実現!オーストラリアの経済事情について

オーストラリアの経済は1991年から現在に至るまで毎年プラス成長を続けています。26年間にも及ぶ景気拡大は、これまでオランダが保持していた記録を塗り替え、世界最長記録となりました。本記事では、これまでの経済成長の要因と、今後の経済の見通しをお伝えしていきます。


オーストラリアの経済の概要

オーストラリアの経済規模は日本の3割程度ですが、国民の所得はなんと日本の約1.6倍。最近では2017年7月から最低賃金が3.3%引き上げられました。

好調に見えるオーストラリア経済。しかし好景気を支えていた資源ブームが2014年に終わりを迎えたとされており、資源価格の大幅な下落や投資の減少など、資源・エネルギー産業にとっては苦しい局面を迎えているのも事実です。

様々な不安材料がありながらも経済成長を続けるオーストラリア経済、さらに詳しく見てみましょう。

オーストラリアの産業と中国マネーの深い関係とは

オーストラリア国内の主要な産業は第3次産業(サービス産業)であり、国内総生産額の7~8割を占めています。

資源国であるオーストラリアの輸出品目第1位は鉄鉱石、第2位は石炭です。しかし、第3位にはなんと「留学」がランクイン。オーストラリアでは、海外留学生の受け入れは「教育サービスの輸出」と位置づけられ、外貨獲得の手段として重要視されています。近年では中国からの留学生が急増し、大学によっては教室内ほとんどが中国人留学生ということも。

輸出品目第5位である旅行サービスに関しても、中国人旅行者の大幅な増加と「爆買い」によって関連業界は潤っているようです。

言わずもがな中国は現在オーストラリアにとって主要な貿易相手国で、貿易額は輸出・輸入ともに中国がナンバーワン。ちなみに日本は2007年以降中国に追い抜かれ、貿易総額は第二位となっています。

さらに、オーストラリアの主要都市で続々と建設される高層マンションを購入しているのは大半が中国人です。この不動産需要が、資源ブーム終焉後も経済が大きく後退しなかった要因の一つであり、こうしたことからもオーストラリア経済の好調さの背景には中国マネーが大きく関係していることがうかがえます。

オーストラリア政府の経済政策とは?

オーストラリア政府は、2008年のリーマンショック以降財政赤字を抱えており、借金は増加傾向にあります。そのため、財政の健全化は優先課題の一つとされ、様々な政策を打ち出しています。

ターンブル政権が発表した政策として「国家イノベーション科学アジェンダ(National Innovation and Science Agenda)」がありますが、これは革新的なアイデア(イノベーション)による生産性向上と新産業の創出を目指すものです。4年間のアジェンダに対して100億円近くの予算が組まれており、ベンチャー企業(Startups and entrepreneurs)や大学(Researchers and Universities)、既存の企業(Business)、発明家(Inventors)たちがイノベーションを起こし、新たな経済成長を生み出すことを期待しています。

そして、インフラ投資の強化も図られ、道路、鉄道、空港に関する公共事業に6兆円を超える予算が組まれました。これにより数千人規模の雇用が生まれるため、国民の消費行動によって経済が刺激されることが期待されています。ちなみに現在メルボルンでは市内鉄道駅新設プロジェクト、および主要鉄道路線における大規模な高架化プロジェクトがすでに進行しています。


また、オーストラリア国民の仕事が移民に奪われているとして、連邦政府は外国人労働ビザの発給条件を厳しくする方向に動いています。オーストラリアの失業率は5~6%を安定して推移しており、日本の失業率2~3%に比べると少し高めの数値であることが分かります。

日本とオーストラリアの経済関係は?

太平洋に位置する両国は、お互いに重要なパートナーとして関係を強化してきました。日本にとってオーストラリアは世界第4位の貿易相手国であり、最大のエネルギー資源供給国として重要な存在です。逆にオーストラリアから見てみると、日本は中国に続いて世界第2位の貿易相手国です。

さらに、2015年には「日・オーストラリア経済連携協定(日豪EPA)」が発行したこともあり、日豪の関係性は今後も重要さを増していくでしょう。この協定は今後10年で両国間の関税を約95%撤廃するもので、これにより様々な分野での貿易が拡大していきます。例えば、日本ではオーストラリア産の牛肉やワインが安く楽しめるようになります。

まとめ

いかがだったでしょうか?中国経済と深く結びついているオーストラリア経済。中国を始めとする世界経済の失速による資源ブームの終焉によって、オーストラリアは新たな経済成長のきっかけが欲しいところです。

また、日本との関係は今後ますます密接になり、みなさんの生活のいたるところで「メイド・イン・オーストラリア」を見かけることになるかも知れませんね。

本記事は、2018年1月4日時点調査または公開された情報です。
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