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元・刑務所長が語る国家公務員「刑務官」に求められる資質

元・刑務所長に「刑務官」に求められる資質についての考えをご紹介します。国家公務員専門職の中でも刑務所といった特殊な施設で勤務・業務にあたる「刑務官」、その資質とはどのようなものでしょうか。執筆は、元・刑務官の小柴龍太郎氏です。

2017年04月27日更新

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目次
まずは、優秀な刑務官はどんな人でしょうか?
続いて、困った刑務官はどのような人でしょうか?
大事な素養だけど、困るのが、正義感が強すぎる人?
まとめ
刑務官の資質

私はいろんな刑務所や拘置所で勤務し、所長もやりましたので、たくさんの刑務官を知っています。とっても優秀な人もいれば、大変困った人もいました。そんな経験から刑務官に求められる資質のようなものを振り返って整理してみたいと思います。

まずは、優秀な刑務官はどんな人でしょうか?

まずは優秀な刑務官です。これをひと言で言うと「良き社会人」。そういうことになるように思います。何の変哲もない答えですが、受刑者の処遇もよくできて、同僚や上司・部下との関係も良好にこなせる。そんな人をひと言でいい現わすと「良き社会人」とならざるを得ないように思えるのです。

受刑者の年齢は10代から80代以上とピンキリ。性格もさまざまだし、やった犯罪もいろいろ。それらの受刑者に硬軟使い分けて指示を出し、その信頼を勝ち得てまとめていく。それには刑務官の人柄が重要ですし、世の中の常識(社会通念)をよくわきまえている必要があります。

受刑者処遇に当たって刑務官は武器を携帯しません。欧米などでは銃を持っているようですが、日本ではそれがない。日本の刑務官はその人間力で受刑者を従わせるのです。いわばオヤジのような威厳と懐の深さが武器です。理想は「気は優しくて力持ち」。ふだんは温厚だが、いざとなればビシッと叱れる。あるいは身体を張って抑えられる。そんなイメージです。

イザという時のためには高い身体能力も求められますので、スポーツで身体を鍛えた人は更に適性が高く、柔剣道の有段者なら最高です。武道で鍛えた人には何かオーラのようなものがあり、声も大きく、受刑者の信頼をいち早く得られるようです。また、受刑者に襲われても制圧できる自信があるから言動に余裕が生まれ、この余裕がいい仕事をします。

「え~、オレ武道の経験などないよぉ~」という人も大丈夫。武道は刑務官になってからもできるからです。刑務官になると柔道か剣道のいずれかを選んで稽古することが義務づけられるのです。これが嫌な人は刑務官を諦めた方が無難かもしれません。

続いて、困った刑務官はどのような人でしょうか?

一方、「困った刑務官」とはどういう人かというと、まずはやっぱり社会性がポイント。

この社会性に欠けた人は、仮に採用試験をうまくくぐり抜けて刑務官になったとしても、受刑者を処遇させるとすぐ馬脚を露します。そういう刑務官は受刑者の信頼が得られず、指示命令に従ってもらえません。声を荒げても、受刑者は「フン」といった顔をする。そういう意味では受刑者はとても素直なのです(自分に正直)。仮に従うとしても「面従腹背」であり、腹の中では「なんだよ、このバカ!」くらいに思っている。これではとても受刑者処遇はできません。

それに、そもそも受刑者の更生というのは、ある意味彼らを健全な社会人にすることですが、それを導く役割の刑務官が非常識な人間だったら、これはどうしようもありません。

大事な素養だけど、困るのが、正義感が強すぎる人?

困った刑務官のもう一つのタイプはやたら正義感の強い人。刑務官は罪を犯した人を相手にするので、正義感が強いに越したことはないと思われるかもしれませんが、カチンコチンの正義感の持ち主はとかく問題を起こします。

だいたいそのような刑務官は受刑者から嫌われますから指示命令に素直に従ってくれません。それが問題の第一。それに、正義感が爆発して手を出したり足を出したりする刑務官もいますが、それをしたら「ジ、エンド」。刑務官自身が罪に問われることもあって、刑務所としては余計な手間暇がかかって困りますし、そのような刑務官は受刑者を相手にする仕事はできなくなるので、これも刑務所としては職員の配置上困ったことになります。

こういうことですからホドホドの正義感がいいと思うのですが、分かりやすい例は池波正太郎の鬼平犯科帳に出てくる長谷川平蔵。自分自身が若い頃やんちゃをやっていたので悪さをする人の気持ちなどを知っていて、その上で悪を許さない正義感も持っている。絶妙のバランスだと思います。

まとめ

ということで、あなたがもし良き社会人でスポーツ(特に武道)を愛する人だったら、刑務所はそんなあなたを待っています。刑務所の門を叩きましょう。

(文:小柴龍太郎)

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