刑務官が読む機関誌「刑政」(矯正協会発行、2018年3月号)に掲載された記事から興味深いものを紹介します。
今回は、グラビア写真コーナーに掲載された「国際法務総合センター」のことです。
「国際法務総合センター」とは
なんか、いかにも法務省らしいといいますか、硬いネーミングですが、この「国際法務総合センター」とは、刑務官の研修を行う矯正研修所や受刑者などの医療を担う「東日本成人矯正医療センター」などが一か所(東京都昭島市の旧立川基地跡)に集約されてできた建物のことです。
「国際」という名称が加わっているのは、以上の矯正関係施設のほかに、国連アジア極東犯罪防止研修所と法務総合研究所国際協力部もあるからだと思います。ちなみに、これら国際関係の施設などで刑務官が勤務することもあります。
矯正研修所の役割が変わった
このセンターに移った矯正研修所は、府中市に在った時代には高等科研修など矯正職員に対する最高度の研修を担っていたのですが、センターに移ってからは、従来矯正研修所東京支所で行っていた研修も担当することになりました。
ですから、東京支所で行われていた中等科研修とか初等科研修もここで行われるようになったということです。
研修制度が変わったわけではありませんから、だからといって抜本的な変化があるとは思いませんが、それでも、例えば刑務官になったばかりの初等科研修を受けている研修員が高等科研修中の研修員の研修受講ぶりを目にすることもあろうかと思います。
特に集団行動訓練などは、相当その練度に違いがありますから初等科研修員にはいい刺激になると思います。また、逆に、高等科研修員からすれば、初等科研修員などにみっともないところを見られたくないでしょうから、府中時代よりはピシッとするのではないでしょうか。
いずれにしても、いい結果が出るように祈りたいと思います。
東日本成人矯正医療センターは画期的施設
今回このセンターに新たに設置された東日本成人矯正医療センターは、八王子医療刑務所がこの地に移っただけ以上の変化があります。つまり、医師などの医療スタッフが増配置され、ベッド数も多くなり、医療設備も充実されて、従来以上に受刑者等に対する医療の水準が高くなったと思われるからです。
これで受刑者の健康維持が強化されたことも喜ばしいことですが、私としては、限られたスタッフや設備などのために十分なことができないで苦しんできた地方の刑務所などがこれでずいぶん助かるだろうな、と思いますので、むしろそちらの方が喜ばしく思います。
というのは、ベッド数などが多くなったということは、地方の刑務所で困っている患者たる受刑者をこのセンターで受け入れて、適切な医療を施してくれるだろうと期待できるからです。是非そうなってほしいと思います。
(文:小柴龍太郎)
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