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矯正協会に関する機関紙「刑政」と国内1つしかない「矯正図書館」とは?

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刑務官が読む機関誌「刑政」(矯正協会発行、2018年3月号)に掲載された記事から興味深いものを紹介します。

3月号の最後は、矯正協会のことです。「平成二九年の矯正協会の事業を振り返って」と題する記事が目に止まりました。

目次

「矯正協会」とは

矯正協会は今年(平成30年)で創立130年になるそうです。明治時代に生まれた組織ということになります。その主たる使命は、刑務所を始めとする矯正施設を民間の立場から支援するというもので、いわゆる外郭団体といわれるものの一つです。

しかし、その事業資金の大半は矯正職員の会費でまかなわれているので、ほかの多くの類似団体とは異なります。

「矯正図書館」は利用する価値あり!

記事の中に「矯正図書館」の紹介がありました。この図書館は、矯正に関する書籍類を集めているところで、おそらく日本ではここにしかないと思います。

その蔵書数は、図書が約4万冊、雑誌が約7万8千冊になるそうです。矯正に関して疑問があれば、その多くはこの図書館を利用することで解決するだろうと思えるほどです。

しかも利用する側に便利なサービスもいろいろあります。例えば、書籍関係のデータベース化が進んでおり(約18万件)、しかもそのうちの約半分についてはインターネット上での検索が可能になっているとのこと。

ここから検索して見たい本などがあれば図書館に連絡し、そのコピーを送ってもらうなどのサービスも受けられますから、とても便利です。私も利用したことがありますが、料金も良心的で助かりました。

「刑政」の発行部数は2万5800部

この矯正協会に関する記事が収録されている「刑政」は、毎月2万5800部発行しているそうです。矯正職員は約2万人ですから、それら全員に配付されるほかに約6000部がこの世に出回っていることになります。

私が知る限り、この刑政は、政府刊行物センターで一般の方向けに販売されていますし、国会図書館を始めいろんな図書館にも寄贈されているようです。それに、記者クラブにも送られています。

つまり、刑務官などの矯正職員向けに出されているこの刑政が、一般販売され、図書館に置かれているので誰でも読むことができ、加えて新聞記者さんたちにもオープンされているのです。これはとても重要なことだと思うのです。


つまり、元々は職員向けのものですから、その内容に嘘偽りはありません。もしあったら職員から指摘を受け、批判されるからです。そしてまた、内容にも過不足はないはずです。不足があれば、利用者たる職員からブーイングが出るからです。

そのような内容の記事が150ページ以上(今回の3月号は172ページ)にわたって書かれています。写真も豊富です。このようなものが毎月公開されている。これは刑務所のことを積極的にオープンにしている証拠と言ってもいいと思います。

もちろん刑務所のことですから、収容されている受刑者個々の具体的なことは書けません。個人情報のこともありますし、人権にも関わることだからです。また、逃走や外部からの侵入事件などが起きてはいけませんから、施設構造などを詳しく書くこともできません。

そのような限界はありますが、その中で最大限オープンにしている。これを全国の刑務官は大いに胸を張って自慢していいと思うのです。ほかの国家機関でここまでやっている所はそうそうないはずです。

ある時、私は新聞記者の方に、「刑務所は秘密主義、密行主義だ。けしからん。もっと情報公開すべきだ!」と叱られました。そこで私は言ったのです。「「刑政」を見たことはありますか? 記者クラブに置いてあるはずですけど」と。

記者は何のことかといった顔をしていましたが、きっと刑政を見た後に自分の発言を恥じたはずです。刑務所が秘密にしているのではありません。記者が不勉強なだけですから。

(文:小柴龍太郎)

本記事は、2018年10月30日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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この記事を書いた人

公務員総研の編集部です。公務員の方、公務員を目指す方、公務員を応援する方のチカラになれるよう活動してまいります。

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