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杜の都の救助隊、これが「スーパーレスキュー仙台」だ!

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政令指定都市である宮城県仙台市には、「救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令(以下「省令」という。)」の第6条で規定している「特別高度救助隊」が設置されていますが、仙台市独自の部隊名は「特別機動救助隊」といい、通称は「スーパーレスキュー仙台」です。

今回は泉消防署八乙女分署に配置されている第一特別機動救助隊の活動を追ってみました。

目次

スーパーレスキュー仙台とは?

大規模災害や特殊災害に対応する精鋭部隊

「スーパーレスキュー仙台」は仙台市内の泉消防署八乙女分署、若林消防署六郷分署それぞれに各16名(8名ずつの2交代制)が配置されており、合計32名の隊員で編成されています。

隊員は救急の資格、重量物排除や重機関係の資格、小型船舶免許、潜水士免許や特殊災害の知識など、救助に関する専門知識を持っている精鋭部隊です。

仙台市内の6つの消防署には、人命救助活動と消火活動を主な任務とする特別消防隊(通称「ファイヤーレスキュー仙台」)が配置されていますが、「スーパーレスキュー仙台」は火災や交通事故などの対応だけでなく、地震災害や大規模事故、放射性物質や生物剤、化学剤などを起因とする特殊災害にも対応する部隊です。

「スーパーレスキュー仙台」になるまでの道のりは、採用試験に合格後、消防学校で1年間の基礎教育を受けた後、配属先で2年以上の現場経験を経てから、本人の希望と適性や上司からの推薦を受けて特別消防隊となり、そこで3年以上の実務経験を積み、救助活動に関する専門的な知識及び技術を有すると認められた者が「スーパーレスキュー仙台」の隊員となれます。

特別な紺色のヘルメットが目印

ヘルメットが目印
他の消防隊と識別している紺色のヘルメット

他の消防隊のヘルメットが白色なのに対し、紺色という特徴があります。また、エンブレムと防火衣も他の消防隊とは異なります。

市民の安心と安全のために、誇りを持って活動する

人命救助を最優先に市民の安心・安全のため、隊員一人ひとりが職務に誇りを持って業務に取り組んでいます。いざ、災害が発生した場合には、状況を悪化させない事、自分達の安全を前提とした活動を行います。

スーパーレスキュー仙台 隊員の一日

※2交代制で、8:30から翌日8:30までの24時間勤務

8:30 車両や資機材の点検を行い、点検終了後は全員で体操を実施する
8:50 事務室に戻り、分署長を含めた全体ミーティングを行う
9:00 各隊ごとに個別ミーティングを行う
これ以降は各隊での業務となる(訓練、各隊担当業務等を行う)
12:00 昼食

12:45 午後の業務開始(訓練、各隊担当業務等を行う)
17:30 夕食


19:00 夜間ミーティングを行う
業務連絡や次の当番の確認、当日行った訓練や現場活動の検討会などを行う
終了後は各自が担当している事務処理にあたる
20:00 仮眠時間帯となるが、この時間帯のうち3時間は電話や来庁者への対応に備えて交代しながらの仮眠となる
(※仮眠時間帯に災害等が発生した場合は、その時点から災害対応にあたる)

6:00 早朝の時間を利用して防火水槽や消火栓の点検・調査を実施する
運転技術向上のための操縦訓練や地理把握のため、消防車で管内を中心に巡回する
7:30 庁舎と車両の清掃を行う
8:30 当日の当番員へ申し送りを完了させ勤務終了となる

災害があれば出場第一優先

救助工作車3台の車両を乗換運用。この日は建物火災のため救助工作車で出場。

勤務中に管轄内での事故や災害が起きた場合には、直ちに発生場所を確認し出場します。

市域内だけでなく、大規模な災害や事故が発生した場合には、隣接の市町村は勿論、緊急消防援助隊として東北各県、北海道、関東地域にも出場します。人的被害の大きさ、災害の規模により異なりますが、平成28年には台風10号被害に合った岩手県岩泉町へ出場しています。

緊急消防援助隊とは

緊急消防援助隊は、平成7年(1995年)阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、大規模災害等において被災した都道府県内の消防力では対応が困難な場合に、国家的観点から人命救助活動等を効果的かつ迅速に実施し得るよう、全国の消防機関相互による援助体制を構築するため、平成7年6月に創設されました。

平成15年6月の消防組織法改正により、緊急消防援助隊が法制化(平成16年4月施行)されるとともに、大規模・特殊災害発生時の消防庁長官の指示権が創設されました。

総務大臣が「緊急消防援助隊の編成及び施設の整備などにかかわる基本的な事項に関する計画」を策定、それに基づき、消防庁長官が部隊を登録しています。
(総務省消防庁ホームページhttp://www.fdma.go.jp/neuter/topics/kinkyu/kinshoutai.pdf)

また、スーパーレスキュー仙台の隊員の中には、海外で大規模な災害が発生した時に活動する隊員が11名います。被災した国から日本への救助要請があった場合に「国際緊急援助隊」として災害活動します(警察庁、海上保安庁職員とともに救助チームとして活動)。

仙台市消防局は毎月17日から20日までの4日間が当番日となっていますが、平成29年9月に発生したメキシコ地震では、当局から3名の隊員が救助活動のためメキシコに派遣されています。

車両や資機材の確認

災害現場で安全・確実・迅速に活動するために、車両や資機材の点検を随時行っています。救出活動を円滑に行うため、自分たちの身を守る必須アイテムであり、チェックには余念がありません。(定期点検・使用前点検・使用後点検)

さまざまな災害を想定した訓練

救出活動を効果的に行うため、さまざまな災害を想定した訓練を行っています。八乙女分署や他の訓練施設まで赴き訓練を行いますが、市民に安心・安全感を与えられる活動となるよう、常に安全・確実・迅速心掛けています。

また、自隊の訓練だけではなく、他の救助隊と連携した合同訓練も行っています。陸路から現場にアプローチできない場合、ヘリコプターで救出活動することも考えられるため、航空隊との合同訓練も行っています。

訓練の企画・立案などの事務仕事も

専門的な知識と経験を生かし、救助隊全体の研修や訓練の企画・立案なども行います。また、各自治体の救助隊員の救助技能の向上を目的として、各地で救助技術大会が開催されており、その大会の運営にも携わっています。

自隊の訓練、仙台市救助隊の各種訓練・研修の企画立案など業務は広範多岐に及び計画的に行っておりますが、災害は昼夜を問わず発生します。合理的かつ有効に時間配分することを念頭において業務対応している現状です。

スーパーレスキュー仙台の現役隊員に聞いてみた!

仙台の現役隊員
左から岩佐司令補・鈴木士長・高橋司令補・若生隊長

Q:どうして今のお仕事に就いたのでしょうか?

若生隊長
「学生時代の経験(長距離選手)を活かして、自分の生まれ育った所で、人の役に立つ仕事に就きたいと考えて消防士になりました。配属された後、人命救助の最前線に携わりたいと考え救助隊を目指しました。」


岩佐司令補
「H19年の発足時から現職です。採用前は社会貢献できる仕事を希望し消防士になりましたが、現場で働いていく中で、オレンジの服を着た救助隊を目指すようになりました。」

高橋司令補
「幼い頃から3回にわたり住宅火災を目の当たりにしました。遠い記憶ですが近所の家が燃える様子を鮮明に覚えています。それ以来、将来何か人の役に立つ仕事を考えた時に、消防士になりたいと思ったのがきっかけです。」

鈴木士長
「子供の時に実家が火災に遭い、家族や自分の為に活動してくれた消防士の姿を見ました。幼い時の経験が後押しする形で消防士になろうと決意しました。」

Q:隊員同士は仲良しですか?

若生隊長
「家族と同じくらい大切な存在です。災害の時、仲間として信頼できる関係でなければ活動はできません。」
「特に絆を深めるために意識してやっている事はなく、24時間一緒に過ごすことで自然と信頼関係が養われていくのだと思います。」
「上下関係は大切ですが、同僚を信用する、自分自身の命も預ける、というスタンスで接しています。」
(若生隊長が、隊員に対して)

Q:熱い方々の集まりですが、衝突してしまう事はありますか?

「ただの喧嘩はしませんが、より良い方向に進むために議論はたくさんします。」

Q:隊長として気を付けていることは?

「隊員は「大丈夫か?」と聞くと必ず「大丈夫です」「やれます」と答えます。具体的な質問を投げかけて隊員の状況把握に努めています。」

Q:子供たちに、どうしたらスーパーレスキュー仙台になれますか?と聞かれたら

「今、できることを一生懸命すること、特に運動や勉強を頑張ってください。強い意志で本気になって挑戦することが大切です。」

最後に

最後まであきらめない精神力と隊員同士の強い信頼関係があるからこそ、スーパーレスキュー仙台の日々の活動に繋がっているのだと感じました。今後の活躍にも期待したいと思います。

(著:千谷 麻理子)

本記事は、2018年2月23日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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