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【陸上自衛隊の仕事】陸上自衛隊の仕事についての解説「戦技競技会」

国家公務員である陸上自衛隊の「戦技競技会」についての解説記事です。戦技競技会とは、戦闘技術の向上と士気高揚のために射撃競技会、持続走競技会、格闘競技会などで競い合う競技大会です。今回は、戦技競技会の内容やルールなどを自衛隊の視点で解説していきます。

2018年02月20日更新

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目次
陸上自衛隊で行われる戦技競技会
陸上自衛隊の戦技
自衛隊の戦技の種類
銃剣道競技会について
陸上自衛隊の射撃競技会と持続走競技会
教育団の部隊編成と事情
『実施規定』の案を事前に伝達する!
同じ条件で実行する事を追及する
ルール一つで不利になる部隊
競技会実施計画の作成
表彰式と賞品の準備
競技会の会場準備について
開会式及び閉会式の準備
最後の仕事が監督会議
競技会当日は結果の集計は訓練科が行う
【陸上自衛隊の仕事】陸上自衛隊の仕事についての解説「戦技競技会」

陸上自衛隊で行われる戦技競技会

陸上自衛隊では、戦技(戦闘技術)の向上と、士気高揚を図る為に、様々な戦技競技会が行われます。主なものは射撃競技会、持続走競技会、格闘競技会で、さらに特定の職種や戦技の有技者に限定して行われる競技会などがあります。

職種や特技の有技者に限定して行われる競技会には、通信競技会、野外炊事競技会、車両競技会などがあり必要に応じて行われます。競技会の規模は小規模なものから方面隊や全国規模の競技会まであります。

それらの競技会の中から、今回は陸上自衛隊の教育団規模の部隊で実施される射撃競技会と持続走競技会にスポットを当てて、どのように行われているのかという流れを競技会担当者の視点でご紹介します。

まずは、陸上自衛隊の戦技とはどういうものか、その概要を説明します。

陸上自衛隊の戦技

陸上自衛隊における戦技とは『戦闘技術』の事で、これは自衛官が戦闘において使用する軍事的な技術でもあります。この戦技能力を高め所有する戦技を駆使して戦う目的は言うまでもなく我が国の平和と独立を守る為です。

この戦技とは具体的にどういうものか理解する為にややこしい定義をする必要はありません。広い意味で言えば自衛官が兵士として戦う為に役に立つ戦闘に関わる技術は、隊員の体力も含めて全てを戦技と言って差し支えありません。

最重要視される「射撃術」と武器について

この自衛官の戦技の中で特に重要視されている戦技が『射撃術』です。入隊した自衛官には一人につき1丁の銃が授与されます。そして自衛官でいる間は小銃と銃剣、防護マスクは一単位ずつ保有している事になっています。

この武器を『個人装備火器』と言います。その際『武器授与式』というセレモニーを行い、銃を手にした時に国を守るという決意を新たにするのです。

陸上自衛隊の主力の個人装備火器は『89式5.56mm小銃』で有効射程は500メートル。持続発射(連発)も可能で専用の器具を使わずとも『06式小銃てき弾』を装着すれば、地上戦で最強の戦車とさえ戦う事が可能になります。

軍隊における武器は任務を遂行する為の手段であり、自分の身を守る武器であると同時に平和と安全を守る為の有効な手段です。したがってその武器を効果的に生かす為の射撃技術の向上は軍事組織として重要な戦技の一つです。

※(個人装備火器等は貸与されているので隊員が所有している訳でなくあくまで一時的保有であり駐屯地においては武器庫以外の場所で武器を保管する事は出来ません。)

自衛隊の戦技の種類

現代戦闘における狭い意味の戦技には次のようなものがあります。

1 射撃

射撃は自衛官としての重要な戦技で、射撃精度を低下させる最大の要因は撃発した際に生じる衝撃です。この衝撃を抑え命中率を高める射撃技術の向上はとても重要です。

2 格闘

近接戦闘での白兵戦(はくへいせん)では銃撃戦と格闘戦は一体の関係にあります。銃撃戦から彼我の距離がさらに接近すれば白兵戦になります。ちなみに『白兵』とは刀や剣、槍、銃剣ナイフなどの武器を持った兵士の事です。

格闘術に長じた兵士は武器を失った場合でも戦えます。陸上自衛隊の格闘には『徒手格闘』と『銃剣格闘』があります。

3 職種・特技に特化した戦技

射撃、格闘の戦技は自衛官全員に必須の共通の戦技ですが、対象者別に個人単位で所有している戦技があります。それはスキー・測量・通信・炊事、情報・車両操縦・暗号などの戦技で特技の数だけ戦技があると言って良いでしょう。またレンジャーなどの付加特技も、特定の有義者の持つ特殊戦技と言えます。

4 持続走

陸上自衛隊では長距離走の事を『持続走』と表現します。一般的に言うランニング・長距離走・マラソンを自衛隊では持続走と呼んでいます。体力練成の基本である持続走は、体力づくりの基礎になる課目でれっきとした戦技です。

銃剣道競技会について

陸上自衛隊の中で戦技と少し違った位置づけをされる武道として『銃剣道』があります。その基になっているのは旧陸軍の『銃剣術』です。銃剣術は小銃に銃剣を付けて戦う事を想定した格闘術で旧日本陸軍の戦技でした。

この銃剣術を原型として武術として発展したのが銃剣道です。全日本銃剣道連盟を頂点とする全国組織があり全国大会も開催されています。現在、武道と呼ばれているものは、柔道、剣道、弓道、相撲、なぎなた、合気道、少林寺拳法、そして銃剣道です。

1980年(昭和31年)の栃の葉国体(栃木県)から銃剣道競技は正式な国体種目となりました。また全日本銃剣道連盟が主催する大会以外でも団競技会、連隊競技会、大隊競技会など、各部隊で銃剣道競技会が行われています。

陸上自衛隊の射撃競技会と持続走競技会

陸上自衛隊の競技会で射撃競技会と持続走競技会の二つは、一番数多く行われている競技会で、次に行われているのは格闘競技会です。特に射撃競技会は重要視される戦技なので普通科職種の部隊では必ず1年に1回は行われます。

また、持続走競技会は実弾を使用する射撃競技会と違って、体一つあれば開催する事が出来るので、中隊レベルでも容易に実施出来るので体力練成及び、体育訓練の一環としても各部隊計画で良く行われています。

ただし、どんな種目の競技会でも、団・旅団、師団のような大きな部隊の競技会となると競技会を実行する統裁部の編成が大きくなるので軽易に実施する事は出来ません。それでは教育団の競技会で『射撃競技会』と『持続走競技会』を行う場合、どのような流れになるのか具体的に説明して行きます。

※教育部隊は被教育者がいる場合といない場合では所属人員が異なります。競技会は基幹隊員のみの大会です。(学校で言えば先生だけの大会)

教育団の部隊編成と事情

教育団には、一つの『陸曹教育隊』と2~3個の『教育大隊』があります。陸曹教育隊とは自衛隊に入隊して数年勤務し、陸曹候補生選抜試験に合格した隊員が入校する学校で6か月間の訓練を受けた後に3等陸曹に任官します。

教育大隊とは新隊員を教育する教育専門の部隊で3か月間の教育の後職種を決定して各部隊に配属します。この教育団の競技会は新隊員の為の競技会ではなく教育を担当する基幹要員の練度を向上し士気を高揚する為に行う競技会です。

ただし、課程教育履修中の隊員がいる時に競技会はできません。したがって開催時期は教育所要のない時期に設定されます。まず『競技会実施大綱』を作成し、実施年月日と場所、競技の概要などを決定します。

『実施規定』の案を事前に伝達する!

実施日が決定すると競技会を企画運営する教育団の競技会担当者は、競技会に参加する対象の部隊『陸曹教育隊』と『教育大隊』の競技会担当者に『競技会実施規定(案)』を送付します。

実施規定とは、競技の実施要領とルールを定めたものです。競技会参加者の範囲、基準、採点のルール、競技順位の決定方法、表彰の方式など、それぞれの競技の成績の決め方などが実機規定を見れば解るのです。

この実施規定の内容によって各部隊の特性から有利不利が出てくると不公平になるので各部隊の競技会担当者にまず『案』を事前に送付するのです。いきなり教育団長命令で正式文章として発令してしまうと命令になってしまいます。

そうなると著しい不公平があった場合には隷下部隊に大きな不満が生じます。その為、公正公平を期す為に競技会実施予定日の三か月~半年前ぐらい前に実施規定(案)を送付してそれに対する意見を求めるのです。

同じ条件で実行する事を追及する

実施規定を事前に伝達する目的は認識の統一と条件を同一にする事です。事前に実施規定(案)を公表する趣旨は「この実施規定(ルール)で、競技会を実行して明らかに不公平となる問題点があれば理由を添えて速やかに報告せよ。」という意味になります。

なぜそういう事をやるのかというと、実戦部隊は部隊の事情により編制と編成が異なる為です。つまり条件が異なるのです。編制とは定数の事で編成は実際の現有勢力です。純粋な個人競技であればルールが同じであれば不公平はなく、全て自己責任で済ませる事が出来ます。

ところが部隊対抗にした場合は、部隊の事情が異なる為に担当者としては可能な限り条件を同じ条件にして各部隊の練成訓練の成果が正しく競技会の成績に反映するように着衣しなければなりません。

なぜなら普通のスポーツの大会と違って自衛隊の競技会は競技成績を分析して部隊の練成計画の見直しをするからです。つまり最終的には防衛力の強化につながる為に、同一の条件で実施して訓練成果が正確に出やすい実施規定にする必要があるのです。

その為、事前に実施規定(案)を送付し隷下各部隊の担当者の意見を求めます。そして意見を広く求めた方が各部隊の実情を把握できて結果的に公平公正公平なルールを探し出せるというメリットがあるのです。

ルール一つで不利になる部隊

実施規定の内容で成績が変わる実例を挙げるとします。例えば持続走競技会で対象者を『所属人員の80%』競技会除外対象者を『入院中の隊員』『各種学校に入校中の隊員』と規定したとします。

すると、特定の大隊から方面隊の命令で教育入校者が多く出て、その中に部隊の持続走のトップランナーばかりいたとすると通常の競技方式にするとその部隊は平均タイムがかなり落ちるので順位が下がります。

これは、上級部隊の命令によりものなので当該部隊には責任はありません。それなのに競技成績が悪いと評価されれば部隊の士気は下がります。その為、こういう場合には何らかの救済処置をしなければいけません。

例えばその部隊だけタイムの遅い隊員をエースが抜けた分だけ認めるという具合です。実際にこういう極端な事例はまず起こりません。それに、こういう片務的な配慮は返って公正さを欠く場合もあります。

これは競技の実施規定をできる限り公正を期すという説明の為にあえて仮定の事情を設定してみたという風に理解していただければ幸いです。

競技会実施計画の作成

実施規定(案)に各部隊の担当者が同意すると各部隊は競技会の為の練成計画を立て実施規定に沿って訓練を始めます。各部隊の担当者が同意したという事は部隊長に報告して許可を得ているので各部隊長が同意したことになります。

教育団の競技会担当者は、実施規定を正式に発令し競技会実施計画を作成します。まず一番、最初に作成するのは競技の進行をする為の競技会の勤務編成です。

射撃競技会、持続走競技会それぞれに統裁部、審判部、安全係、管理班などを編成し競技会までの業務計画を作成します。業務予定を時系列でみた場合の大事な項目は、監督会議、調整会議、勤務員調整会議の日程です。

そして、競技会当日の宿泊計画を第4科に依頼します。当日は各部隊の隊員が数百名宿泊することになるのでベッドの準備、食事の手配を依頼するのです。

表彰式と賞品の準備

競技会の賞状、賞品は教育訓練費及びその他の国費で計上します。そして表彰状は第1科に依頼し賞品の内容は表彰区分について競技会実施計画に含めて決裁を受けます。

これらの第1科に関する事は表彰など。そして第2科に関する事は、情報、通信、警備。そして、第3科は競技会を担当します。また、第4科は競技会に参加する部隊の燃料補給、宿泊、食事の計画を立てます。

それらの項目は競技会実施計画に全て含めなければ国費つまり防衛予算を使えません。したがって実施計画はそれぞれの科の主務者と各科長の『合議(あいぎ)』が必要になります。

ちなみに決裁というのは最高責任者に許可を受ける場合を言います。この場合は教育団長の決裁を言います。副団長以下の同意を得る行為は『指導受け』と言いその許可印を合議と言います。

競技会の会場準備について

実施計画の決済が終わると、正式に競技会実施計画を発令します。この実施計画は1か月~2か月前に発令します。本格的な会場準備は数日前でいいのですが、持続走競技会であれば5キロ競技、10キロ競技、駅伝など種目に応じて正確なコースの距離の計測から始めます。

そして、安全係、審判部の計測係、あるいは競技の進行状態をアナウンサーの連絡する要員などの細かい配置を決めます。通常、教育団規模の大会になると、大会運営に携わる勤務員の無線機だけでも相当な数になります。

また、各部隊の所要タイムが直ぐに表示できるように採点方式に合わせた記録用の計算シートを作成します。複雑な関数のシートが必要な場合は、上級部隊の方面総監部の訓練科システム班に依頼すれば数日で作成してくれます。

射撃競技会の場合は、射撃の標的は規則で決まっているので採点係と監的係に対する勤務要領を徹底します。以前は射撃をする目標地点に的を上下させる作業をする監的係を配置して採点もしていました。

近年は設備の普及によりレーザー評定により射手のいる射座の位置で採点する事が出来る射場が増えています。しかも標的も自動化が進んでいて勤務員が少なくて済むようになりました。

開会式及び閉会式の準備

競技会実施の準備が進んでくると、開会式及び閉会式に必要な資材などの準備をします。通常、体育館で行い開会式の垂れ幕や優勝旗返還などの際の整列する場所を決定して体育館に表示するなどの作業をします。

また、開会式と閉会式の際に隷下各部隊の選手の前で訓示をする教育団長の訓示を作成し、その内容について決済を受けます。また競技結果が出た場合の速報の掲示要領、などの進行についての最終チェックをします。

最後の仕事が監督会議

競技会の物理的準備は実行すれば終わりますが、競技開始前に最も重要な仕事が勤務員の調整会議です。これは最低でも2回、まず各勤務員部の責任者との調整会議を行い、全員に競技会の時程に合わせて実施要領を徹底します。

そして、最後の詰めの準備が監督会議です。単に実施規定だけでなく各部隊の移動計画、行動の統制事項などの徹底を図ります。この監督会議も通常二回行われ、最終の会議は競技会数日前に実施します。なお監督会議と調整会議は前後する事があります。

競技会当日は結果の集計は訓練科が行う

計画を作成し、調整会議、監督会議が終われば担当者の仕事は90%終わっています。あとは当日の競技を総括するだけで、競技の進行は競技会実施計画によって勤務編成表に定めた各種の勤務員が実施します。

勤務編成は教育団規模の競技会の編成ならば、幹部自衛官だけで5名は配置し多い場合は、総勢で50名を超える勤務員となるので担当者は当日は、競技が終わるまでは大きな仕事はなく、最後の仕事が競技会の記録の集計です。これは第3科(訓練科)が総力で当たります。

そして、競技が終われば、競技結果を集計し閉会式で表彰が終われば各部隊はそれぞれの所在地へ期待します。そして期待報告の電話連絡が来れば実施大綱に始まった約半年間に及ぶ競技会業務はようやく終わります。

後の残務整理は競技会実施成果の『成果報告』です。これを作成して教育団競技会の成果報告について教育団長の決済が下りれば、競技会に関する全ての業務が終了します。

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