中央官庁「消費者庁」の組織構成と各部門の役割について

中央官庁「消費者庁」の組織の詳細について解説します。

「消費者庁」は、消費者の利益を保護することを任務とする行政機関です。

ここでは、基本情報の続編として、「消費者庁」の各部署の業務内容を中心に詳細情報をまとめました。


はじめに 「消費者庁」の組織体制について

先の中央官庁「消費者庁」の基本情報では、その役割や組織構成、予算などの情報をまとめました。「消費者庁」の基本情報は、下記の通りです。

「消費者庁」は、東京都千代田区霞が関にあり、2000年に設置、定員は、309人です。年間予算(平成30年度)は、約126億5千万円です。

今回は、国家公務員総合職や一般職の方がどの官庁へ就職するかの判断材料になるための詳細情報をまとめました。

それでは、今回は基本情報に続いて、詳しい組織体制について解説します。

>消費者の視点から政策全般の監視を担当する中央官庁「消費者庁」の基本情報

「消費者庁」の組織概要

「消費者庁」の組織は、「消費者庁長官」を長とし、「幹部」組織と大きく9つの「内部部局」を中心に構成されています。加えて、その他の機関などがあります。

なお、その他には、2つの「審議会等(消費者安全調査委員会等)」があります。

「消費者庁」の組織分析

「消費者庁」の主な業務は、消費者の視点から政策全般の監視です。下記のように「消費者庁」のホームページにて紹介されています。

消費者行政の「舵取り役」として、消費者が主役となって、安心して安全で豊かに暮らすことができる社会を実現する。

出典
消費者庁の使命

「消費者庁」の上部組織・下部組織について

「消費者庁」の上部組織は、「内閣府」です。下部組織は、ありません。

9つの「内部部局」について

「内部部局」について説明します。

まず、9つの「内部部局」の内訳は、下記の通りです。


1)「総務課」
2)「消費者政策課」
3)「消費者制度課」
4)「消費者教育・地方協力課」
5)「消費者調査課」
6)「消費者安全課」
7)「取引対策課」
8)「表示対策課」
9)「食品表示企画課」

「総務課」とその業務について

「消費者庁」の「内部部局」の1つである「総務課」の主な業務は、総務・人事・予算・会計に関すること、機構・定員に関すること、法令審査・国会連絡・情報システム・政策評価・EBPM・防災・広報・報道対応に関することです。

なお、「EBPM」とは、日本政府では「証拠に基づく政策立案」と翻訳されており、「政策の基本的な枠組み」を証拠に基づいて政策目的を明確化させ、そのために本当に効果の上がる行政手段は何かを明確にする取組のことを言います。

なお、この「総務課」には、さらに下に2つの部署「管理室」「広報室」が置かれています。

「消費者政策課」とその業務について

「消費者庁」の「内部部局」の1つである「消費者政策課」の主な業務は、大きく分けて7つあります。

1)消費者基本法の基本理念の実現等に関する総合調整等
2)消費者庁の任務に関連するもので閣議決定された基本的な方針に基づく総合調整等
3)消費者基本計画等の基本的な政策等の企画・立案・推進
4)関係府省庁との政策調整
5)財産分野における消費者事故に関する情報の集約・分析・発信
6)消費者安全法に係る「隙間事案(財産事案)」の執行
7)国際関係業務

なお、この「消費者政策課」には、さらに下に2つの部署「財産被害対策室」と「国際室」が置かれています。

「消費者制度課」とその業務について

「消費者庁」の「内部部局」の1つである「消費者制度課」の主な業務は、主に3つあります。

1)消費生活に関する制度の企画・立案・推進
2)消費者契約法等を所管適格消費者団体・特定適格消費者団体の認定・監督
3)公益通報者保護法を所管

「消費者教育・地方協力課」とその業務について

「消費者庁」の「内部部局」の1つである「消費者教育・地方協力課」の主な業務は、大きく5つあります。

1)消費者教育
2)消費者教育推進会議の運営サポート
3)消費者に対する普及啓発
4)地方消費者行政に関する政策の企画・立案・推進
5)独立法人国民生活センターの所管

なお、「消費者教育・地方協力課」には、さらに下の部署として「消費者教育推進室」が置かれています。

「消費者調査課」とその業務について

「消費者庁」の「内部部局」の1つである「消費者調査課」の主な業務は、主に4つあります。

1)消費生活動向に関する調査
2)消費者白書に関すること
3)事業者に対する情報提供
4)公共料金・国民生活安定緊急措置法等の物価関係業務

「消費者安全課」とその業務について

「消費者庁」の「内部部局」の1つである「消費者安全課」の主な業務は、大きく分けて7つあります。


1)食品の安全性の確保を図る上で必要な環境の総合的な整備に関する総合調整等
2)食の安全を中心とした緊急事態対応等に関する関係府省庁との連携確保
3)生命身体分野における消費者事故に関する情報の集約・分析・発信
4)消費者安全法に係る「隙間事案(生命・身体事案)」の執行
5)消費生活用製品安全法に基づく重大製品事故報告
6)食品安全基本法に関する基本方針の策定・リスクコミュニケーション
7)消費者安全調査委員会の運営サポート

なお、「消費者安全課」には、さらに下の部署として「事項調査室」が置かれています。

「取引対策課」とその業務について

「消費者庁」の「内部部局」の1つである「取引対策課」の主な業務は、特定商取引法・特定電子メール法・預託法の所管や、宅建業法、旅行業法、割販法、貸金業法などの業法の所管です。

「表示対策課」とその業務について

「消費者庁」の「内部部局」の1つである「表示対策課」の主な業務は、主に2つあります。

1)景品表示法・家庭用品品質表示法・住宅品確法・ 消費税転嫁対策特別措置法の所管
2)食品表示法・健康増進法・米トレサ法・食品衛生法・JAS法の執行

なお、「表示対策課」には、さらにその下の部署として「食品表示対策室」が置かれています。

「食品表示企画課」とその業務について

「消費者庁」の「内部部局」の1つである「食品表示企画課」の主な業務は、大きく下記の5つの法律を企画・立案することです。

1)食品表示法
「食品表示法」は、安全で身体によい食品を消費者がわかりやすく選べるよう食品の安全性や機能性に関する表示を定めた法律です。

2)健康増進法
「健康増進法」は、国民が栄養を改善したり、健康の維持・増進が図れるよう生活習慣に関する知識を普及することを目的として定められた法律で、受動喫煙の防止や特定保健食品に関する法律も含まれています。

3)米トレサ法
「米トレサ法」は、正式名称を「米トレーサビリティ法(米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律)」といいます。この法律では、米や米加工品の生産から販売までの各段階で取引の記録を作成し保存することと、米の産地情報を取引先や消費者へ伝達することが定められています。

4)食品衛生法
「食品衛生法」は、食品の安全性を確保するため、飲食における衛生上の危害が発生しないよう防止することを目的とした法律で、食品に関する必要な規制やその他の措置などが規定されています。

5)JAS法
「JAS法」は、農林物資に関する適切な品質の表示が定められた法律で、農林物資の品質を改善し、取引の公正化を図り、生産・消費を合理化することを目的としています。

「審議会等」について

「消費者庁」の「審議会」は、下記の通り、2つあります。

1)「消費者安全調査委員会」
2)「消費者教育推進会議」

続いて、各審議会について説明します。

「消費者安全調査委員会」の業務について

「消費者庁」の「審議会」の1つである「消費者安全調査委員会」は、2012年(平成24年)に設置されました。

その背景には、「消費者安全法」が第180回の国会で改正されたことがあります。

ちなみに、「消費者安全法」とは、消費者センターなどが収集した事故や被害に関する情報を消費者庁が集約して国民に情報提供し、事業者に対する行政措置を執ることについて法律を定め、被害が拡大しないようにすることを目的とした法律です。

このような「消費者安全調査委員会」の主な業務は、消費者が日常生活で遭遇した生命や身体被害などの事故ついて調査して原因を究明し、被害が発生・拡大しないよう防止することです。


さらに、「消費者安全調査委員会」では、他の行政機関等によって行われた調査等の結果を評価・意見することも業務としており、他の行政機関などによる調査結果次第では、「消費者安全調査委員会」により再度調査が行われることもあります。

なお、「消費者安全調査委員会」では、その調査や評価に基づいて消費者被害の発生や拡大を防止するための施策や措置を内閣総理大臣に勧告したり、内閣総理大臣や関係行政機関の長に対して意見を述べることができます。

「消費者教育推進会議」とその業務について

「消費者庁」の「審議会」の1つである「消費者教育推進会議」は、第180回の国会により、「消費者教育の推進に関する法律」に基づいて設置されました。

ちなみに、「消費者教育の推進に関する法律」とは、消費者が自分阿智の利益を自主的に守ることができるよう、消費生活に関する教育や啓発活動の推進を目的として定められた法律です。

「消費者教育推進会議」の委員は、この法律に定められた消費者に対する教育を総合的・一体的に推進できるよう、幅広い分野に携わる者によって構成されています。

このような「消費者教育推進会議」の主な業務は、上記のような消費者への教育を効果的に行えるよう委員が相互に情報を交換することです。

なお、「消費者教育推進会議」では、閣議によって決定される「消費者教育の推進に関する基本的な方針(基本方針)」ついて意見を述べることもあります。

まとめ

いかがでしたか?

「消費者庁」は、組織を細分化し、消費者を脅かす消費者事故の政策に関する業務を効率的に行っています。

「消費者庁」のウェブサイトのURL

http://www.caa.go.jp/

本記事は、2019年2月3日時点調査または公開された情報です。
記事内容の実施は、ご自身の責任のもと、安全性・有用性を考慮の上、ご利用ください。

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