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【アメリカ州制度】世界で初めて憲法を作った州「コネチカット州」解説

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コネチカット州


日本人にとってあまり馴染みがないかもしれないコネチカット州ですが、アメリカにとっては歴史上とても重要な州で、アメリカの基礎となった「13植民地」のひとつです。

コネチカット州は早くから教育に重点を置いた政策をとり、イギリスからやってきたプロテスタントたちがイギリスの名残を多く残した場所としても有名です。今回は、そんな歴史上重要な意味を持つ州のひとつであるコネチカット州について詳しく解説します。

目次

コネチカット州の特徴

コネチカット州は総人口が約360万人で、人口は2000年から20万人程度しか増えていません。人口が増えない要因のひとつとも言われているのが、狭い面積です。コネチカット州はアメリカのなかで3番目に狭い州で、東京都の7倍程度の面積しかありません。

コネチカット州はアメリカの北東部にあります。ニューヨークの少し上にあると考えるといいでしょう。大西洋に繋がるロングアイランド湾に面しており、夏は湿気を含んだ暑さになり、冬は海風が吹き込む寒さになります。10月から11月にかけては紅葉が見られることから、その時の様子はイギリスにいるような感覚になると例える人もいるほどです。

コネチカット州は街の名前にイギリスにちなんだ名称が付けられていることが多く、州内にはテムズ川があり、グリニッジ、ニューブリテン、ストラスフォード、ニューロンドンなどイギリスを彷彿させる名称が各所に付けられています。

政治、芸術、宗教、経済など様々な業界において多くの著名な人物を輩出した州としても知られ、アメリカ合衆国第43代大統領を務めたジョージ・W・ブッシュや、ハリウッド映画界最高と評されるキャサリン・H・ヘプバーンが生まれた州としても広く知られています。

世帯収入の平均が全米で2位とされており、アメリカのなかでも裕福な家系が多く、さらにはイギリスの伝統や文化を尊重する人もいるため、アメリカ国内では「お堅い州」というニックネームが付けられているほどです。

コネチカット州は、アメリカのなかでもイギリス気質が今もなお残っている州と言えるでしょう。

コネチカット州の歴史

コネチカット州は、1788年にアメリカの5番目の州として正式に認められました。州名のコネチカットは、州内を東西に分けるようにして流れている「コネチカット川」に所以し、もともとこの地域で生活していたインディアンの言葉で長い川を意味する「Quinnehtukqut」が語源とされています。

1614年、オランダ人探検家がこのエリアに初めて足を踏み入れました。当時は、インディアンのモヒガン族が生活していましたが、インディアンとの毛皮交易のために現在のハートフォード周辺に拠点を構えました。

1635年、既にマサチューセッツ湾植民地で生活していたジョン・ウィンスロップが現在のコネチカット州の土地に新しい植民地を作る許可をもらい、オールドセイブルックに植民地を作ります。後にコネチカット州を構成することになる3植民地のひとつ目が誕生しました。


1636年、イギリスで有名だったケンブリッジで神学の教授をしていたトマス・フッカーがハートフォードに2つ目の植民地を作ります。1638年には、ニューヘイブン植民地がジョン・ダベンポートやセオフィラス・イートンなどによって作られ、主な3つの植民地が構成されました。

その後、次々とギルフォード、ミルフォード、スタンフォード、ニューロンドンなどの植民地が築かれていき、ハートフォードで毛皮交易をしていたオランダ人たちは1654年には押し出されるような形で撤退します。

1939年、点在していたこれらの町はコネチカット植民町として統合され、世界で初めて書かれた憲法とされる「The Fundamental Order of Connecticut」が採択されました。

後に作成されることになる、アメリカ合衆国憲法の著者のひとりであるロジャー・シャーマンは、コネチカット州のニューヘイブン出身ということもあり、コネチカット州はアメリカ合衆国憲法に大きな影響を与えた存在とされています。

諸説あるものの、世界で初めて憲法を書いた州であることや、アメリカの憲法を書いた人物の出生地ということもあり、コネチカット州は「憲法の州」とも言われています。

このようにコネチカット州は、いくつかの植民地の集合体で、自らが憲法を作ったことが最大の特徴です。定義が異なるため一概には言い切れませんが、コネチカット州こそがアメリカの基礎を作ったと考える人もいるほどです。

コネチカット州の政治情勢

コネチカット州は2012年と2016年の大統領選の際には民主党を支持しています。この背景には、多人種の州ということが深く関係しています。

ニューイングランドと呼ばれるこのエリアは、他州と比較して白人が多いものの、海を越えてやってきたヨーロッパ系の移民、そして第二次世界大戦後からはアフリカ系アメリカ人や、ヒスパニック系が増えてきています。その結果、リベラルな政党の方が支持されやすくなっているのです。

コネチカット州はニューイングランドのなかでも多人種な州として有名で、お堅い州と言われる割には自由で柔軟な発想があるのが特徴です。

コネチカット州の経済

コネチカット州の失業率は4.6パーセントで、アメリカの平均値と同じ程度です。2012年以降回復傾向にありますが、常に5パーセント付近で推移しています。

コネチカット州は古くから大砲、ピストル、ライフルなどの銃器の生産が盛んでした。リボルバー式の拳銃はコネチカット州出身のサミュエル・コルトが開発したことで知られています。

この開発に代表されるように「コネチカット州はアメリカの武器の運命を作った」と讃えられるようになったほどです。現代でも原子力潜水艦や軍用のヘリコプターなど軍事産業が栄えています。

また、コネチカット州の州都であるハートフォードは「アメリカの保険の首都」とされており、アメリカの保険産業はハートフォードから始まった歴史があります。現代まで続く保険産業もコネチカット州の主力産業です。

コネチカット州の税金

2018年時点のコネチカット州の消費税は6.35パーセントです。州税だけが6.35パーセントかかり、他州のように地方税がかかることはありません。

所得税は3パーセントから6.7パーセントまでの6段階に分かれています。コネチカット州に住んでいながら他州で働いている人は、他州で得た賃金も課税対象になります。この場合、コネチカット州の税額の方が他州よりも高い場合のみ徴収されます。


反対に、他州で支払った税額がコネチカット州の税額よりも低い場合はコネチカット州に税金を収めなければいけないという、州をまたぐ移動が多いコネチカット州ならではの複雑なルールがあります。

コネチカット州では、2011年に廃止されたものの50ドル以下の衣類は非課税というユニークなルールがありました。また、秋から始まる新学期前には子供たちを支援する意味で、学業に関連する特定の商品が1週間だけ非課税になるルールもあります。

コネチカット州の銃や薬物問題

コネチカット州は医療目的でのマリファナの利用は許されていますが、娯楽目的は禁止されています。

お堅い州として知られてきたコネチカット州は全面的に禁止していたマリファナを2008年に医療用に限って解禁しました。同じニューイングランドで、お隣のマサチューセッツ州が2016年から全面解禁したことが今後コネチカット州にどのように影響するのか注目されています。

コネチカット州の銃による犠牲者は10万人に対して5人、購入時のバックグラウンドチェックなど銃に関する規制も厳しく、銃に対する取り組みは全米でもカリフォルニア州に次いで2番目に優秀とされています。

しかし、2012年には小学校の児童20名を含む26人が犠牲になったサンディフック小学校銃乱射事件が起こりました。当時のオバマ大統領が涙ながらに全権力を行使してでも同様の事件を防ぐと演説したことは日本でも話題になりました。

コネチカット州の教育または宗教事情

コネチカット州は、建国前の段階から教育に力を入れており、世界的に有名なイェール大学や、コネティカット州立大学があります。いずれの大学もアメリカでトップクラスとされており、アメリカ国内に限らず世界中から優秀な学生が集まります。

また、アメリカで初めての法学校であるリッチフィールド法学校や、アメリカで3番目に古いハートフォード公立高校など、教育そのものに歴史を感じさせるのが特徴です。

コネチカット州では80パーセント近くがキリスト教ですが、アメリカのなかでもユダヤ教徒が多い州でもあります。無宗教という人は10パーセント未満でアメリカの平均よりも低く、信仰心や宗教観からも歴史を感じます。

まとめ

コネチカット州は面積こそ狭いものの、アメリカ史において世界で初めて憲法を作った州として広く知られています。また、アメリカ建国の基礎となった13植民地のひとつでありながら多人種という側面も特徴的です。

コネチカット州を知る上で、世界初の憲法を作った州であることや、イェール大学のような高水準の教育に注力してきた歴史、ジョージ・W・ブッシュの出身地として覚えておくといいでしょう。

本記事は、2018年7月12日時点調査または公開された情報です。
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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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