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【海外事例研究】韓国 ソウル市の「物価」とその課題

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韓国といえば、日本よりも物価が安く、旅行の際に食事や買い物にお得感があるイメージが強いのではないでしょうか。

ところが、物価が安かったのはもう昔の話になり、最近は毎年の物価上昇に「上がらないのは月給だけ」とも言われるようになりました。

日本と生活様式も似ている韓国ソウル市における生活事情についてお話ししましょう。

目次

まだまだ安い水道・光熱費

ここ何年かの経済成長を背景に韓国では最低賃金が引き上げられ、それに伴って物価もじりじりと上がってきています。

しかし、日本に比べてまだまだ安いのが水道・光熱費。これらは日本とは比べ物にならないくらいに安いです。

私が現在住んでいるのはソウル市内の3LDKのマンション(韓国ではアパートと言います)です。6畳ほどの部屋が3つ、LDKは14畳くらいでしょうか。この家で小学生の子供2人を含む家族4人で暮らしています。

このような基本情報を踏まえた上で読んでいただくと、光熱費の安さがお分かりになると思います。

水道代

明細を見ると、この3ヶ月間、使用料は毎月全く同じで(偶然ですよ)24m3、料金は20,500ウォンです。2018年2月現在のレートでは大体10ウォン=1円と考えればよいので、日本円にして2,050円になります。

韓国には日本のような風呂釜がないため、浴室に浴槽はあってもお湯をためてのんびりお湯に浸かるということは基本的にはしません。私は時々お風呂に入りたくなるのでお湯を張ることがありますが、追い炊きができないため、あまりのんびりできないのが残念なところです。

よって、毎日お風呂を立てる日本の家庭と比べるとお湯を使う量が違うのかもしれません。そうは言っても、シャワーでも冬場は体を温めるために温かいお湯を流しっぱなしにしたりするので、結構な水量を使うんですよね。

場合によってはお風呂よりもたくさん水を使っているかもしれません。


電気代

電気代が一番怖いのは夏場、エアコンを使う時期でしょう。韓国もこのところ夏場の暑さが厳しいので、エアコンがある家では大量に電気を使っていると思います。

ところで、私の家にはエアコンがありません。ソウル市内とはいえ近くに山もある自然の多い立地にマンションの19階ということもあり、風が通るだろうと見込んで引越しの時にエアコンを買いませんでした。結果、本当に暑い日はエアコンがあれば…と思うこともありますが、5年間エアコン無しでなんとかなっています。

そういうわけで夏場は扇風機がフル回転なのですが、それでも1年を通して1ヶ月の電気代に大きな差はありません。少なければ21,000ウォン(2,100円)、多ければ30,000ウォン(3,000円)といったところです。

使用量にして、210kWh~270kWhくらいで大体収まっています。

私のマンションは日本でいうところのニュータウンのようなもので、いわゆる団地なのですが、光熱費のほとんどはマンション管理費の請求書に記載されています。そこには団地内で同じ広さの家に住んでいる世帯の平均電気使用量が載っているのですが、私の家庭は大体平均値となっています。

ということは、エアコンの有無に関係ないですね。私も、今初めて気づきました…。

ガス代

1年を通して最も月々の差が大きいのがガス代です。ご存知の方も多いかと思いますが、韓国では家全体に床暖房が設置されていて、冬場の暖房は基本的にこれです。エアコンには通常、暖房機能はありません。

ガスによってお湯を作り、それを床下に通っているパイプに流すことで床暖房になる仕組みなので、冬場にはガス代が跳ね上がります。

直近3ヶ月のガス代を見てみましょう。

2017年11月 → 22,660ウォン(2,300円)

2017年12月 → 66,260ウォン(6,600円)

2018年1月 → 120,420ウォン(12,000円)

ちなみに、ここ1年で一番ガス代が少なかったのは2017年9月の9,670ウォン(970円)でした。これは前月に使用した量について翌月に請求が来ることから、8月は家族みんなでの日本への帰省によってガス代が低かったわけです。

ガス代

とても安い「交通費」

公共交通のサービスの質はさておき、交通費は今のところ、かなり安いです。

ソウル市内でのタクシーの初乗り料金は3,000ウォン(300円)。少し高級な模範タクシーは初乗り5,000円(500円)ですが、料金の差ほどサービスに違いは感じられません。もちろん、韓国に慣れていない旅行者などは、模範タクシーに乗るほうが安心かもしれませんが…。


地下鉄も国鉄も、料金に差はありません。国鉄の場合、新幹線クラスの特急ではもちろん料金体系が別ですが、ソウル市内を走っている普通電車は地下鉄と同じ料金です。

韓国では日本でスイカが導入される以前より「交通カード」と呼ばれるチャージ式の公共交通料金決済カードが普及していました。現在でも、大人も子供もバスや地下鉄に乗るときには交通カードを使うことが多いです。

いちいち現金を出すのが面倒ということもありますが、交通カードを使うと現金よりも料金が100ウォン(10円)安くなり、年に一度の年末調整の時にも交通カードを使った金額が課税標準金額から控除されるので、その方がお得なのです。

ちなみにこの「地下鉄」ですが、ソウルでは電車=地下鉄です。日本で「バスじゃなくて電車で行くよ」というのは、韓国ソウルでは「バスじゃなくて地下鉄で行くよ」となります。

話がそれましたが…この地下鉄料金。初乗りは交通カード利用で1,250ウォン(130円)、現金の場合は1,350ウォン(140円)です。10kmまでは初乗り料金で行き、10kmを過ぎると5kmごとに100ウォン(10円)が追加されます。

電車で10kmの距離がどれくらいかと言うと、東京の山手線で渋谷駅をスタートして外回りでは大塚駅まで、内回りでは田町駅までですので、イメージはつかんでいただけるでしょうか。

市内バスも大体同じ料金体系で、こちらは初乗り1,200ウォン(120円)、交通カード利用の場合です。現金割増と走行距離による計算も同じになっています。

交通カード1枚で、市内バスと地下鉄の乗り換えも問題なくできます。バスを降りて地下鉄に乗り換えた時には、改札口で「乗り換えです」と電子音が鳴るようになっていて、10kmを過ぎて5kmごとの加算は、バスと地下鉄を通算する仕組みです。

ちなみに、今挙げた料金は全て大人料金で、当然ですが子供用の割引料金もあります。韓国では、大人、青少年(高校・中学生)、子供(小学生)の3種類に料金が分かれていて、青少年は大人の60%、子供料金は大人の約35%となっています。

家計を圧迫するのは「食費」!

光熱費と交通費だけを見ると「なんだ、やっぱり韓国は日本より物価が安いじゃないか」と思うかもしれません。しかし注目していただきたいのは、人間が生活していく上で欠かせない食費の部分です。

兼業ではあるものの、家庭の主婦である私を一番泣かせるのが食費です。こちらは日本に比べると特別に何が高い、というわけではないのですが、1パックの量が多くその分値段も高いからか、買い物に行くと何故かすぐに3~4,000円ほど飛んで行ってしまいます。

具体的に食材の値段を挙げてみると、ほぼ日本と同じで牛乳1Lが200円ちょっと、卵10個が250円ほど。物によって日本より高かったり安かったりばらつきはありますが、トータルで見てみると日本と同じくらいだと思います。

但し、韓国では未だに「大量買い」を強いられる部分があります。例えば玉ねぎ。1つの袋に入っている玉ねぎの個数が多いんです。「今日はカレーだから中玉2個でいいや」という時でも玉ねぎ8個を買うことになってしまうんですね。

一度に大量に買ってもちゃんと使い切ればいいので、値段の問題とは別なんですが…。

しかし、大量に買わざるを得ないということは、私のような兼業主婦には辛い部分もあるんです。例えば家にある食材をきちんと把握していなくて腐らせてしまったり、冷蔵庫に残っているのに買ってしまうという無駄も発生してしまうので。

日本に比べると実際にはそれほど高くない食材の値段を、どうして私は高いと感じてしまうのか。その理由には二つあります。

一つは、韓国の最低時給が7,530ウォン(760円)ということ。これは2018年に引き上げられました。東京は現在958円なので、時給が200円ほど違うにもかかわらず、物価はほぼ同じという理不尽さを感じます。

もう一つは、韓国には多様性が無いこと。どういうことかと言うと、韓国には激安スーパーや激安売りをする日などがないのです。激安売りは、言葉ではそう言ってスーパーで特売日を設けたりしていますが、たいしたお得感のない値段設定のため、安さを実感できないのです。

日本は、高いものを食べたい人はいくらでも高いものを食べられる一方で、節約して安い食材を選びたい人はそれができるシステムです。毎日激安スーパーで買い物をすれば、食費はかなり節約できるのではないでしょうか。


赤い卵

まとめ

最低賃金や光熱費が安い一方、食材や洋服などの値段は日本と変わらない韓国。このアンバランスに多くの国民は不満を抱えています。

一刻も早く景気が良くなることを、切に願う毎日です。

本記事は、2018年2月13日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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