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【臨海都市の救助隊】千葉県の高度救助隊と特別高度救助隊「SRC」とは

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目次

千葉県には高度救助隊2隊・特別高度救助隊1隊が配備

政令指定都市の千葉市に1隊、他中核市に2隊

消防署には、業務の内容によって色々な隊が配備されていますが、中でも救助のスペシャリストでありオレンジ色の活動服がトレードマークの部隊が救助隊です。救助隊は消防隊員の中でも憧れのポジションであり、とても狭き門となっています。

救助隊は、部隊の規模や所有している資機材、活動への技術力などで救助隊・特別救助隊・高度救助隊・特別高度救助隊の4つの大きさに分けられ、どの規模の救助隊を配置するかは「救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令」によって定められています。

千葉県は、県庁所在地である千葉市が政令指定都市ですので、千葉市消防局に特別高度救助隊が1隊、中核市である柏市と船橋市にそれぞれ高度救助隊が1隊ずつ配置されています。

特別高度救助隊・高度救助隊の定義について

▼特別高度救助隊
東京都と政令指定都市に配置される救助隊。人命救助の専門教育を受けかつ高度な教育を受けた隊員5名以上で編成され、救助工作車・特殊災害対応車・高度救助資機材に加えて大型ブロワー車やウォーターカッター車(この2台が一緒になった特別高度工作車が採用される事も多い)を運用します。

千葉県内では、千葉市が政令指定都市の為、特別高度救助隊(SRC)が配置されています。

▼高度救助隊
中核市もしくは同等程度(中核市の存在しない都道府県内での代表的な自治体など)と認められた都市に配置される救助隊。人命救助の専門教育を受けかつ高度な教育を受けた隊員5名以上で編成され、救助工作車と地域の事情などに応じて高度救助資材を運用します。

千葉県内では、柏市及び船橋市が中核市の為、高度救助隊(KART及び船橋市消防局高度救助隊)が配置されています。

柏市消防局の高度救助隊について

柏市消防局高度救助隊 通称KART

千葉県北西部に位置する柏市は人口42万人の中核市ですので、柏市消防局の管轄内の西部消防署に、高度救助隊が1隊配置されています。

東京都と各政令指定都市に配備されている特別高度救助隊と同じく、高度救助隊でも通称を名乗る事があります。そして、柏市の高度救助隊には「柏市高度救助隊」の英訳略語であるKART(柏Kashiwa 高度Advanced 救助隊Rescue Team)の通称がついており、隊員のワッペンや救助工作車などの救助隊の車両にも、KARTの文字が入っています。

柏市消防局の高度救助隊の実績

柏市消防局の高度救助隊は、平成22年2月1日に発足し、今は1隊7名の3部隊、計21人が所属、このうち救急救命士が2人、潜水士が2人、国際消防救助隊への登録隊員数が6人となっています。

配置されている柏市西武消防署は消防特殊機動部隊も運用しており、化学車やCAFSカーの運用、及びNBC災害及び特殊災害対応部隊としての役割も担っています。


緊急消防援助隊として東日本大震災に出動し、岩手県陸前高田市に千葉県第1次派遣隊、第2次派遣隊として被災地での救助活動を行った実績もあります。

柏市消防局の高度救助隊の持つ車両と装備

▼消防車両
救助工作車Ⅲ型・CAFSポンプ車(泡原液で消化する化学消防車)・化学車・35m級先端屈折式はしご車、5トン水槽車・排煙高発泡車

▼高度救助用資機材
高度救助用資機材として、要救助者探査の為の画像探査機や地中音響探査機、熱画像直視装置、暗所や夜間でも目視が可能になる夜間用暗視装置、余震が多発している時に使用する地震警報器、救助用支柱器具が配備されています。

船橋市消防局の高度救助隊について

中央消防署・東消防署に2隊が配置されている

柏市と同じく千葉県北西部に位置する船橋市も、人口63万人を有する中核市ですが、63万人という数字は日本全国の中核市の中で最大の人口数であり、千葉県内では千葉市に次いで二位の人口数となっています。

船橋市には、中央消防署に1隊、東消防署に1隊の計2隊の高度救助隊が配置されています。

船橋市消防局の高度救助隊の実績

現在船橋市に配置されている高度救助隊は、1隊6名の三部隊構成×2隊、合計36名の編成になっており、救命救急士が東消防署に6名、潜水士が中央消防署に7名、東消防署に6名、国際消防救助隊の登録隊員数は中央消防署2名、東消防署2名となっています。

最新鋭の都市型救助資機材を使用したロープレスキューを救助活動や訓練に導入しています。

緊急消防援助隊として、阪神淡路大震災に5日間、新潟県中越地震に4日間、東日本大震災に岩手県・福島県両県へ平成23年3月14日から6月6日の間出動し、救助活動を行った実績があります。援助隊としての活動は国内だけでなく、パキスタン地震へ9日間2名、コロンビア地震へ10日間2名、国際緊急援助隊として出動し、国外での災害で救助活動を行った実績もあります。

船橋市消防局の高度救助隊の持つ車両と装備

▼消防車両
救助工作車Ⅲ型(中央消防署・東消防署に1台ずつの計2台)

▼高度救助用資機材
高度救助用資機材として、要救助者探査の為の3台の画像探索機や地中音響探知機、熱画像直視装置や夜間用暗視装置、地震警報器、救助用支柱器具といったものだけでなく、重火器であるダイヤモンドチェーンソー、ダブルブレードエンジンカッターも配備されています。

千葉市消防局特別高度救助隊 SRCについて

政令指定都市千葉市の誇る救助隊

千葉県の県庁所在地である千葉市は、人口97万人の政令指定都市です。千葉市から東京都への通勤率は20%となっていて、他の都市と同じくベッドタウンとして発展してきた大都市です。

千葉市に配置されている特別高度救助隊は、通称SRC(スーパーレスキュー千葉、Super Rescue Chibaの略称)と呼ばれ、現在緑消防署に1隊、中央消防署臨港出張所に1隊の計2隊が配備されています。

本項では、以下千葉市の特別高度救助隊を通称であるSRCにて表記します。

SRC誕生の背景について

平成19年4月、千葉市消防局は緑消防署に配置されていた当時の特別高度救助隊へ、中央消防署臨港出張所に配置されていた当時の中央特別救助隊を高度救助隊へそれぞれ昇格し、運用を開始しました。この背景には、阪神淡路大震災や新潟中越沖地震を始めとした大地震の他、台風や豪雨被害など、日本列島で当時災害が多発しており、千葉市消防局も大規模な災害事象に対応できる救助隊を配置するため、既存の各救助隊の昇格に踏み切り、現在のSRCの母体が出来ました。

その後、両隊は高度救助資機材を備え、かつ専門的で高度な救助に関する教育を受けた隊員で編成され、平成24年4月には救助隊全体の更なる強化の為に、中央消防署臨港出張所の高度救助隊を特別高度救助隊へ昇格、計2隊の体制で現在のSRCが誕生しました。


現在千葉市にはSRCの配置されている緑消防署、中央消防署臨港出張所の他、花見川消防署、美浜消防署、稲毛消防署、若葉消防署、千葉市消防本部のある中央消防署の計7消防署がありますが、これ千葉市内にある消防署に配置されている救助隊員の中でも、精鋭で編成されたのがSRCです。

SRCの現在の配置について

SRCは現在1隊7名の2部制×2隊の、計28名で構成されていますが、28名全員が潜水士の資格を持っています。これは、臨海都市で水辺の事故が発生する可能性も高い、千葉市の救助隊としてとても心強いと感じるポイントです。

国際消防救助隊の登録隊員数は6名、主な緊急援助隊としての出動実績は、岩手・宮城内陸沖地震の6日間、東日本大震災には9日間出動しています。

市内だけでなく、県内外、海外への出動にも常に備えている

SRCの2部隊は、いずれも市内の災害はもちろん、県内外で発生する大規模災害に備えて24時間体制で常に広域応援ができる出動態勢を整えています。

通常の活動として市内にある他消防署に配置されている特別救助隊と同じように、市内で発生した災害や事故などの救助事案に対して救助活動などの対応を行う他、市外や県外で大規模な災害や事故が起きた場合の広域応援や、NBC災害が発生した時など、特別高度救助隊としての出動する必要が生じた場合は、運用している救助工作車の中の資機材を災害や事故の内容、規模に応じて高度資機材へ積み替えを行い、特殊災害対応車と連携して現場に出動し、事案に臨みます。

国内の災害や事故だけでなく、国外の災害に対して要請があった時には、国際消防援助隊としても出動します。

SRCが持つ車両と装備

▼消防車両
通常救助隊に配備されている救助工作車Ⅲ型に消防トレーラーが付いた車両が計2台、NBC災害にも対応できる特殊災害対応車や陽圧式NBC災害対応車、大型ブロワーとウォーターカッター両方を備えた特別高度工作車、大型除染システム搭載車

▼高度救助用資機材
高度救助用資機材として2台の画像探索機と地中音響探知機、熱画像直視装置と夜間用暗視装置、地震警報器と電磁波探査装置、二酸化炭素探査装置と水中探査装置が配備されています。

SRCの持っている高度救助用資機材は、地震や事故などで生き埋めとなってしまった要救助者を探索するための画像探査装置や二酸化炭素探査装置の他、NBC災害にも対応可能な装備などを含めると、約300種類に及びます。

千葉県の高度救助隊・SRCになるには?

各自治体の消防士採用試験に合格する

高度救助隊及びSRCは救助隊であり、消防職員です。消防職員になるには各自治体で毎年行っている消防職員採用試験(地方公務員試験)に合格しなければいけません。募集要項や期間については、受験する自治体によって異なりますので、確認の上受験しましょう。また、試験日程が一緒でなければ自治体ごとの消防士採用試験は併用する事もできますが、東京都と政令指定都市などはほぼ同じ日程が組まれている事が多く、事実上併用は不可能となっています。

採用試験合格後経験を積み、救助隊へ

採用試験合格後は、まず各自治体の管轄の消防学校へ入校、半年間消防士としての基礎を学ぶ初任教育を受けます。初任教育を無事終了すれば、自治体の管轄内の消防署もしくは消防本部へ配属先が決まります。

最初の配属先は、所轄の消防署の消防士(消火隊)に配属される事が多く、いきなり救助隊に配属になるのはまずありません。なぜなら、消防職員として最初の1年間は、修行機関としてまずは消防現場や活動において基本を身に付ける期間とされているからです。1年間消防職員として働くと、最初の配属希望を聞かれます。その後、救助隊になりたい事をアピールし続ければ、救助隊員になれるチャンスが巡ってきます。

救助隊員になるには、各都道府県で行われる消防学校に入校して、約1か月の「救助科」の厳しい研修を受けなければいけません。この研修をクリアして救助隊員としてのキャリアを積み、その後上司の推薦を得られれば、高度救助隊・特別高度救助隊への道が開かれます。

まとめ

ベッドタウンとして発展した背景のある千葉県は、マイホームを構える人口も多い都市です。市民が仕事や学校から帰り、安心して休める生活を守るために、今日も臨海都市の救助隊は活動を続けています。

本記事は、2018年1月5日時点調査または公開された情報です。
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この記事を書いた人

憧れの職業から時事問題まで、母親と女性の視点から。子供達の成長と被災地復興を見守る「千谷麻理子」さんの執筆する解説記事・エッセイ・コラム記事です。

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