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わかる政治経済シリーズ 第40回

日本の国会、「国会の運営」について

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日本の立法システム国会シリーズ第5回目は、「国会の運営」について説明します。

目次

国会の運営とは?

「国会」の運営とは、「国会」がどのような仕組みで、どのような原則にしたがって活動しているかということです。ここでは、「国会」の法律案の発案、「定足数」、「表決」、「委員会」、「公聴会」について説明します。

法律案の発案とは?

「国会」の運営の原則をめぐって、まずは、「国会」における法律案の発案について説明します。

法律案とは法律のもととなる原案のことです。法案とも言います。「このような法律を作ろうと思う」という法律案を提出することを法律案の発案と言います。

日本は「議院内閣制」を採用しているので、法律案は「内閣」でも「国会議員」でも提出することができます。

ただし、「国会議員」が法律案を提出する場合、個々の議員が単独で自由に発案することはできず、複数の議員の賛成が必要です。

「議員立法」とは?

「国会議員」が法律案の発案を行うことを「議員立法」といいます。

以下で、「議員立法」について通常の「法律案」の場合と、「予算を伴う法律案」の場合のそれぞれで、必要な議員の賛成数を紹介します。

1)「法律案」の発案の場合

「議員立法」による「法律案」の発案は、「衆議院」では20名、「参議院」ではその半分の10名の賛成で行われると国会法第56条に定められています。

2)「予算を伴う法律案」の発案の場合

予算を伴う法律案の発案は、通常の「法律案」の発案より多く「衆議院」では50名、「参議院」では20名で行われると国会法第56条に定められています。

「衆議院」「参議院」の「定足数」は?

「定足数」とは、議会を開いたり議決をするときに必要になる出席議員の人数のことを言います。


「衆議院」「参議院」両院とも、「定足数」は総議員の三分の一となっており、これを満たさないと会議を開くことができません。

憲法56条で次のように規定されています。

憲法第56条 1項 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。

引用)日本国憲法

「衆議院」の議員定数は465人、「参議院」は248人なので、その三分の一の出席、つまり「衆議院」は155人、「参議院」は83人の出席で議会を開くことができることになります。

「国会」における「表決」について

次に「国会」における「表決」について説明していきます。

「表決」とは、議案に対してその可否についての意思表示をすることを言います。

以下で、「表決」に必要な賛成の数について、一般的な表決の場合とそれ以外の場合に分けて紹介します。

1)一般的な「表決」に必要な賛成の数

一般的な「表決」は出席議員の過半数で行われます。もし可否が同数となった場合は議長が可否を決することになっています。

憲法56条に次のように規定されています。

憲法第56条 2項 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

引用)日本国憲法

ただし、全ての「表決」が出席議員の過半数の賛成で行われるわけではなく、「表決」に出席議員の三分の二の賛成が必要となる場合もあります。出席議員の三分の二の賛成が必要となるのは「秘密会」の開催、「議院資格争訟裁判」、議員の除名、「衆議院」の法律案の再議決の場合です。以下にまとめます。

2)「秘密会」の開催、「議員資格争訟裁判」、議員の除名、衆議院の法律案の再議決

「秘密会」の開催、議員資格争訟裁判、議員の除名、「衆議院」の法律案の再議決の場合は出席議員の3分の2の賛成で「表決」となります。

「秘密会」とは、本来「議会」は公開で行われる(つまり国民誰でも見ることができる)ものですが、それを非公開で行うことを言います。出席議員の三分の二の賛成があれば議会を「秘密会」として開催することができます。

「議院資格争訟裁判」とは、被選挙権がないにも関わらず立候補して当選してしまった場合や兼職が許されていない職務を行っているなど、形式上議員としての資格がない人物の議席を失わせるために行う裁判です。

議員の除名とは、議員として相応しくない行いをした人物を除名することです。

「衆議院」の法律案の再議決とは、はじめに「衆議院」で議決された法律案が「参議院」で否決された場合に「衆議院」で再度審議されますが、その際に三分の二の賛成で可決されれば法律として成立するということです。

次に、「国会」の運営にかかわる重要な原則を二つ紹介します。


「会期不継続の原則」

「会期不継続の原則」とは、「会期」中に議決に至らなかった案件は、審議未了、廃案となるという原則のことです。

日本国憲法では「国会」は「会期」中のみ活動能力を持つものとして定めています。そのため、各「会期」の「国会」はそれぞれ独立した「国会」として活動するのが原則となっています。

そのため、「会期」と「会期」の間に連続性はなく、前の「国会」は次の「国会」に影響を与えず、前の「会期」に議決されなかった案件は次の「会期」に持ち越されることはなく廃案となるいうのが原則になっています。

ただし例外として、各議院の議決によって付託された案件については「委員会」で「継続審議」を行うことも可能です。

「一事不再議の原則」

「一事不再議の原則」とは、一度議決した事項は、同一会期中に重ねて審議・決定を行わないという原則のことです。

「一事不再議の原則」は憲法に規定されているわけではありません。しかし、すでに議決された事柄について再度審議することは議会の能率を低下させることにつながり、一旦決まったことと違う結論を出してしまえば議事が混乱する恐れがあることから「国会」は慣習的に「一事不再議」の原則のもとで運営されています。

以上が「国会」の運営にかかわる重要な原則二つです。

次に、「国会」の運営について理解するうえで重要なキーワードを二つ紹介します。

「委員会」とは?

国会における実質的な審議は「委員会」において行われます。

「委員会」は「本会議」の前に専門知識を持った10〜45人程度の少数議員によって審議されます。

日本では「本会議」の前に、議院に設置された「委員会」で実質的な審議を行う「委員会中心主義」を採用しています。これはアメリカに倣った制度で、イギリスでは「本会議」中心に審議されています。

「常任委員会」と「特別委員会」があります。

「常任委員会」は衆参各院に常に設置されている委員会で、「予算委員会」「文部科学委員会」「安全保障委員会」など、それぞれの議院に分野ごとに17ずつ設けられています。

「特別委員会」はその「国会」の「会期」のみに特別に設けられた「委員会」です。「特別委員会」は災害対策など、必要に応じて「本会議」の議決によって設けられます。

「委員会」における審議は非公開が原則です。

「公聴会」とは?

「公聴会」とは、「委員会」において法律案に関する利害関係者や専門家の意見を聞く制度のことです。「公聴会」で意見を述べる人を「公述人」と呼びます。

予算案、重要な法案では「公聴会」を開くことが義務付けられています。

まとめ

以上、日本の立法システム国会シリーズ第5回目、「国会の運営」について説明しました。

本記事は、2024年2月2日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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