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【肩を叩いたら訴えられる?】刑務官の必須知識「暴行陵虐罪」について

特別公務員暴行陵虐罪(ぼうこうりょうぎゃくざい)について、実際の刑務官を事例に解説します。裁判や検察、警察の職務やそれの補助をする職務を行う公務員、公務員の中でも、「特別公務員」として定義されています。

2017年04月28日更新

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目次
特別公務員暴行陵虐って?
ある刑務官がモノサシで受刑者の頭のコツン・・・
刑務官をおとしいれる?
甘い認識はプロ失格!「特別公務員暴行陵虐罪」のもつ意味
現場では「受刑者に触るな!」と指導
まとめ スキンシップは塀の外で
刑務官の必須知識「暴行陵虐罪」について

特別公務員暴行陵虐って?

「特別公務員暴行陵虐罪」とは、「裁判,検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が,その職務を行うに当たり,被告人,被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたとき」に7年以下の懲役または禁錮に処さえる罪で、刑法195条に定められています。

当然、名称にある通り、特別公務員が対象したものです。内閣総理大臣などの特別職の国家公務員とは別なので、似ていますが、注意が必要です。

ある刑務官がモノサシで受刑者の頭のコツン・・・

ある刑務官がモノサシで受刑者の頭のコツンとやりました。作業中に隣の受刑者とおしゃべりをしていたからです。「こら、まじめにやれ」くらいの意味だったのですが、次の日、その受刑者は刑務官を「特別公務員暴行陵虐罪」で訴えました。

「え~、そんなことで刑務官が罰せられるの?」と思う人は多いでしょう。ところが、受刑者の手紙を受け取った警察は、受刑者と刑務官から話を聞いた後、事件として検察庁に送致するかもしれないと刑務所に伝えてきました。受刑者の頭には傷跡が残っているから放っておけないとのことで、罪状はまさに「特別公務員暴行陵虐罪」。

刑務官をおとしいれる?

驚いた刑務所は独自で調査を開始。すると、その受刑者の同室者の証言が得られました。刑務官にコツンとやられた夜、その受刑者は部屋の中で自分の頭をモノサシで叩いていたとのこと。

どうやら自分で頭を傷つけ、それで刑務官を訴えたという疑いが出てきました。その後、警察も精査した結果、受刑者のでっち上げだったことが分かり、事は無事に済みました。

受刑者の中にはそうやって刑務官をおとしいれたり、刑務所の落ち度として訴えたりすることが少なくありません。刑務官に対する嫌がらせが目的だったり、国から損害賠償金をせしめたりする魂胆なのです。アルバイトをやっているつもりなのかもしれません。

甘い認識はプロ失格!「特別公務員暴行陵虐罪」のもつ意味

それはともかく、この「特別公務員暴行陵虐罪」ですが、刑務官はこの罪を良く理解していないと我が身を危うくし、家族を路頭に迷わしてしまうことになりかねません。というのも、この罪には罰金刑がなく、最低が懲役刑か禁固刑だからです。そして、仮にこの刑が言い渡されると、たとえ執行猶予がついても刑務官は職を失うことになるからです。

刑務所に収監される実刑でなくても、懲役又は禁固刑の有罪判決が確定すると公務員は自動的に失職するという規定があります(国家公務員法)。もし罪状が重い場合には刑罰のほかに行政罰として懲戒免職となってしまう可能性もあり、いずれの場合でも職を失うほか退職金も出ないので、本当に路頭に迷うことになります。公務員をクビになると、そのような人を雇うところも少なくなって、再就職もままならないのです。

それにしても「モノサシでコツン」で有罪判決はないだろう、と思う人も多いかと思います。しかし、それは甘い。ぜんざいに砂糖とハチミツをかけたくらい甘いです。

現場では「受刑者に触るな!」と指導

刑法上、人の身体に対して「違法な有形力を行使」すると暴行罪となります。

誰が見ても軽微なものであれば違法性なしとして立件されることはないでしょうが、刑務官と受刑者が1対1のような場合には目撃者がいないので要注意です。場合によっては受刑者の主張(ウソ)が通り、刑務官が危機に追い込まれる可能性もあるのです。「頑張れよ!」と肩を叩いたら訴えられたという例もあります。ですから現場では「受刑者に触るな!」と指導されます。

身体的な接触がなければ「暴行された!」などと言われることはないからです。

さらにもう一つこの罪の怖いところは、暴行のほかに「陵虐」も罪に問われることです。難しい言葉ですが、要は「精神的・肉体的な苦痛を与えること」です。理由もないのに受刑者を裸にしたり、用便に行かせなかったり、ほかの受刑者の前で笑いものにしたりするとこの罪に問われる可能性があります。長時間の正座も要注意です。学校などで行われるいじめの大半は、刑務官がやったら即クビになることを覚悟しなければなりません。

まとめ スキンシップは塀の外で

このように、特別公務員暴行陵虐罪は刑務官にとって特に注意が必要な罪です。刑務官はほかの公務員よりもしっかりと我が身を律して仕事をする必要があるのです。スキンシップは塀の外でやりましょう。

(文:小柴龍太郎)

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