風俗店とはどんなお店があるか
風俗営業法の中では、ゲームセンターやカラオケ店、飲食店なども風俗店とされていますが、一般的な風俗店の解釈は、主に女性が男性に性的サービスを提供する性風俗店を指す事がほとんどです。
風俗店は、提供するサービスの内容と、在籍する女性のタイプや年齢層などによって、業態やジャンルも多岐に分かれています。まず、大きく分けて店舗型と無店舗型に分かれています。店舗型はその名の通り、お店の中でサービスを提供する風俗店です。ソープやファッションヘルス、ピンクサロン、メンズエステなど提供しているサービスの内容によって名称が変わります。一方で無店舗型は、デリバリー型と呼ばれ、女性が男性の自宅や待っているホテルなどに向かいサービスを提供する風俗店となっています。デリバリーヘルス略してデリヘルと呼ばれる事が多いです。
貧困ビジネスを呼ぶ元凶?風俗店で働く条件や待遇とは
給料形態は歩合制
風俗店での勤務形態は、ほとんどのお店が時給制ではなく歩合制となっています。その為、女性に入る収入は、時間給ではなく実際に接客をしたお客さんの人数に応じて変わります。だいたい、お客さんの利用料金の内の60%から70%に、手数料などが引かれて女性の収入として入ります。
幅広い女性が働きやすい待遇が用意されている事が多い
風俗店のお仕事の求人は、風俗情報誌や女性向けの風俗求人サイトなどで得る事ができます。求人内容を見ると、女性の為に働きやすい待遇をたくさん用意しているお店も多い事が分かります。具体的な風俗店の待遇内容や条件について見てみましょう。
風俗店の勤務体系は基本的に自由出勤の所が多いです。あらかじめお店に自分で決めたシフトを提出します。急に予定が空いてしまった時には、当日出勤も可能なお店もあります。土日休みでも、働く時間帯も自分で決められるお店が多いので、主婦や学生、フリーターから仕事を持っている人が副業として働くなど、色々な女性が働きやすい仕事となっているのです。風俗店で働いている事がばれないようにしたい女性の為に、アリバイ会社を利用している、店舗で受付している男性の姿をモニターなどで確認できるようになっているなど、身バレ対策もしっかり行われています。
風俗店は、子供を育てながら働く女性の為のサポートを提供している所も多いです。お店が託児所を持っている所もあれば、近隣の繁華街にある風俗店などで働く女性向けの託児所と提携をしている所、託児所を利用する為の料金の何割かが支給される所などがあります。小さいお子さんがいる女性で保育園に預けられず働き先が見つからない方や、シングルマザーの方で働いている方も多いです。
風俗店は、即入居が可能な寮を用意している所も多いです。お店が借り上げを行っているマンション寮が多く、生活に必要な家具や電化製品も既にそろえてあるので、すぐに入居して仕事を始める事もできます。出稼ぎの女性や、離婚したばかりなどで住む所と仕事を一緒に探している女性も働きやすくなっています。
貧困ビジネス化を呼んだ、風俗店の変遷を見てみよう
働く女性の幅が広がっている
女性が頑張った分だけしっかり高収入を得られるお仕事、しかも働きやすい、と良い事ばかりに見える風俗店のお仕事ですが、実はこの風俗店のお仕事こそが今貧困ビジネスと化して来ています。ちなみに
“貧困ビジネス(ひんこんビジネス)とは、「貧困層をターゲットにしていて、かつ貧困からの脱却に資することなく、貧困を固定化するビジネス」”(wikipediaより)
つまり、働いても働いても楽にならない、貧困から抜け出せないお仕事の事を指します。
待遇や条件を見ると、風俗店は幅広い女性が働きやすいお仕事である事が分かります。実は、この待遇や条件の良さから、風俗店で働く女性が多様化している背景があります。そして、風俗店で働く女性の多様化こそが、風俗店のお仕事が貧困ビジネス化してきている原因の一つでもあります。風俗店で働く女性といえば、多額の買い物やホストクラブにはまるなどして借金を作って多額のお金が必要になって働く女性、といったイメージを一般的にはどうしても持たれます。けれども、今は必ずしも女性の身勝手な理由のみで風俗店のお仕事を選ぶ女性が多い訳ではありません。風俗店のお仕事しか働く場所がない、色々な事情から風俗店のお仕事を選んだといった女性も多いのです。
無店舗型(デリヘル)が多くなった
もうひとつ風俗店のお仕事が貧困ビジネス化している背景には、風俗店の運営業態の変遷があります。かつては、風俗店といえば繁華街や歓楽街で営業する店舗型が多くなっていました。けれども今は無店舗型での運営業態が圧倒的です。日本全体の景気が落ち込んだ影響で、男性が風俗店にあまりお金を落とせなくなったことが原因です。その為、開店時にも維持する為にも、手間も経費もかからない無店舗型での運営業態が選ばれる事が多くなったのです。無店舗型の風俗店、いわゆるデリヘルは場所を選ばずに開店できるので、繁華街が近くにない人でも利用できるなどのメリットもあります。また、デリヘルは風俗営業法の中では24時間営業が可能な店舗形態となっていますので、色々な男性のニーズに応えられます。勿論料金も安くなければ男性は利用しませんので、ある制約をかける事によって利用料金も安く設定しているジャンルの風俗店も多いです。この無店舗型、かつ利用料金の安いデリヘルが増えたのも、風俗店が貧困ビジネス化した原因となっています。
貧困ビジネスの中で働く女性とは
風俗店で働く女性は二通りおり、「風俗店をあえて選んだ女性」と「風俗店でしか働けない女性」がいます。まず、風俗店を仕事としてあえて選んだ女性について見てみましょう。
事情から風俗店のお仕事を選んだ一般女性
風俗店を仕事として選んだ女性は、風俗店で働く背景に様々な事情を持っている事が多いです。それは、以前の様に女性自身の身勝手な理由での借金だけではありません。配偶者がリストラされた、会社が倒産したなどの理由で収入がなくなり、自分自身も高収入の仕事をせざるを得なくなった家庭の主婦、大学に進学する為の学費がなく学費を稼ぐために働く学生、そして奨学金返済の為に、昼間の仕事と風俗店のお仕事を掛け持ちする社会人などです。つまり、普通に生活をしている女性が風俗店のお仕事を選ぶケースが多くなっているのです。そして、風俗店は働く時間帯や曜日も自由に選ぶ事ができるので、色々な立場の女性が働きやすい職場となっています。
風俗店のお仕事は、時給制のお仕事ではなく歩合制ですので、女性が頑張った分だけしっかり稼ぐ事ができますので、短期間だけしっかり稼いで目標を達成するのには有効なお仕事でもあります。けれども、出勤する時間が少なければそれだけお客さんに接客する時間も少なくなりますので取り分も減ります。もしも暇なお店だった時には出勤だけして無収入で帰る事もあるのです。毎日数時間の勤務で接客する数が少なければ、一日1万円稼げれば良い方、ということもあります。性的サービスを提供するのにも関わらず、あまりに低い見返りと言わざるを得ません。そして、少ない稼ぎは生活費や借金返済などに消えていきますので、働いても女性自身への見返りもなく、精神的にも肉体的にも疲労が溜まってしまいます。
風俗店の陰に隠れる障害を持った女性たち
次に、風俗店でしか働けない、という女性です。他の仕事をしても長続きしないから、両親から虐待を受けながら育ち、家出同然で出てきた女性など色々です。これらの女性の中には、軽度の知的障害や発達障害を持っている女性がいる事も少なくありません。その為、仕事に就いても仕事を覚える事ができない、ミスを繰り返す、周りの人間とトラブルを起こすなどして仕事を続ける事ができません。そして、これらの女性は障害の程度も軽度の為、日常生活を送る上ではあまり支障がない為、今まで障害があるのに見逃されてきた可能性があります。障害認定を受けている女性でも、軽度の場合にはそのまま社会に出されます。その結果、風俗店で働く選択肢のみが残ります。
風俗店の中でも、全国にチェーン展開をしている有名風俗店など、いわゆる優良店も沢山存在しています。けれども、障害を持ちながらもそれが見逃されてきた女性は、悪徳な風俗店に「食い物」にされてしまう事も少なくありません。自分自身で風俗店の良し悪し判断する能力もない為、いわゆる格安料金で本番行為を行っている違法の風俗店で働かされることもあるのです。女性は、お店の寮に入居し生活の面倒も見て貰える事も多いので、悪徳な風俗店も「力になってくれる、良い人」と判断してしまいます。けれども、裏側では格安の利用料金で働かされ、お店側から給料も搾取されている事が多いのです。悪質なパターンでは、障害認定を受けていた女性から障害者手当もお店が搾取していた事もありました。女性自身に騙されている意識がない為、貧困ビジネスの温床となっているのです。
また、風俗店の中にはいわゆる「地雷店」と呼ばれる、容姿が悪い、年齢層が高い女性のみをあえて集めて格安で遊べるデリヘルもあります。これも、知的障害の女性が働く風俗店の温床となってしまっています。地雷店の中は、メディアの露出も高い優良経営をしている有名店もあります。けれども、いくら優良店でも働く女性自体に給料の管理ができないなどの理由で生活が破城し、結局風俗店のお仕事から抜け出せなくなってしまう事に繋がるのです。
風俗店の貧困ビジネス化を止める為の対策とは
女性自身でできる対策もある
風俗店のお仕事が貧困ビジネス化を止める為にはどうすれば良いでしょうか。まず、貧困ビジネスの温床となっている悪徳風俗店や違法風俗店を女性自身で見抜く必要があります。風俗店で働きたいと思った時には、必ず営業許可を出している正規の風俗店を利用する、働く前に条件や待遇を確認しておく、そして入店する前に体験入店を利用して、実際にお店の雰囲気やお客さんの入りなどを確認し、納得した上で入店する事が大切です。借金返済や学費などの目的のために、風俗店のお仕事を選ぶ場合には自分で正規の営業を行っている風俗店を見極める事が求められます。
女性も含め、隠れた障害を持つ人への受け皿を作る
一方で、風俗店でしか働けない軽度の知的障害などを持つ女性に対しては、本人たちがどう気を付けても防げない事もあります。特に、今は乳幼児健診などで早期に発達障害が見つけられる事も多くなりましたが、現在成人になっている方の中では、発達障害を持っているのにも関わらず、それが発見されずに日常生活を送る事を余儀なくされている事が多いのです。
障害を持つ女性が、生活の上で困った事があればすぐに相談できる窓口は、自治体の役所やNPO法人など色々な所にあります。けれども、障害を持つ女性たちは、このような窓口が存在している事すら分かりません。その為、障害を持っている人も含めて「困った事があれば相談できる窓口はここ」と分かりやすくアナウンスするなど、女性の受け皿となる対策をする必要があります。勿論インターネットで検索をすればすぐに窓口は出てきますが、実際に障害を持つ女性たちは、検索する方法すら分からずにいる場合が多いのです。
診断されなかった発達障害によって、風俗店の貧困ビジネスの中で働かざるを得ない女性の他にも、社会の中で生きづらさを抱えている成人は多くいます。男性の場合でも、発達障害での生きづらさを抱えている為仕事が続かずに、日雇いの非正規雇用やネットカフェ難民になる、ニートや引きこもりになる人もいます。本人や周囲の人が「発達障害かもしれない」と感じた時にも、気軽に医療機関を受診できるなどの対策も必要になります。全体の発達障害の発見と適切な対応が、風俗店も含めた貧困ビジネスの進行と増殖を食い止める鍵となるのではないでしょうか。
コメント
コメント一覧 (1件)
良かった点は貧困ビジネス化というのがあるということを知れたことです。もっと知りたかったのは障害がある女性に焦点を充てていましたが高年齢の方や他に事情がある方への対策ももっと知りたかったです。知って良かったのことはこのような実状があることを知らなかったので知れてよかったと思いました。