年金運用によるこれまでの利益が初めて100兆円を突破しました
日本の公的年金の積立金を運用している「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」は2021年の4~6月期の運用実績が、4兆9819億円の黒字だったことを発表しました。
また、2001年度からの累積収益額が初めて100兆円を超えたことも発表しました。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)とは?
年金積立金菅理運用独立行政法人(GPIF)は、日本の厚生年金保険事業と、国民年金事業の安定のために目的としている組織です。
年金積立金管理運用独立行政法人の略称はGPIFで、Government(政府)、 Pension(年金)、 Investment(投資) 、Fund(基金)という意味があります。
GPIFは、人口減少社会であっても日本の公的年金制度が持続できるように、年金積立金として余っているお金を投資に回し、運用している機関です。積立金を運用して増やすことで、年金として支給するお金が少なくなった時に、増えたお金でまかなうことができ、将来、支給額が目減りすることを防いでいます。
なお、「年金積立金管理運用独立行政法人」については、以下の記事をご参照ください。
》厚生労働省所管の独立行政法人「年金積立金管理運用独立行政法人」に就職するには?
厚生労働省所管の独立行政法人「年金積立金管理運用独立行政法人」は、公的年金のうち、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運営を行う機関です。この記事では、「年金積立金管理運用独立行政法人」の役割や、就職するための方法を解説します。
そもそも累積収益額とは?これまでの運用により、得られた利益の合計のこと
今回、GPIFが初めて累積収益額が100兆円を超えたと発表しました。
GPIFの前身となる組織、年金資金運用基金の設立され、年金積立金の運用が始まったのが2001年でした。
2001年以降、当初はマイナスだった収益も、グラフのように成長しています。リーマンショックが発生した2008年度は収益が一時下降傾向にありましたが、その後持ち直し、2021年度に100兆円を超えるまで成長しています。
四半期別収益率を見ると、2018年度や2019年度には大きなマイナスとなる四半期もありましたが、全体としては大きく成長してきたことがわかります。
補足情報:2012年自民党政権より上昇がみられる
〜2001:森政権(自民党)
2001:小泉政権(自民党)
2006:安倍政権(自民党)
2007:福田政権(自民党)
2008:麻生政権(自民党)*リーマンショック
2009:鳩山政権(民主党)
2010:菅直人政権(民主党)
2011:野田政権(民主党)
2012:安倍政権(自民党)
2020:菅義偉政権(自民党)
GPIFのこれまでの年金運用実績。平均の利回りは3.78%と成長傾向。
次に、GPIFの2001年度以降の「実質運用利回り」の推移についてご紹介します。
「運用利回り」とは?
「運用利回り」とは、資産運用を行った結果、投資した元本に対してどの程度の収益が得られたかを示すものです。
例えば、投資した元本が100万円で、1年で5万円の収益があれば、その年の運用利回りは5%です。
▼参考URL:厚生労働省|いっしょに検証!公的年金:用語解説(運用利回り)
(https://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/glossary/a/a_unnyou.html)
2001年度以降の運用利回りは、マイナスの年もある。
年金積立金の運用が始まった2001年以降、運用利回りを見てみると、利回りが2桁以上の年もあれば、マイナスとなっている年もあります。
年単位では運用結果がマイナスになり、不安な年もありますが、長期的にみて2001年から2021年の20年間の運用利回りを平均すると、先ほどもご紹介した3.78%のプラスとなり、100兆円もの収益をあげてきたということがわかります。
GPIFの「ポートフォリオ」とは?GPIFの投資先の構成のこと
GPIFについて、注目されているのが「ポートフォリオ」です。「ポートフォリオ」は資産の構成のことであり、下記のような円グラフで表現されることが多くなっています。
「年金積立金」という国民の大切な財産を、ハイリスクな投資先に投資し、万が一投資に失敗してしまっては大変なことになりますので、GPIFは投資のプロとして、より安全に堅実に成長できる投資先に、分散して投資をしています。
2021年度は、株式、債券それぞれ国内と外国のものが25%ずつで構成されています。近年のポートフォリオの特徴としては、外国株式や外国債券の割合が大きくなってきたということがあるようです。
大きな割合だと、2020年3月までは、国内:外国=6:4だったところ、2020年4月以降は5:5になっています。この構成割合の変化により、GPIFは2020年度は大きな収益を得たようですが、海外資産に偏ってしまうと、「為替」の影響を受けやすくなるといった新たな問題も出てきます。
日本で年金を積み立てているという方は、今後の年金積立金の運用状況を注視していくことが大切になってきそうです。
まとめ - GPIFの採用情報
このページでは、年金積立金を運用し、増やすことで、日本が人口減少しても公的年金制度を続けられるような取り組みを行っているGPIF=年金積立金管理運用独立行政法人という組織についてご紹介しました。
公務員を目指している方で、GPIFの仕事に興味を持った方は是非下記をご覧ください。
GPIFの職員には3年以内の任期付きで高度な知識や経験が求められる「運用専門職員」と、無期雇用となる「正規職員」の、大きく2種類の職員がいます。
運用専門職員になると給与は「市場水準」をもとに算出されるため、組織の中でも比較的高額になるようです。正規職員の場合の給与や年収は、国家公務員の給与水準と同じ水準となります。
参考サイト
GPIFの最新の採用情報については、公務員総研の解説ページやホームページなどでご確認ください。
》厚生労働省所管の独立行政法人「年金積立金管理運用独立行政法人」に就職するには?
》年金積立金運用菅理独立行政法人(外部サイト)
》年金積立金運用菅理独立行政法人|採用情報(外部サイト)
コメント
コメント一覧 (2件)
読んでいて、ただ単純に良かったなぁと。私自身会社員のため、年金は老後を支えてくれる大事なテーマでもあるので、このニュースは喜ばしく感じました。
年金積立金が投資で運用されていることは知っていましたが、具体的な結果を過去の分から遡って見ることができたのが良かったです。マイナスになる年もありますが、平均でプラス3.78%の結果であるならこの施策は成功していると思いますし、いつか年金を受け取る身としてはありがたいことです。
政府が個人資産を「貯蓄から投資へ」と促しており、このGPIFの運用結果をわかりやすく国民に示すことで理解が深まり投資が広がると思うので、政府やこの機構がどのように広報しているのかをもっと知りたいです。