世界観光機関(UNWTO)の基本情報

国際連合の専門機関である「世界観光機関(UNWTO)」の組織について基本情報をまとめました。


はじめに

国連の関連機関には、責任ある、持続可能な、普遍的にアクセス可能な観光の促進を目的とするUNWTO(世界観光機関)というものがあります。

本ページでは、「UNWTO」とはどのような組織なのか基本的な情報についてまとめました。

「UNWTO」は世界観光機関のこと

「UNWTO」はWorld Tourism Organizationの略で、日本語に訳すと「世界観光機関」のことです。

「UNWTO」は、国連、つまり国際連合の専門機関の一つで、1975年に「責任ある、持続可能な、普遍的にアクセス可能な観光の促進」を目的とした国際機関として設立され、2003年に国連の専門機関に格上げされました。

なお、日本が「UNWTO」に加盟したのは、1978年です。

「UNWTO」の組織体制について

「UNWTO」の本部は、スペインのマドリードにあり、総会・地域委員会・執行理事会・技術委員会・事務局によって構成されています。

総会

総会は、加盟国と加盟地域で構成される主要会合で、賛助加盟員とその他の国際機関の代表はオブザーバーとして参加します。

2年ごとに開催され、活動の予算やプログラムを承認し、観光分野における重要性の高いテーマについて議論し、4年ごとに事務局長の選挙が行われます。

なお、世界観光倫理委員会は、総会の補助機関です。

地域委員会

地域委員会は、アフリカ・米州・東アジア・太平洋・ヨーロッパ・中東・南アジアの6つの地域にある委員会で、少なくとも1年に1度会合が開かれ、全ての加盟国と当該の加盟地域が出席します。

「UNWTO」は、163カ国の加盟国と準加盟国、2永久オブザーバー、地方自治体や教育機関、観光団体、民間セクターの企業など、500人以上の賛助加盟員を持ち、先の6つの地域に該当する賛助加盟員は、オブザーバーとして地域委員会に参加します。


執行理事会

執行理事会は、運営を担う組織で、活動実施および予算厳守に責任があります。

少なくとも1年に2度の会合が開かれ、加盟国5カ国につき1か国の割合で総会において選出されたメンバーが出席します。

本部があるスペインは、執行理事会の常任理事国で、加盟地域と賛助加盟員の代表は、執行理事会の会合にオブザーバーとして参加します。

技術委員会

技術委員会は、管理やプログラムの内容についてアドバイスを行い、プログラム・予算委員会、統計・観光サテライト勘定委員会、観光・競争力委員会、観光・持続可能性委員会、世界観光倫理員会、賛助加盟員申請検討委員会などがあります。

事務局

事務局は、ジョージア出身のズラブ・ポロリカシュヴィリ事務局長が事務局を率い、マドリッド本部で活動する約110名の常勤スタッフの監督にあたります。

事務局の職員は、「UNWTO」の活動プログラムの実施およびメンバーからの要求の対応に責任をもって取り組み、賛助加盟員はマドリッド本部の常勤上級部長から支援を受けます。

事務局には、日本の奈良にある駐日事務所も含まれ、この事務所は日本政府からの財政支援を受けています。

「UNWTO」の役割

「UNWTO」の主な役割は、大きく分けて下記の6つです。

1)グローバルアジェンダにおける観光の主流化
2)観光競争力の向上
3)持続可能な観光開発の促進
4)貧困削減と開発への観光の貢献の促進
5)知識、教育、能力開発の促進
6)パートナーシップの構築

グローバルアジェンダにおける観光の主流化

「UNWTO」は、国内および国際政策における優先事項を含む、社会経済の成長と発展の推進力としての観光の価値を推奨することにより、セクターが発展し繁栄するための平等な競争環境を構築する必要性を提唱する役割を担っています。

観光競争力の向上

「UNWTO」は、知識の創造と交流、人材育成、政策立案、統計と市場動向、持続可能な観光開発、マーケティングとプロモーション、製品開発とリスクと危機管理などの分野における卓越性を促進し、UNWTOメンバーの競争力を向上させる役割を担っています。

持続可能な観光開発の促進

「UNWTO」は、環境資源を最適に利用し、ホストコミュニティの社会文化的真正性を尊重し、すべての人々に社会経済的利益をもたらす政策持続可能な観光政策と実践を支援する役割を担っています。

貧困削減と開発への観光の貢献の促進

「UNWTO」は、貧困削減への観光の貢献を最大化し、観光を開発のツールとして機能させ、開発アジェンダに観光を含めることを促進し、開発目標を達成させる役割を担っています。

知識、教育、能力開発の促進

「UNWTO」は、各国が教育と訓練のニーズを評価して対応するのを支援するとともに、知識の創出と交換のためのネットワークを提供する役割を担っています。

パートナーシップの構築

「UNWTO」は、民間部門、地域および地方の観光組織、学界および研究機関、市民社会、国連システムと連携し、より持続可能な責任ある競争力のある観光セクターを構築する役割を担っています。


▼参考サイト:国際連合広報センター「世界観光機関(UNWTO)」(外部サイト)

「UNWTO」の主な活動

「UNWTO」では、主に下記の6つの活動が行われています。

1)持続可能な発展
2)競争力
3)イノベーション、投資、デジタルトランスフォーメーション
4)倫理、文化、社会的責任
5)技術協力
6)統計学

持続可能な発展

「UNWTO」は、現在および将来における経済・社会・環境への影響を十分に考慮し、観光客・業界・環境・ホストコミュニティのニーズに対応する観光を発展させるための活動を行っています。

競争力

「UNWTO」は、観光地の観光市場情報や競争力を支援する知識と戦略的ガイダンスを提供し、セクター全体の競争力をよりいっそう活性化し、効率的な指針とガバナンスを通じて目的地管理を改善するための活動を行っています。

イノベーション、投資、デジタルトランスフォーメーション

「UNWTO」は、イノベーションとデジタルの進歩を利用することで、より広範で持続可能な開発アジェンダ内の他の目的において、包括性、地域社会のエンパワーメントおよび効率的な資源管理を改善する機会を提供するための活動を行っています。

倫理、文化、社会的責任

「UNWTO」は、倫理・文化・社会的責任部門において、持続可能で普遍的にアクセス可能な観光を推進するための活動を行っています。

技術協力

「UNWTO」は、加盟国の特定のニーズに対応し、雇用の創出を通じて社会経済の成長と貧困緩和の原動力として、観光産業の発展・促進を支援する活動を行っています。

統計学

「UNWTO」は、公式統計で民主主義社会の情報システムに不可欠な要素を提供し、経済・人口統計・社会・環境の状況に関するデータを政府・経済・公共に提供する活動を行っています。

「UNWTO」の新型コロナウイルス対策

「UNWTO」の新型コロナウイルス対策は、観光が主要な経済部門に大きく影響を受けていることから、WHOと緊密に協力し、観光の回復のために必要な業務をサポートしています。

具体的には、下記の3つの業務が行われています。

1)世界的な旅行制限の定期的な情報の更新
2)新型コロナウイルスの環境への影響に関する再生データの生成
3)観光をサポートするための世界的な対策の概要の提供
4)旅行と観光を通じた雇用と経済の支援
5)生産技術の支援
6)貧困層を保護するための包括的な対策の策定
7)観光客の国際的保護
8)キャンペーンによる国・目的地・民間セクター・メディアなどを通じた一般市民の意識向上

▼参考URL:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)UNWTO公式情報特設ページ(外部サイト)

まとめ

本ページでは、「UNWTO」とはどのような組織なのか基本的な情報についてまとめました。

本記事は、2021年9月16日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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