国民を守る「防災気象情報」と新たな「警戒レベル」について 2019年版

毎年のように災害が発生する日本では、気象庁などから発表される「防災気象情報」は、自治体から発表される「避難情報」などに注意しておくことが大切です。 災害の状況を伝えるこれらの情報と新しく運用が始まった「警戒レベル」について、2019年現在の情報を元に解説します。

「防災気象情報」とは

「防災気象情報」とは、気象庁や、都道府県の河川部や砂防部などが発表する、災害につながる恐れのある気象に関する予報や情報の総称です。

「防災気象情報」には大きく2つ役割があります。1つ目は、市町村が、住民に避難勧告などを発令するか判断するための資料としての役割です。

2つ目の役割は、住民に対して、正しい天気の「状況情報」を提供することです。

気象庁が直接避難を呼びかけることは無いため、「防災気象情報」が発表されても、市町村から「避難勧告等」が発令されない場合もあります。だから安心かというとそうとは限らないので、最終的には住民ひとりひとりが避難行動を取るか、情報を元にした判断が求められます。

▼首相官邸ホームページ「防災気象情報と警戒レベル」
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/keihou.html

「防災気象情報」の種類

気象庁が発表している「防災気象情報」には次のような種類があります。

台風情報

気象庁は、台風が発生すると台風の位置や、その強さや大きさなどの実況をします。

また、よく天気予報等で見かける「予報円」が表す、台風の進路予想や暴風域に入る確率などの予報が、台風情報として発表されます。

気象警報・注意報

気象庁は、大雨や強風などが予想され、災害が起こる恐れがある場合には「注意報」、重大な災害が起こる可能性がある場合は「警報」、そして、さらに重大な災害が起こる恐れが、著しく大きい場合には「特別警報」を発表します。

大雨・洪水警報の危険度分布

気象庁では、大雨警報、洪水警報、記録的短時間大雨情報等が発表された時や、雨が強まってきたときなどに、「土砂災害」や「低いところの浸水」、「中小河川の増水・氾濫」といった災害発生の危険度の高まっている場所を、危険度を5段階に色分け表示した地図にして提供しています。

気象情報

気象庁では、気象警報・注意報の発表が予想される場合には、当日の発表に先立って、1日から数日程度前から「気象情報」として注意・警戒を呼びかけます。

また、気象警報・注意報の発表中には現象の経過、予想、防災上の留意点等を解説するために「気象情報」を発表します。

記録的短時間大雨情報

近年よく聞くようになった気象庁からの情報に「記録的短時間大雨情報」があるかと思います。

「記録的短時間大雨情報」とは、大雨警報を発表中に、その都道府県において数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を観測したり解析したりした場合に発表される情報です。

土砂災害警戒情報

「土砂災害警戒情報」は、通常、大雨警報(土砂災害)の発表後に、土砂災害の危険度がさらに高まったときに、対象となる市町村を特定して警戒を呼びかける防災情報であり、都道府県と気象庁が共同で発表します。

「土砂災害警戒情報」では、避難にかかる時間を考慮して、2時間先までの土壌雨量指数等の予想が用いられています。情報を見聞きした場合には、早めの避難行動が大切です。

「土砂災害警戒情報」が発表されたときには、土砂災害警戒判定メッシュ情報と呼ばれる、土地ごとの情報もあり、詳細な危険度分布を把握できるようになっています。

指定河川洪水予報

気象庁は、川を管理する自治体と共同で「指定河川洪水予報」を発表します。国が管理する河川は国土交通省水管理・国土保全局と気象庁、都道府県が管理する河川は都道府県と気象庁が、担当しています。

「指定河川洪水予報」は防災上重要な河川について、河川の増水や氾濫に対する水防活動の判断や住民の避難行動の参考となるよう発表されるものです。

解析雨量

「解析雨量」は、国土交通省と気象庁が全国に設置している気象レーダーと、アメダス、及び自治体等の地上の雨量計を組み合わせて、雨量分布を1km四方の細かさで解析したものです。

「解析雨量」を利用すると、雨量計の観測網にかからないような局地的な強雨も把握することができます。多くの方が利用するスマホ向けの天気アプリなどで目にする雨量情報の大元として利用されることが多いのが、この「解析雨量」です。

「解析雨量」のうち、「今後の雨(降水短時間予報)」は、解析雨量をもとに15時間先までの各1時間雨量を予報したもので、「今後数時間の大雨(集中豪雨)」の動向を把握して、避難行動や防災活動に利用することが可能です。

「雨雲の動き(高解像度降水ナウキャスト)」は最新の雨量の実況分布をもとにした予報で、「目先数十分の強い雨(局地的大雨)」で発生する水害などに対して、迅速な防災活動に利用することができるようになっています。

警戒レベルとは?

令和元年度(2019年度)から新しく始まった防災情報の発表の仕方が、「警戒レベル」です。

「警戒レベル」とは災害発生の危険度と、とるべき避難行動を、住民が直感的に理解するために、気象庁と市町村が連携して伝える防災情報です。

「警戒レベル」にはそれぞれ「警戒レベル相当情報」と呼ばれる防災気象情報
があります。防災気象情報が出された場合にも、避難行動が危険と判断されると「警戒レベル」の発令が見送られる場合がありますので、最新情報には注意しましょう。

住民は「防災気象情報」だけでなく「警戒レベル」も気にしながら避難をすることが大切です。

それぞれのレベルがどのような状況を意味するのか解説します。

警戒レベル1「災害への心構えを高める」

「警戒レベル1」では、災害発生の危険性はまだ低い段階ですが、最新の防災気象情報などに留意するなど、災害への心構えを高める必要があります。

「警戒レベル1」の時には、避難情報として気象庁から「早期注意情報」が発表されます。

警戒レベル2「ハザードマップなどで避難行動を確認」

災害発生に対する注意が高まってくると、気象庁から警戒レベル2「大雨注意報」や「洪水注意報」が発表されます。

住民は避難に備えてハザードマップで災害の危険性のある区域や避難場所、避難経路、避難のタイミングの再確認など、避難に備え、自らの避難行動を確認しておくことが大切です。

「警戒レベル2」に相当する防災気象情報は「洪水注意報」や「大雨注意報」、「氾濫注意情報」などです。これらの注意報が発令された時には、「警戒レベル2」が呼びかけられることがありますので、最新情報に注意しましょう。

警戒レベル3「高齢者や要介護者等が避難」

「警戒レベル3」からは、気象庁に代わって、市町村が避難情報を発令します。「警戒レベル3」は市町村から「避難準備・高齢者等避難開始情報」が発令された段階です。

「警戒レベル3」が出された場合には、避難に時間がかかる高齢の方や障がいのある方、避難を支援する方と、小さなお子さんを連れた方などは安全な場所へ早めの避難が必要です。

また、土砂災害の危険性がある区域や、急激な水位上昇のおそれがある河川沿いに住む方も、準備が整い次第、この段階で避難することが強く望まれるようです。

それ以外の方もいつでも避難できるように準備を心がけることが、身を守ることにつながります。

「警戒レベル3」に相当する防災気象情報は「洪水警報」や「大雨警報」です。これらの警報が発令された時には、「レベル3」の避難情報が出される場合がありますので、注意しましょう。

警戒レベル4「対象地域住民の全員避難」

「警戒レベル4」では市町村から「避難勧告」や「避難指示(緊急)」が発令されたます。

対象地域の方は全員速やかに避難しなければなりません。ただし、災害が発生するおそれが極めて高い状況等では、指定緊急避難場所への避難はかえって命に危険を及ぼしかねないという場合もあります。

避難所への避難が危険判断する場合には、近隣の安全な場所への避難や建物内のより安全な部屋への移動、いわゆる「垂直避難」などの緊急避難を行います。

また、市町村からの「避難指示(緊急)」は必ずしも発令されるものではなく、地域の状況に応じて、緊急的に、もしくは何度も重ねて避難を促す場合に発令されるものです。

特に夜の時間帯など、避難行動が危険を伴うと判断される時には発令されない場合もあります。なるべく「避難指示」が出される前に、「避難勧告」が発令された段階や、明るい時間帯のうちに避難をすることが望まれます。

「警戒レベル4」に相当する防災気象情報は「氾濫危険情報」や「土砂災害警戒情報」などです。これらの気象情報が出されたら、「警戒レベル4」となる場合があります。周囲の状況を確認しながら、防災気象情報と避難情報を合わせて確認し、早めの避難を心がけましょう。

警戒レベル5「命を守るための最善の行動を」

「警戒レベル5」は、市町村から「災害発生情報」が発令された段階です。

「警戒レベル5」では、発令されたエリア内ですでに災害が発生している状況です。命を守る最善の行動をとるように呼びかけられます。

ただし「警戒レベル5」になってからでは、安全な避難が難しい場合があります。「警戒レベル5」になる前に、地域で声を掛け合い、避難の空振りをおそれずに、レベル3やレベル4の段階で、安全かつ確実に避難を終えておくことが大切です。

「警戒レベル5」に相当する防災気象情報は「氾濫発生情報」や「大雨特別警報」です。これらの気象情報が出た場合には「警戒レベル5」となることが考えられるため、早めの準備を心がけてください。

まとめ

このページでは、気象庁から提供される「防災気象情報」や、災害時に「気象庁」や「市町村」など自治体から発令される「警戒レベル情報」について解説しました。

令和元年の今年の夏から運用が開始された「警戒レベル」ですが、今年も台風や大雨の災害が全国各地で発生し、早速「警戒レベル」が使われる事態が非常に多くなってしまいました。

地球温暖化の影響などで、今後も厳しい気象が予想される日本では、住民ひとりひとりが避難行動について正しい知識と情報取得の手段を平時から知っておくことがますます求められつつあります。

「警戒レベル」の発令には、気象庁(国)と、市町村での役割分担があることはご紹介した通りです。公務員になる方は、「警戒レベル情報」と「警戒レベル相当情報」となる「防災気象情報」との関係についても、しっかりおさえておきましょう。

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